THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原

フランス料理の名店が仕掛ける、別荘のようなホテル

THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS のなかでも仙石原では、宿泊客以外もディナーを楽しむこともできる。このバルコニーの背後にあるラウンジは、そのときにはダイニングともなる。バルコニーからは、箱根の山々、そしてそのむこうには富士山も見える

泊まれるレストランへ

しかし、そんな楽しみは、やはりユーラシア大陸の、あるいはアメリカ大陸のもの。日本ではかなわぬ夢だろうか。

いや、2016年12月に開業した、「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」を旅の目的地に設定すれば、それは夢ではない。箱根という、東京からほど近く、美しく、運転しがいのある峠道と、自社輸入ワインを中心とした、すばらしいワインリスト、そしてなにより、創業35年、日本屈指のフランス料理の名店、「ひらまつ」が、そこにはあるのだから。

2002年、パリ、サンルイ島のフレンチレストランが、開業後わずか4カ月という史上最短記録でミシュランガイド1ツ星に輝いた。しかも、そのオーナーシェフは日本人。世界中をあっといわせた、このレコードブレイクをやってのけたのが、平松宏之氏だ。優れた料理人にして、すぐれて先駆的なビジョンをもった経営者でもある平松氏は、西麻布に1982年に開業した「ひらまつ亭」からスタートし、1988年、いまも広尾にある「レストランひらまつ」で、日本でグランメゾンなどといわれる高級フレンチレストランの嚆矢を射た。その後、レストランウェディングという概念を根付かせたのも、オープンカフェを日本で一般化したのも、「ひらまつ」。その「ひらまつ」が、現在、あらたに情熱を注いでいるのがホテルだ。料理界の法王、ポール・ボキューズ氏が、分身というほどに信頼を寄せ、フランス料理界の今後をまかせる平松宏之氏が仕掛けたホテルだけに、ホテルといっても一般的なそれとはすこしちがう。それは日本式にアレンジされた、とびきり上等なオーベルジュ、あるいはもっと簡単に「滞在するレストラン」といえるようなものだ。

エントランスやラウンジは2階にあり、レストランと厨房は1階にある。席は配置と形状の工夫で、他のゲストが気にならない。そして、ここに限らず、ホテルのあちこちに飾られている絵画やリトグラフは、それだけでも一見の価値があるもの。シャガール、ピカソ、フェルナン・レジェ、片岡球子、草間弥生……と、美術館さながら

コンシエルジュとか、レセプションとか、お土産物屋とか、ツアーとかいった、型通りのホテル的なものはない。少なくとも型通りのかたちでは、ない。スタッフは、取材をすれば、お客様が自分の別荘のように過ごしてほしいから、という。自分の別荘だったら、そこにコンシエルジュは置かない。レセプションなどはもっと不要だ。別荘と主人のことを熟知した使用人がいれば、事足りる。

1室2名での宿泊を基本として、客室わずか11室の仙石原のホテルで、その役目をになっているのが、総支配人の山﨑稔さん。

ソムリエでもあって、到着したゲストの出迎えから、ゲストひとりひとりにあわせた夕食でのワインのセレクト、さらには、みずからの店、ホテルへの愛から、手があけば、率先して店内を磨き上げる。

山﨑さんとペアを組み、ホテルの顔となるのが、女将の岩﨑純子さん。予約のときから、ゲストに対応し、宿泊中も、ゲストの窓口となる。

女将の岩﨑純子さん、シェフの吉越謙二郎さんとともに、サービスの要である総支配人、山﨑稔さん。ソムリエとして、ホテルのワインリストもつくる

そして滞在するレストランのキーパーソンが、料理長、吉越謙二郎さんだ。

代官山の「リストランテASO」のシェフをつとめた人物で、「ひらまつ」のイタリア料理を牽引し、奈良、春日野の「リストランテ オルケストラータ」では、同店を開店から半年でミシュラン1ツ星に導いた立役者。仙石原では、平松宏之氏直伝のフランス料理の技法と、9月に開業する、ひらまつ初の料亭、京都「高台寺 十牛庵」の料理長から習ったという和食の調理技術もみずからの料理にくわえて昇華させ、インスピレーションは仙石原という土地とそこで手に入る食材からも得ているから、もはや吉越料理ともいうべき、ほかにはどこにもない独創的な料理の連続で、訪れるゲストを驚かせる。脂がのりきったシェフの名人芸だ。

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