レストランではできないワイン体験がある
メニューの名前からは想像もつかない料理の数々とともに、嬉しい驚きにみちているのがワイン。前述のとおり、平松宏之氏はフランス料理界から絶大な信頼を寄せられている。
その平松氏が、みずから足を運び、造り手との対話を重ねることで、直輸入するワインの数々は、産地から日本の「ひらまつ」の倉庫へ、そして、「ひらまつ」グループの各店へと、ごく少ないステップでやってくるから、ストレスがかかっていない。「おなじワインであっても飲み比べると、うちのワインはおいしい」と山﨑さんも自信をのぞかせる。ただ、ラインナップは2010年以前のヴィンテージのものがおおいから、ほんとうに飲み比べしてみようとおもっても、おなじワインを探すのは、なかなか難しいかもしれない。
「ひらまつ」の倉庫で大事に保管され、時を重ねて花開いたワインから山﨑さんがピックアップしたリストは、決して重厚長大なものではなく、選りすぐりの名品がならぶ。しかも流通のステップの少なさは価格にも好影響をおよぼしていて、内容からみればその価格はリーズナブルといっていいもの。楽しみ方は自由自在。食事にあわせてのペアリングをまかせてしまってもいいし、これぞというワインをチョイスして楽しむのもいい。
そしてなにより、ここが宿泊施設であることが、ワインを楽しむうえで利いてくる。ワインは、いつでもどこでも楽しめる。到着してすぐに、冷えたシャンパンをオーダーして、リフレッシュするのもいいし、食事で抜栓したボトルのつづきを、部屋でゆっくり楽しんでもいい。
部屋は入り口から一直線に、寝室、温泉とつづいて、その先は大きな窓、ベランダ、そして庭、箱根の峻峰とつづく。部屋にそなえつけられた温泉は姥子温泉の源泉かけ流しだ。解放感にあふれた、プライベートな空間が、愛する人とのひとときを、忘れがたいものにしてくれるだろう。
ダウンヒルへ
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