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ワインにおいしいパンとチーズがあれば

トリニティ(三位一体)を求めてトーキョー注目のパン屋さん5軒とチーズ屋さん2軒に聞きました

4 ビーバーブレッド(パン屋さん)

割田健一さんの提案

ワイン:ラ・カラブレッタ カラカラ・ロッソ 
パン:マルディ グラ 100g140円(税別)/BEAVER BREAD
チーズ:ラクレット 
外はカリッと、中はしっとりもちもちの食感は楽しい〈マルディ グラ〉の、重なりあう小麦の豊かな香りと味にマッチするワインは、自然農法で造られたジューシーな果実味と酸が特徴的な〈ラ・カラブレッタ〉。〈ラクレット ドゥ サヴォワ〉とともに。

カンパーニュにトロトロのラクレットとシチリアワイン

惣菜店や米屋など、軒を連ねる小さな商店が人々の手の届く距離にあり、日々の暮らしを彩っていた古き良き昔。そのとき必要な分だけを買い、店主との会話に花を咲かせる。

今、そんな街に住めたらなんと贅沢なことだろう。

実は、東日本橋には似た光景を目にすることができる。「ビーバーブレッド」ができてから。

いつ訪れても目にする人、人、人。手にしているのは”まちのパン屋さん”おなじみの(とはいえ高度なアレンジが効いている)菓子パンや、名店とコラボした遊び心のある惣菜パンなど。量り売りのカンパーニュ〈マルディ グラ〉も、オープン当初から人気がある。

それもそのはず、作るのは元「ブーランジェリー レカン」シェフの割田健一さんなのだ。

シェフの割田健一さん。銀座の「ビゴの店」で14年間務めた後、老舗フレンチ「銀座レカン」グループのブーランジェシェフに就任。2017年11月に独立し「ビーバーブレッド」をオープン。

「カンパーニュの作り方は、基本的に変わっていません。レカンで出す料理のソースは酸味があったので、香りはパンで楽しんでほしい。やはり、小麦粉の香りのおいしさを味わってもらいたい」と、フランス産有機小麦をベースにライ麦はドイツ産と国産の5種、全粒粉は5種をブレンドしている。

「パン作りを始めたお金がない頃でもワインは買っていました。パンと合わせるなら飲みやすさは必要」と割田さんが〈マルディ グラ〉に合わせて選んでくれたのは渋みが少なく口当たり軽やかな〈ラ・カラブレッタ カラカラ・ロッソ〉。

「家飲みは3000円くらいのワインがちょうどいい。そこにチーズがあるとうれしくなります。トロトロに溶けたラクレットを熱さのギリギリで食べるのがおいしいんです」

13坪ほどの店内には懐かしさと新しさのあるパンがずらり。夜にはバーとして店を開けることも。割田さんと親しい腕利きシェフによるつまみやお酒を楽しめ、告知なし&不定期にもかかわらず毎回大盛況。

ビーバーブレッド 
東京都中央区東日本橋3-4-3 1F
tel.03-6661-7145
営業時間 平日8:00 〜19:00、土日祝8:00 ~ 18:00
休日 月(火不定休)

5 ヨル15 ℃ (パン屋さんのレストラン)

加藤龍一さんの提案

ワイン:ラヴェントゥーラ ヴィウラ
グラス800円〜(税別)/ヨル15℃
パン:ヨルパン大365円(税別)/ヨル15℃ 
チーズ:ラクレット
スペイン・リオハの土着品種であるヴィウラから造る100%ナチュール系白ワイン、ラヴェントゥーラ ヴィウラ。厚みのある果実と柑橘の引き締まった酸によるさわやかな余韻は、〈ヨルパン〉とラクレットの控えめな味と見事に調和する。

ヨルパンとラクレットと自然派白ワイン

15度前後といえば赤ワインには少々冷たすぎるが、「ヨル15℃」といえばおいしいパンと食事が楽しめると、お洒落な店が集まる代々木エリアでも群を抜く人気店だ。

加藤龍一シェフ。かつて同じ店で働いていた杉窪さんが全幅の信頼を寄せ、全料理を監修する。神戸の名店で経験を積んだのち、イタリアやフランス、カリフォルニアのナパで修行。

ベーカリーの「365日」と同じく杉窪章匡さんがオーナーを務める「15℃」の夜の営業時間を“農園ベーカリーレストラン”として去年リニューアルして以来、舌が肥えた人たちで連日賑わっている。

杉窪さんがタッグを組む加藤龍一シェフによれば

「どんな料理にでも合う“隙”のあるパンを特別に作ってもらいました。全粒粉や熊本産小麦など4種類の国産小麦を使用したパンは素材に対する水の比率が高めなので、もっちりとみずみずしい食感。酸味が強くないので合わせる一皿によって味が七変化します。舌触りと食感共に『こんなパンがあるのか』と、いい意味で裏切られると思いますよ」。

完成した、夜限定の食事パン〈ヨルパン〉には、心地よく繊細な味わいの自然派白ワイン〈ラヴェントゥーラ ヴィウラ〉とラクレットをご指名。

ノワレザンと白カビチーズのブリ・ド・モーとサンセール

そして、加藤シェフの言葉を借りれば「ひとつひとつの味が完成されていて隙がないパン」である〈ノワレザン〉には、ビオディナミで造られた〈サンセール ヴィニフィエ パー ジュンコ・アライ〉とブリ・ド・モーを配した。

ワイン:サンセール ヴィニフィエ パー ジュンコ・アライ 
グラス800円〜(税別)/ヨル15℃
パン:ノワレザン280円(税別)/365日 
チーズ:ブリ・ド・モー 
サンセールは、ソーヴィニヨン・ブランの名手セバスチャン・リフォー氏と、日本人自然派ワイン醸造家の新井順子氏がコラボしたビオディナミのキュヴェ。しっかりした一杯には、芳醇な「365日」の〈ノワレザン〉と仏産ブリ・ド・モーのパワフルな個性派同士を取り合わせて。

小麦の香ばしさとくるみやレーズンの甘み。そこに、シェリー酒のようにしっかりとした味わいのサンセールと、コク深くクリーミーな白カビチーズのガツンと広がる個々の旨味を掛け算する。

「ひとつ目は、食事の締めくくりにも合う優しい味で、どこか女性的な組み合わせ。もうひとつの方は対称的に男性的で、個性を食べ合わせる感じです」

夕方18時から始まる「ヨル15℃」は落ちついた大人の雰囲気。店名の由来は世界の平均気温の15度から。「365日」のパンはドリンクをオーダーすれば持ちこめる。

ヨル15℃ 

東京都渋谷区富ヶ谷1-2-8
tel.03-6407-0942
営業時間 18:00~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
休日 不定休

6 ヴァーネル(パン屋さん)

宮脇 司さんの提案

ワイン:ザ・ハーミットラム ソーヴィニヨン・ブラン2016 
パン:サワードウ ハーフ650円/Vaner 
チーズ:ブラウンチーズ(ノルウェー)
パンの酸味とワインの果実味が溶け合い、小麦の旨味とチーズの甘味の余韻をワインの酸味がリフレッシュする三重奏。

サワードウとノルウェーのブラウンチーズと自然派白ワイン

ベイカーの宮脇司さんはノルウェーから、ヨーロッパ各地、イギリス、アメリカのベーカリー修行を経て帰国。2018年8月に「Vaner(ヴァーネル)」をオープン。

サンフランシスコなどアメリカ西海岸を中心に世界で流行中のサワードウ。乳酸菌が発酵する過程で独特の酸味を生むこのパンを、東京の昔ながらの街並みが残る上野・谷中で焼くのは宮脇司さんだ。

ノルウェーのオスロを発端に世界のベーカリーを巡りながらベイキングを学んだ宮脇さんは、やはりノルウェー発のカフェ「フグレントウキョウ」のヘッドベイカーを務める傍ら、この「ヴァーネル」で、サワードウ、シナモンロール、カルダモンロール、そしてクロワッサンの4種のパンを焼いている。

その宮脇さんが、ノルウェー産の小麦など4種の小麦をブレンドして焼くサワードウに乗せたのは、ノルウェー名産として知られる〈ブラウンチーズ〉。少し甘いキャラメルのような風味の奥にゴート乳の酸味が感じられ、サワードウとは抜群の相性だ。

さらにニュージーランド産の自然派ソーヴィニヨン・ブランを合わせ、酸味と旨味を相乗していくかのような魅力的なトリニティが生まれた。

「上野桜木あたり」は築80年余の古民家をリノベーションした複合商業施設。

ヴァーネル
東京都台東区上野桜木2-15-6 上野桜木あたり2
tel.なし 
営業時間 9:00~18:00
休日 月、火

7 チーズ専門店 アルパージュ(チーズ屋さん)

森 節子さんの提案

ワイン:ジャン・リケール コート・デュ・ジュラ レ・サル サヴァニャン 
パン:パン・ド・ロデブ 
チーズ:モン・ドール アルノー500g 3,690 円(税別)/Fromagerie Alpage
〈モン・ドール アルノー〉と同郷のジュラ産のサヴァニャンはミネラル感がありキレの良い酸味で口当たりが軽やか。パン・ド・ロデヴは、同じ神楽坂にある「Pain des Philosophes」が森さんのお気に入り(写真は桜新町の「Bäckerei Brotheim」のもの)。

もっちりパンとトロトロのモン・ドールとサヴァニャン

「そろそろ人が集まる季節でしょ? みんなで食べた方がおいしいから」と神楽坂に店を開けてもうすぐ20年というチーズ専門店「アルパージュ」店主、森節子さんが提案してくれたのはモン・ドール。

ジュラ山脈で育った放牧牛の新鮮な生乳を使い、エピセアというモミの木の一種の樹皮に巻いて熟成させるウォッシュタイプのひとつだ。それに同郷のワインをペアリングするという、チーズを知り尽くす森さんならでは心にくい采配。

森節子さん。2000年にチーズ専門店「Fromagerie Alpage」を神楽坂にオープン。シュヴァリエ・デュ・タスト・フロマージュ(フランスチーズ鑑定士)などの称号を持つ。現在はチーズプロフェッショナル協会理事を務める。

「濃厚でトロトロのモン・ドールは一口だけでも風味がうんと広がります。味わい深くもっちりとした生地のパン・ド・ロデブに塗るとよりまろやかな味わいに。

そこに、キリッとシャープな〈ジャン・リケール コート・デュ・ジュラ レ・サルサヴァニャン〉を口に含めばさわやかに旨味が拡散し、次々と食べ進められちゃう。

確かにその場にいるけれども、食べるたびに広大などこかへワープしたような錯覚に。その喜びをみんなといれば共有できるでしょ?」

森さんが世界中から仕入れ、空輸で届く250種以上の商品が並ぶ。モン・ドールの購入日を事前に伝えておくと、食べたい日に合わせて最高の状態になるように熟成してくれる。モン・ドールが日本に多く入ってくるのは10〜2月ごろ。

チーズ専門店 アルパージュ
東京都新宿区神楽坂6-22
tel.03-5225-3315
営業時間 [月~木・日祝]11:00~19:00、[金・土]11:00~20:00
休日 年始のみ休み

 

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