イタリア・ワインの愛好家ならずとも、乗ってみたいものです。

もちろん、飲んだら乗るな、ですけれど。創立100年以上の歴史を持つイタリアの名門マゼラーティが、歴史上初のSUVを、来るジュネーブ・ショー(3月3〜13日)に出展する。現行のクワトロポルテ、ギブリの4ドア・サルーン、グランツーリスモ、グランカブリオの2ドア・スポーツカーからなるこれまでの商品ラインナップを新型SUVは大きく転換するマゼラーティ史上最大の戦略商品になる。もっとも、ポルシェのカイエンでの成功を見るにつけ、マゼラーティもまた目論見通り、年産5万台メーカーへと成長を遂げるに違いない。

車名のレヴァンテとは、「地中海からジブラル海峡を通ってスペインに吹く強い東風」の意。7月から10月にかけて雨や霧を伴って吹くことが多いというから、地元の人にとってはなかなか厄介な存在だ。ギブリ(アフリカ北部で吹くサハラ砂漠からの熱く渇いた風)やミストラル(フランス南東部に吹く寒冷で乾燥した北風)など、マゼラーティは一時期、地方の風の名称を車名に採用していた。今回、それを復活させることで、伝統を守りつつSUVという新しい分野に挑む姿勢を従来のファンにアピールしようとしているのだろう。

スタイリングは最近のクワトロポルテ、ギブリのラインをSUVに移植したもので、プロトタイプよりも男性的なイメージを持つ。クーペルックの後ろ姿はいかにも高性能スポーツカーを思わせる。フロントの縦型グリル、フロント・サイドのエア・ベント、それにCピラーの“サエッタ(落雷)”マークなど、マゼラーティの象徴で固めているのは、新しい道中を行くことになる新型車のお守りの意味もあるに違いない。ドアはフレームレスであるため、もしかしたらオープン版が控えているかもしれない……(たぶん、ないでしょうけど)。

エンジンはおそらくV8とV6、現行マゼラーティのそれらが用いられるだろう。足回りは当然4WD、電子制御ダンパーとエア・サスペンションの用意もあり、オフ・ロード性能についても怠りない。

169_car_04

ブドウ畑でも使えるイタリアン・スーパーカー!

大丈夫か? ご安心ください。マゼラーティはいまやグループにジープ・ブランドを抱えるフィアット・クライスラー傘下にある。4×4は得意分野なのだ。

レヴァンテはトリノのミラフィオーリ工場で組み立てられ、ヨーロッパでは今春から発売となる。全世界へは今年の後半からの予定だ。価格はおそらく、ポルシェ・カイエンに真っ向ぶつけてくるだろう。日本市場だと、800万円〜2200万円といったところだ。

この記事を書いた人

今尾直樹
今尾直樹
ワインが初めてうまいと思ったのは、1990年代の初め、某フランスの自動車メーカーの国際試乗会でした。パリからTGVに乗ってディジョンまで。駅からドライブ開始で、途中、休憩ポイントに醸造所が設定してあって、そこに寄るたびに試飲するのです。ブルゴーニュ、ピノ・ノワールという単語を知りました。最高にハッピーな試乗会でした。昔はヨカッタ。