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ドミニク・ブシェさん、牛肉についておしえてください

フランス流牛肉料理術

1981年、若干29歳にして、ミシュラン3つ星の「トゥール・ダルジャン」のシェフとなり同レストランを離れるまでの7年間、3つ星を維持した、ドミニク・ブシェさん。以来30年間にわたって、美食の世界をリードしたシェフは、現在、みずからの名を冠したレストランをパリと東京にもって、2国間をいそがしく行ったり来たりしている。

WINE-WHAT!?はドミニク・ブシェさんに、牛肉の種類、調理、あわせるワインのことをたずねてみた。

どんなお肉をつかっていますか?

牛肉には産地、品種、部位といろいろな選択基準があるとおもいますが、ドミニクさんのつかっている牛肉はなんですか?

わたしが好んで調理をするのは、品種で言えばフランスの「バザス牛」と「シャロレー牛」。部位はおもにフィレです。

ドミニク・ブシェ トーキョー でも日本の牛肉は使わないんですか?

バザス牛やシャロレー牛は日本の牛肉とはまったくちがいます。

日本の牛肉も大好きですが、わたしはほんの少ししか食べられない。なぜならサシがはいっていて脂分が多いからです。

たとえばしゃぶしゃぶのような料理にはこの特質が非常によくあう。一度、フランスの肉で試してみましたが、固くなってしまっておいしくならなかった。それぞれの肉に、その魅力を引き出せる調理法がありますね。ドミニク・ブシェ トーキョーはフランス料理の店ですから、お客様にはフランスならではの牛肉をフランスらしい調理法で味わっていただきたいのです。

では、多くの牛肉のなかから、ドミニクさんがバザス牛やシャロレー牛を好む理由はなんですか?

フランスの牛肉は一般的に、脂身が少なく、味わい深く、やわらかい。

なかでも、バザス牛が好きなのは、赤身肉本来のコクがはっきりと感じられるからです。バザス牛は、フランスの南西部、ジロンド県のバザス村を中心とした地域で飼育される大型牛です。大自然の豊かな牧草地でのんびりと育つんです。牛たちはリラックスして、バカンス気分で、ストレスフリーで大きくなる。これは理想的です。そのおかげで深いコクと力強さが生まれるんですね。

ドミニク・ブシェ トーキョーではさらなる旨味を引き出し、なめらかな食感を楽しんでいただけるように、3週間、生肉を低温熟成させています。

シャロレー牛はブルゴーニュ地域原産の品種で、フランスでは高級牛の代名詞のような存在ですよね

フランスにはワインとおなじように、牛肉にもAOCがあって品質が守られているんです。シャロレー、バザス、リムーザン、ノルマンディー、仔羊ならポイヤックという具合に。それぞれのアペラシオンには厳しい品質の基準がありますから、シャロレー牛といったら、それはもう高品質が約束されているわけです。

とはいえ、わたしがシャロレー牛を調理するのには、実は少し感情的な理由があります。実家が農家で、父はシャロレー牛も育てていたんです。日曜日にはいつも、シャロレーが家族の食卓にならびました。きめ細かい肉に味わいが凝縮されて、中から出てくる肉汁のおいしかったこと! 今でも忘れられない味です。このレストランを、わたしのアパルトマンにあそびにきたように感じていただける雰囲気にしたのは、わたし自身がそうですが、いつの時代も料理の原点は家庭にある、そうであってほしいという願いが込められているからです。

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