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ワインにピッタンコの創作お好み焼王グランプリ 2017

フレンチ、中華、イタリアン、フュージョン、4人の料理人がマッキー牧元審査員に挑む

2番 中華「羊香味坊」〜羊と獅子唐とオタフクソースのお好み焼〜

東京・上野の中華料理「羊香味坊」のオーナーの梁 宝璋さん(左)と。

簡単レシピ
1.羊肉をひき肉状する。
2.食感をだすためにユリの根あるいはレンコンを刻んでボール状に成形。
3.蒸し上げ、キャベツの千切りを敷き詰め上にのせる。
4.クミンとホアジャンと獅子唐辛子をオタフクお好みソースに混ぜて味を調整。
5.4をかけて完成。

羊の旨味と香りが胃袋を鷲づかむ

羊もまさか、オタフクソースを塗られるとは、思ってもいなかったに違いない。しかしここには、初めて出会ったもの同士のよそよそしさは、一切ない。

ふんわりとした獅子頭(注)が口の中に広がると、まず、ソースのうまみが来て、次に甘味が広がり、ソースに混ぜられたクミンと花椒の刺激が鼻を突く。そして、最後にのっそりと羊の旨味と香りがやって来て、胃袋を鷲づかむ。そんな口の中の変化が面白い。また、中に入れられたレンコンのアクセントも生きている。

お好みソースも羊も、許容力が大きく、自分の存在を示しながらも、相手の良さを立てている点が素晴らしい。

獅子頭によくかけられる糖醋(タンツー)という甘酢あんに姿が似ているが、まったく違う。逆にこちらの方が、異郷の雰囲気があるのが面白い。

すかさず、ワインを飲む。合わせたロゼは、ソースや羊の香りを爽やかに流して、また一口食べたいという気にさせる。だが、食べて、まだ口の中に獅子頭が残っているうちに飲むのがいい。

するとソースの甘みに艶が出る。お好みソースがロゼによって、色気を増すとは、偉大な発見である。いやそれも羊の香りがあってのことなのか。その辺りはわからないが、この調子なら、BBQにもオタフクソースを持参し、焼いた子羊に工夫したソースを塗り、ロゼと楽しむのもいいかもしれない。

注:獅子頭(ししとう)
長江北部の揚州、淮安、鎮江を発祥の地とする淮揚料理の肉団子スープ。ここでは、肉団子を指す。豚肉ミンチの肉団子は握りこぶし程度とけっこう大きい。生姜や葱のみじん切り、絞り汁等でミンチに風味を付ける。

合わせたワイン
テッレ・シチリアーネ ローザ・カオリーノ[ロゼ]
IGP Terre Siciliane – Rosa Caolino

生産者のテヌータ・ディ・カステッラーロの畑は、シチリア島の北方にあるエオリア諸島のリーパリ島に点在する複数の畑から成り立っている。コリント・ネロとネロ・ダヴォラのブレンドからつくられるこのロゼは、生産者のHPによると、「複雑で強烈、でも朝のエネルギッシュな光」にたとえられる。「口当たりは複雑でエレガント」で、ベリーのような味わいとミネラルとのバランスに優れている。

 


羊香味坊(やんしゃん・あじぼう)
東京都台東区上野3丁目12-6
☎03-6803-0168
営業時間 月曜~金曜/11:30~24:00(L.O.23:00) 土曜/13:00~24:00(L.O.23:00) 日曜・祝日/13:00~23:00(L.O.22:00)
年中無休

この記事を書いた人

マッキー牧元
マッキー牧元
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、日々飲み食べ歩く。まさに、「食べるグルメマップ」。多くのアーティストの宣伝・制作の仕事のかたわら、1994年には、昭文社刊「山本益博の東京食べる地図」取材執筆、1995年には「味の手帖」に連載を開始するなど、食に関する様々な執筆活動を行う。現在も、「味の手帖」、「食楽」、「銀座百店」、「東京カレンダー」など、多数の雑誌やWebに連載中。日本テレビ「メレンゲの気持ち」、「ぐるぐるナインティナイン」などに出演。

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