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てんとう虫“石川進之介”のお腹がすく話 6

#蕎麦

てんとう虫の石川進之介が、美味しい食材との出会いと料理を紹介する連載企画。第6回目は、年越しの定番、蕎麦!

伊勢海老を一匹使った伊勢海老蕎麦。こんな豪華な蕎麦も年末にはいいかも

シンガポール24時

日本人ならば#蕎麦好き が多いのではないだろうか? 特に関東の蕎麦喰いはうるさい。

小学生の頃、故じいちゃんに東京・自由が丘の蕎麦屋に連れて行ってもらったことがあった。じいちゃんは生粋の江戸っ子。ざる蕎麦が登場するや否や「蕎麦汁に蕎麦をどっぷり浸して食べるのではないッ!」と軽く怒られた(笑)江戸っ子スタイルは、蕎麦つゆに漬ける範囲は箸で掴んだ蕎麦の1番下の部分、2割くらい。ズズッと大きな啜る音を立てて食べるものらしい。

やっぱりたっぷりつゆに浸して蕎麦を食べたい僕の蕎麦旅の思い出というと、シンガポールの旅だ。

ある時、急にシンガポールに飛び立つことになった。僕が監修させてもらった日本産のプラムソルトがシンガポールで販売されることになり、その販促と取材に駆けつけることになったのだ。急ぎだったせいで、僕は自分で航空券と滞在先ホテルを別々にWEBで取った。そして、いつものように何も気にせずシンガポールライフを過ごした。

仕事も終えいざ日本へ帰るぞ、という日に事件が起きた。

スムーズ&スマートに進んだのはシンガポールチャンギ国際空港カウンターまで
だった。Eチケットを渡した途端に、カウンターのスタッフは難しい顔をしてカチカチと音をたてパソコンの操作をし始めた。

えっ!? 何なに!汗

そして早口のシングリッシュで

「あなたのフライトは昨日の夜12時にすでに飛んじゃってます。」

「?」

僕は言っている意味がしばらく分からなかった。頭がぐるぐるし始め、こちらも必死で説明した。

それでわかったのは、チケットに表記された12時は、その日の0時であって、24時ではないということだった。当たり前の話だと思うかもしれないが、旅行会社の当時親身に航空チケットを取って下さった方にLINEで電話したら、このケース我々業界でもたまに起きるミスなんですよ。やっちゃいましたね。

その日で急に航空会社も変えチケットを購入するのはあまりにも高額で、これじゃー仕事で来たのに大幅な赤字だ、と少々嘆いたが、僕はスターアライアンスを応援していることもあって日本の青い翼が手を差し伸べてくれた。翌朝便であれば1席確保できますと。

疲れを取りたくて、空港内にあるエアポートホテルにチェックインが夜中2時、チェックアウトが朝6時という条件で部屋をとった。爆睡後に荷物検査へ。今度はキャリーバッグに入っていたマルチナイフの存在をうっかり忘れていた僕は、お気に入りのマルチナイフも没取される羽目に……とほほ。

それでも青い翼に無事に搭乗できた喜びはこの上なかった。なんだか遭難して救助された思いだった。

いつもより深くシートに座り、しばらくすると楽しみの1つ機内食がやってきた。すかさず和食をエントリーした僕は、ここで出てきた親子丼のつけ合わせの蕎麦に超感動してしまったのだ。

雲の上ですすることのできた蕎麦。幸せだった。

東京に戻り、気になる蕎麦屋へ足を運んだ。

伊勢海老を丸々1匹使った〝伊勢海老蕎麦〞というのを喰らうためだ。こんな豪華な蕎麦もあれば上空で癒された小さなカップに入った蕎麦もある。忙しい時の立ったまま一気に駆け込む蕎麦もある。旅先で出会う丁寧に打たれた蕎麦に舌鼓を打つ時もある。蕎麦はきっと人生に寄り添うものなんだろう。

だから〝そば〞というのか(笑)

2019年ももうすぐ幕を閉じる。スポーツや災害で起伏の激しい1年だったように思う。2020年を迎える皆さんはどんな想いで年越し蕎麦をすするのだろうか。

この記事を書いた人

石川進之介
石川進之介
株式会社ミスズライフ ビジネスディベロップメントマネージャー
元・旅するシェフ。世界37ヶ国で出張シェフとして活躍した。
商品開発・農畜産漁業関連のコンサルティング、メディア露出、レシピ本含めた書籍多数。
現在は、冷凍のカットぶなしめじの国内外での販路開拓とPR活動に尽力中。

夢:このカットぶなしめじで世界を結ぶこと。
趣味:自宅でおいしいご飯とワインを飲むこと。

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