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日本ワイン進化の秘密はブドウにあった!?

情熱あふれる、ある栽培家の話

「最近の日本ワインは、本当に美味しくなった」
多くのワイン好きがそう思っているのではないだろうか。種類も増えたが、そのほとんどがかなりうまい。その背景には、技術と知識の進歩がある。作り手の情熱もある。でも、その最大の原因は原料のブドウにあるのではないだろうか。グランポレールの新ヴィンテージを味わいながら、そんなことを考えていた。
ブドウ 

ブドウ畑の風景が変わった

山梨県や長野県あたりを歩くと、最近のブドウ畑は垣根仕立てが多いことに気づく。昔は、ブドウ畑といえば棚造りが定番だった。高温多湿の日本には、風通しの良いこの方式がよく合った。面積あたりの収穫量も多いそうだ。

GI Yamanashiのシンポジウムの時だったと思う。人気テレビ番組「料理の鉄人」でイタリアンの鉄人としてその名を轟かせた神戸勝彦シェフの実家は、山梨のブドウ栽培農家なのだそうだ。その彼がこんなことを語っていた。「最近はブドウ畑の風景が変わった」と。

子供の時には、近所にたくさんあったブドウ棚がなくなった、と言うのだ。出かけるときは、ブドウ棚の下を突っ切って行くことができたのに、今は遠回りしなければいけない、と聴衆を笑わせながら語ったのは、つまり、ワインの原料としてのブドウを専門に育てる農家が増えたということだった。

昔は、ほどんどの農家は生食のためのブドウを栽培していた。そしてその余りをワイン造りに回していた。ワイナリーは、できの悪いブドウしか手に入らなかったわけである。

それでは、美味しいワインなどできるはずがない。ボルドーもブルゴーニュも美味しいブドウが育つから、美味しいワインができる。カリフォルニアやチリ、オーストラリアなどニューワールドのワインだって、その例外ではない。

ワイン醸造のためのブドウを栽培する農家が増えたこと、ワイナリーが質のいいブドウを手に入れることができるようになったこと、これが日本ワインが美味しくなった理由の一つであることは間違いない。栽培農家の技術やノウハウの進化、そして情熱が、日本ワインのレベルを一気に押し上げたのだ。

日本ワインの前途は明るい

こんなことを考えたのには理由がある。日本ワインのリーディングブランドの一つである「グランポレール」のブドウを栽培している弘津敏氏の話を聞く機会があったことだ。

弘津敏氏

東京・銀座のグランポレールワインバートーキョーで、ブドウ栽培への熱い思いを語る弘津敏氏

弘津氏は、北海道の余市でブドウ農園「ヒロツヴィンヤード」を経営している。サッポロビールの契約栽培農家として、ケルナー、ツヴァイゲルト・レーベ、バッカス、ピノノワールなど、数種類のブドウ品種を栽培、その品質の良さには定評がある。彼のブドウを使った「グランポレール北海道バッカス辛口」は、昨年(2017年)、ロンドンで開催された「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」で日本ワイン唯一の金賞受賞という快挙を成し遂げた。

試飲してみると、その芳醇な香りに驚かされる。爽やかな酸味の中に、ブドウならではの甘さが感じられる。なるほど、うまい。
グランポレールの最高峰と言われる、シングルヴィンヤードシリーズにも広津氏のブドウは選ばれている。グランポレール北海道余市ピノ・ノワールだ。ヒロツヴィンヤードのピノ・ノワールだけを使用して造られている。

これも香りは華やか。柔らかなタンニンが舌に心地いい。新ヴィンテージの2015は、以前の物より果実味が強く感じられる。この年は、収穫期前半の成熟が早かった一方で、中盤から後半にかけてはゆっくりと成熟し、平年より高熟度・高酸度が特徴の品質の高いブドウができたと、弘津氏は語っていた。

彼の話からは、ブドウ栽培にかける情熱とブドウに対する愛がひしひしと伝わってきた。こういう人たちが日本ワインを支えているのだ。そして、弘津氏のような情熱に溢れた栽培家と醸造家が、いま日本にはどんどん増えている。

日本ワインの前途は明るい。

グランポレール

グランポレールシングルヴィンヤードシリーズの新ヴィンテージ。一番右が北海道余市ピノ・ノワール

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