アームチェア〝ワイン〟トラベラー Vol.6

できれば吉瀬美智子さんは、チャイナドレスを着ていてほしい。

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おお、いけるじゃないですか

冷やすか、やめるべきか。

送られてきたワインが瓶の外からはなかなか様子がわからず、いつも悩んでいた。

しかしそれでは、敵の術中である。こちらも楽しんでやらなければいけない。ということで今回は、箱から出さずに、白か赤、もしくは泡を想像して、処置をすることにした。

今回は白。そう決めつけて箱ごと冷蔵庫に、入れておいた。

厳重に密閉された箱を、慎重に開ける。ブラインドテイスティングとは、ここからはじめなきゃいけないんじゃないかと、勝手な理論を思い浮かべながら開ける。

おお白だ。冷えて曇った薄茶の半透明な瓶に入りしは、明らかに白である。

グラスに注げば、淡い小麦色の液体が流れ出て、輝きを見せる。いいぞ。いい出だしだぞ。

飲めば、ブドウをそのまま加味しているようなブドウ感が強くあって、食欲も誘う。

用意したのは、チキンのローストと各種チーズである。まずは、鳥を一口。

悪くない。だがもっと近づける。そこでポン酢に漬けてみた。大分近づいてきた。冷蔵庫を覗けば、仏手柑(ぶしゅかん)酢があったので、塩酢にしてチキンを漬け、ワインを飲んでみた。

おお、いけるじゃないですか。仏手柑の香りも鶏の滋味も、途端にエレガントになる。なにかこう、ときめかせる色気も出る。これは柑橘酢を使った料理と相性がよさそうである。ポン酢で食べる豚しゃぶなんかよさそうだな。鯛やクエを昆布出汁で煮て、ポン酢で食べるチリ煮なんか、和食に可憐を与えるワインではないか。

試みに別の方向でと、鶏にトリュフ塩をかけてワインを飲んでみたが、これはいけません。塩分が余計に立ち、トリュフ塩に潜むエグミが出てしまった。

じゃあ次はと取り出したのが、「白熟クリーム」。岐阜の泉屋が作る、子持ち鮎の馴れずしのご飯に、生クリームとサワークリームを混ぜたもので、焼いたバケットに塗って食べ、すかさずワインを飲む。

フフ。いいねえ。白熟クリームが隠していたエッチな心が前面に出て、心をくすぐる。

では次はチーズを合わせてみよう。手元にあった北海道酪恵舎のウオッシュチーズのロビオーラでやってみた。

うんいいぞ。塩がまろやかになり、味が艶を帯びて、口の中でチーズとワインがダンスを踊っている。

出会ったものを優美にするワインなのか。素晴らしい。恐らくオランデーズソースをかけたアスパラガスとか、深い酸が効いた、白身魚のブールブランソースといった料理とも共鳴するだろう。華麗に受け止めて、夢心地にしてくれるに違いない。

この記事を書いた人

マッキー牧元
マッキー牧元
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、日々飲み食べ歩く。まさに、「食べるグルメマップ」。多くのアーティストの宣伝・制作の仕事のかたわら、1994年には、昭文社刊「山本益博の東京食べる地図」取材執筆、1995年には「味の手帖」に連載を開始するなど、食に関する様々な執筆活動を行う。現在も、「味の手帖」、「食楽」、「銀座百店」、「東京カレンダー」など、多数の雑誌やWebに連載中。日本テレビ「メレンゲの気持ち」、「ぐるぐるナインティナイン」などに出演。

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