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南半球格上ワイン(2) オーストラリア(日本におけるオススメ料理店とワイン編)

恵比寿のサウスでオマールのフリットと「シロメイ」のシャルドネを

南半球格上ワインのオーストラリア編。日本におけるオーストラリア料理と同ワインのオススメをクイーンズランド州出身のポールさんにうかがいました。ポールさんはクイーンズランド大学で日本語とジャーナリズムを専攻し、卒業後にワーキングホリデー制度で来日。その後、故郷へ戻り、日系の会社勤務を経て、再び来日。JSAワインエキスパートの資格を持つワインラバーです。

文 : 山本真紀 写真 : 山本イクコ

オマールのフリットに「シロメイ」のシャルドネを

ポール・サマーズさん(クイーンズランド州政府観光局日本局長)

シロメイ シグネチャー コレクション シャルドネ (ボトル6,000円、グラス1,200円)
クイーンズランド随一の知名度を誇るワイナリー、「シロメイ」ではピーター・リーマン出身の醸造家が腕を振るう。「シグネチャーのクラスは、接待など、ちょっと特別なシーン向き」(サマーズさん)

カナダ産オマールのフリット(2,600円)
細麺を巻いて揚げたトルコ料理のカダイフ風で、カリっとした衣、しっとりしたエビの対比が楽しめる。「油のキレもよく、シャルドネの酸のおかげでちょうどいい具合に口中がサッパリします」(サマーズさん)

クイーンズランド州政府観光局日本局長 ポール・サマーズさん

ここ7年でワイナリーが倍増

オーストラリアでワイン産地として有名なのは、南オーストラリア州でしょう。オーストラリア全生産量の半分は南オーストラリア産だから、バロッサ・ヴァレーやクナワラのワイナリーを巡る観光ツアーも盛んですね。

次に続くのが、ビクトリア州のヤラ・ヴァレーやニュー・サウス・ウェールズ州のハンター・ヴァレー。その先にあるのが、クイーンズランド。ちょっとマニアックになるかも(笑)。

でも、ワインを知り尽くした日本人のお客様には、ぜひ行っていただきたい。

ゴールドコーストは有名ですけれど、ワイン産地として、クイーンズランド州はまだメジャーではありません。

亜熱帯気候でワイン造りには適していないイメージがあるんです。けれども、グラニット・ベルトと呼ばれるエリア、とくにスタンソープという町の界隈にワイナリーが集中し始めています。海抜は1200メートルで、州内で唯一、雪が降る場所。「グラニット(花崗岩)」の名前の通り、土壌は花崗岩ですので、テロワールとしてはブドウ栽培に適しているんです。

ひと昔前は、クイーンズランドのワインといえば、マンゴーワインのようなフルーツワインの産地でした。そのイメージが覆され、今では品のあるワインが造れる産地として見直されているんです。

クイーンズランドを代表するワイナリーのひとつ、「シロメイ」の醸造家であるアダム・チャップマンさんとお会いしたことがあるんですが、彼が言うには、90年代くらいまでクイーンズランド産のワインは見下されていたとか。それが今では、小さなワイナリーの造るクイーンズランド産ワインが、料飲店のメニューに載り始めているんだそうです。クイーンズランドには現在50以上のワイナリーが存在していますが、ここ7年ほどで新規の生産者が参入して倍増した結果の数です。

でもね、まだ大量に輸出できるような量は造られていません。カルトワインのレベルで、原価が高いから市場価格も高めです。スーパータスカンが出てきたころのトスカーナ、みたいなものでしょうか。

私、JSAワインエキスパートの資格を持っているんです。仕事は長いこと観光業に携わってきましたけど、8年間だけ浮気(笑)して、ワインの輸入会社に勤めていました。そのときはワイン三昧で、ワインスクールに通って必死に勉強し、日本語で試験を受けましたよ(遠い目)。

クリスマスはシラーズのスパークリング

私、クイーンズランドにいたころは基本、赤ワインを飲まなかったんですよ。亜熱帯で一日中汗をかいてるから、常温で赤を飲みたくなる日がなくて。エアコンをがんがんかけて赤を飲む、なんてことをクイーンズランド人はしません(笑)。みんな地球にやさしい過ごし方を意識しているので、冷房はシーリングファンが主流。ワインショップに並んでいるワインも、白やスパークリングがメインで、それらを冷やして飲むんです。

ただ、赤でもスパークリングは例外。オーストラリアでは真夏のクリスマスになると、シラーズのスパークリングに人気が集まります。クイーンズランド州ならではの赤スパークリング用品種としては、シャンボサンという交配品種が80年代から流行ってきました。フランス系とアメリカ系の品種をかけあわせた赤のスティルワイン用品種ですが、こちらでは赤スパークリング用として認知されています。

品種の話を続けますと、クイーンズランド州の隠れた強みは、まだほかにも。国際品種だけでなく、イタリアのフィアーノやジョージアのサペラヴィなど、ほかの州では植えられていない様々な品種が実験的に栽培されています。クイーンズランド人は冒険好きで、サントリーさんではありませんが、「やってみなはれ」な気質。なんでもとりあえずやってみる、と。

そういった面白いワインを、クイーンズランドでは海沿いで楽しむんです。ライフスタイルは、アウトドア寄り。ゴールドコーストでは、海に面したカフェやレストランで、波の音を聞きながらワインを飲みます。

合わせるのは、海の幸。

さきほど、クリスマスに飲むのは赤スパークリングという話をしましたけれど、クリスマス料理の定番も七面鳥じゃないんですよ。暑いから、やっぱりシーフードとか、あとはスイカ(笑)。ほかのシーズンは、プラッターに盛り合わせた魚介類をつまみに、冷えた白やスパークリングを。

ゴールドコーストの名産は、エビです。モートン島のウチワエビが有名ですが、日本ならオマールエビが入手しやすい。機会があれば、オマールとクイーンズランドの白を合わせてみて。

カナダ産オマールのフリット(2,600円)

今回、恵比寿「サウス」で用意していただいたのが、そのオマールエビのフリットです。ワインはもちろん、クイーンズランド産のシャルドネ。一時期、世界的にシャルドネが飲み飽きられていた風潮がありましたけど、今はまた一周まわってシャルドネ人気が復活しています。このシャルドネは、シロメイのシグネチャー・コレクション。ちょっと格上のシリーズですね。キリッとした酸やミネラルがありつつ、しなやかなニュアンスです。

ワイナリーはブリスベン空港から車で30分の距離にあって、レストランや試飲スペースも充実しています。そもそもオーストラリアはチップの習慣がないし、クイーンズランドは観光地のわりに物価も高くない。訪問しやすいですよ!

South(サウス) 
東京都渋谷区恵比寿4-20-3
恵比寿ガーデンプレイスタワー39階
tel.03-5793-1955
営業時間 11:30~15:00(L.O.14:30)、17:30~ 23:00(L.O.22:30)
休 無(ビルに準ずる)

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