ソムリエ界の若きエリートが語る魅惑的なワインたち

トレジャリー・ワイン・エステーツの選り抜きワインをテイスティング

トレジャリー・ワイン・エステーツの多彩な取扱いワインのなかからオーストラリア、ニュージーランドに焦点を当て、20~30代の感度抜群なソムリエたちがテイスティング。彼らが個人買いしたくなった銘柄、また注目すべきポイントとは?

 

 

 

まずは、今回ご登場いただく注目の若手ソムリエ4人をご紹介します。

井黒卓さん

井黒 卓/TAKU IGURO
「ロオジエ」ソムリエ。ASI(国際ソムリエ協会)ソムリエ。第4回JSAソムリエ・スカラシップ優秀賞受賞、ポルトガル・ワイン・コンクール2016優勝。

 

谷川雄作さん

谷川 雄作/YUSAKU TANIKAWAO
「ティエリー・マルクス」「ビストロ・マルクス」シェフソムリエ。ASI(国際ソムリエ協会)ソムリエ。銀座「Faro資生堂」「ZURRIOLA」勤務ののち現職。第2回JSAソムリエ・スカラシップ優秀賞受賞。

 

森本美幸さん

森本 美雪/MIYUKI MORIMOTO
「コンラッド東京」アシスタント ヘッド ソムリエ。第4回JSAソムリエ・スカラシップ優秀賞、ニュージーランド・ワイングロワーズ賞受賞。第7回全日本最優秀ソムリエ・コンクール5位入賞。

 

山本晃平さん

山本 晃平/KOHEI YAMAMOTO
「チェナクレーム」支配人兼シェフソムリエ。大阪、東京でのホテル勤務等を経て現職に。HRS認定レストランサービス技能士1級、第27回技能グランプリ金賞(厚生労働大臣賞 受賞)。

それでは、若手ソムリエ座談会、スタートです。

安定した品質はソムリエにとってありがたい存在

森本
トレジャリー ワイン エステーツ(TWE)が扱うワインは、たくさんのブランドがそろい、私でもまだ見たことのないアイテムも。選ぶ自由がありますね。

井黒
私たちが今回試飲したのはオーストラリアとニュージーランドですが、その多くが日本でも名前の知れたブランドではあります。

谷川
すべてのワイナリーが共通して、クリーンな造り。今、オーストラリアのワイン造りは二極化しているんですよね。片方は冒険的だけれどもリスキーなタイプ。もう片方が、TWEのすべてのワインに共通する、信頼感のあるタイプでしょう。

山本
確かにTWEのワインは、どのカテゴリーでもいいテンションでまとまっているんです。最初にちょっとアルコールがリードしていても、後から上手く果実味を引っ張ってくるワインとか。そして、どれも飲み疲れしません。

谷川
ワインを売る側として、お客様に対してワインのリスクを負う責任は僕たちにある。だから、安全なワインのほうがありがたいものです。

森本
クリーンで安全。そのなかで、スパークリングから赤まで、品種も数あるなかから選ぶことができて、どれをとっても間違いがない。私、仕事で山梨へ行く機会が多いので日本ワイン専門の人と思われがちなんですが(笑)、プライベートでは案外とニュージーランドやオーストラリアを選んで飲んでるんです。とくにニュージーランドは、コンクール優秀賞の副賞としてワイン研修に参加した国。今回試飲したシークレット・ストーンの白は、ニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランの典型でしたね。

森本美幸テイスティング

 

谷川
ああ、これは誰もが飲んですぐに産地と品種が分かったワイン。

森本
自分が普段食べるものに合わせやすいんですよ、酸ののったニュージーランドの白って。酸の豊かな高級シャンパーニュを用意しなくても済む。

谷川
私が普段飲んでるのは、そのシャンパーニュより価格が控えめなスパークリングが多いかな。また仕事柄、珍しい品種やエリアのワインを探して飲むようにしていて、王道の品種が多いオーストラリアやニュージーランドは最近飲んでなかった……。でも、じつは過去に私のオーストラリア・ワインのイメージを覆してくれたのは、ペンフォールドのリースリングなんです。

山本
ローソンズ・リトリートを設立した造り手のワインですね。

谷川
オーストラリアのワインは、どこも暑い気候で果実味ばかり強いイメージがあるでしょう。酸に伸びのある繊細なワインに出会って、認識をあらためました。

山本晃平テイスティング

山本
私がプライベートでパッと選ぶワインは、2,000~3,000円台中心。まさに、今回試飲した価格帯です。また店でお出しするワインについても、自分でリストを作る際はオーストラリアのようなニューワールド産が多くなります。やっぱり、このエリアのワインはアプローチが気さくなんですよね。

 

井黒
私が勤務している銀座のフランス料理店でも、オーストラリアのワインを置いてますよ。しかも、手頃な価格のアイテムを。

谷川
ワインが好きな方って、頻繁に「エレガントなワインを」とオーダーされますよね。でも実際にサービスしていると、きっちり樽が効いている濃厚なワインが好きな人は少なくないんです。そのニーズにこたえるワインが手頃な価格帯で入手できると、こちらとしても売りやすい。

山本
かといってTWEのワインは、濃厚なだけで終わらないんです。あまり赤ワインの味わい表現には使いませんが、シラーズからは磯や海苔のような海の香りまで感じました。

南半球ならではの収穫年を見極め、シラーズ飲み比べも楽しい

井黒
あと、ヴィンテージに注目したい。南半球は北半球と収穫期が違うので、もう2016年のワインが飲める楽しさがある。14年のワインになると、すでに熟成感が出ています。

森本
造ったらすぐ販売するワイナリーばかりなので、現在の日本で13、14年産が入手できるのは魅力的。きっと生産者が最高の状態のまま保管してくれていたんだなぁ。

井黒
そうなんです。販売元が熟成させて売るスタイルは、なかなか定着してないですからね。

谷川
ブドウの成熟度を見極め、絶妙なタイミングで収穫しているレベルの高さにも感心しました。たとえばシラーズのワインを4本飲み比べてみて、どれも過熟していない。ローソンズ・リトリートは甘さを感じて軽快。春にぴったりですね。ウィンズは、果実味を主体にまとまりがあって繊細。ペッパージャックは「シラーズ」「マクラーレン・ヴェイル・シラーズ」の2種ありましたが、前者は香りが複雑でバランスがいい。後者は、個人的に買いたい!

谷川雄作テイスティング

 

井黒
果実の濃縮感、フレッシュで明るい酸味がありましたよ。家庭でも楽しめるし、熟成肉を出すようなステーキハウスでは、これをグラスワインで提供してくれると間違いなく合う。

森本
オーストラリアは広くて、地域ごとの違いをとらえるのが難しい。だから、「同じアイテムで飲み比べしてみてください」とご案内できるのは助かります。

山本
シチュエーションを問わずに使い勝手がいいのは、イエロー・グレンの「イエロー・ブリュット・キュヴェ」。最初にアペリティフとして、最後はデザートにも合わせられる。いちごのショートケーキなどとペアリングさせたいですね。ワインの酸がいちごの酸味にぴったりで、生クリームは泡で流してくれそうです。

森本
白ワインで印象的だったのは、コールドストリーム・ヒルズの「シャルドネ」。樽の使い方が上手で、果実味に寄りすぎてもいなくて、嫌味がない。明らかに別格です。世界的に見て、日本人は辛口好きなんですよね。オーストラリアでは、同じ銘柄でも日本への輸出向けにはわざわざ辛口に仕立てる造り手もいるほど。

井黒
考えてますね。オーストラリアでは、ほとんどのワイナリーがスクリューキャップを導入している点も、僕は評価してます。

森本
スクリューキャップのワインは安い、早飲み向きだという考え方が昔はありました。

井黒
「ワインはコルク栓でなければ」という信仰はもう、ほとんど消えてるとは思いますけど。

森本
オーストラリアのクナワラ地域をけん引してきた老舗ワイナリー「ウィンズ・クナワラ・エステート」だって、長年コルクを使用してきたものの今やスクリューキャップに。「ブラック・ラベル カベルネソーヴィニヨン」は、味わいこそ旧来の優れた造りを見せつつ、コルク栓ではありません。守るところは守り、伝統に縛られず新しいものも取り入れる、その姿勢に好感が持てます。

井黒卓テイスティング

井黒
これから屋外でBBQや花見をする機会も増えるはず。そういった場では、スマートに開けられるスクリューキャップのほうがオシャレでかっこいい。ただし、コルクより簡単に開けやすい分、衝撃に弱くデリケートな栓でもある点に注意してほしいですね。ワインの中身のことも考え、スクリューキャップのボトルは総じて丁寧に扱うべき。

 

山本
スクリューキャップをいち早く普及させたことからも分かる通り、オーストラリアは様々な文化を柔軟に受け入れられるお国柄。ワインの中身についても、チャーミングに仕上げようという意気込みを最初から持ってバランスのいい味わいを完成させる造り手がたくさん。ヨーロッパには見られない造りが、オーストラリアとニュージーランドの強みですね。

<気になるテイスティング結果は次ページで>

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