ワイン作りの収穫現場、潜入レポート

Vendemmia 2017 の裏側に迫る

ワイナリーにとって一年のハイライトともいえるVendemmia、つまり収穫。醸造所ではどのようにワイン造りが行われているのでしょうか、

夏が終わりを告げるといよいよ収穫の季節の始まりです。今年の夏はイタリア全土が猛暑に見舞われ、どこのワイナリーでも2〜3週間、収穫時期を早めていたようです。私がブランドアンバサダーを務めるワイナリー「MARCOCARPINETI」(http://www.marcocarpineti.com/)
に9月中旬に収穫の見学に行ってきました。

畑作業に従事して10年以上というAnaに案内してもらい、熟したブドウをつまみながら散策しました。「ここのブドウ達はもう少し収穫を待った方がいいわね」と、まるでわが子に話しかけるようにブドウを見つめる姿が印象的でした。畑には白ワイン用Bellone,Greco、赤ワイン用Nero Buono,Montepulciano,Cesanese等が栽培されています。

除草剤や化学肥料を用いないビオロジコ、ビオディナミコ手法の農園なので、雑草も生えているし、耕作には馬を用いているので土が固くなくふかふかしています。
(2017年10月11日の記事「イタリアワインに魅せられて」参照)

VENDEMMIA

収穫はスピードが命

 

収穫作業は機械ではなく手作業で行われ、目にもとまらぬ速さで収穫すべきブドウとそうでないものを選り分けていました。収穫されたブドウはすぐさま醸造所に運ばれ、除梗・破砕後、白ワインの場合圧搾機にかけた後、赤ワインの場合は直接ステンレスタンクに移されて発酵の時を待ちます。

圧搾時の圧力が強すぎると雑味が強くなることから、ブドウへの負荷を抑えてソフトにプレスできるような圧搾機をここでは使用しています。畑だけではなくその醸造過程においても、ていねいにワイン造りに向き合う彼らの姿勢が感じられます。

これら一連の作業は速やかに行われなければなりません。さもないとブドウの実の割れ目から酸化・発酵が始まり、風味が劣化する恐れがあるからです。

一刻一秒を争う状況下、醸造所のメンバーはキビキビと作業を行っています。でも決してピリピリしたり怒号が飛び交うような雰囲気ではなく、皆が楽しみながらそれぞれの持ち場で作業を進めていました。

例えるのなら、お祭りの準備のあのワクワクするような高揚感とでもいうのでしょうか。

 

CANTINA

一刻一秒争う状況下ポーズしてくれた愉快な仲間達

BELLONE

土着品種Bellone

 

お昼休みにはPaoloや醸造所のメンバー、オフィススタッフ全員で大きなテーブルに集まって食事をしました。

醸造所での真剣な雰囲気とはうって変わって、みんな冗談を言い合ったりしてそれは和気藹々とした大家族のような光景でした。

ワイナリーを支える人たちと収穫の時間を共有し、彼らのワイン造りにかける情熱を感じることができました。

ケミカルなものに頼らないブドウ栽培、ワイン造りをしているからこそ、「ワイン=人」なんだと実感した一日でした。

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MINA
外資系金融に長年勤務するも、イタリアワインが好き過ぎて2017年よりイタリアに渡航し、ローマ近郊のワイナリーMARCOCARPINETI にてブランドアンバサダーとしてPRや翻訳を担当しワインの研鑽を積む。滞在中にイタリア中を旅して出会ったイタリアのワイン、人、文化の魅力を伝えます。

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