ワインブームも頂点に達し、ファンの夢は自分が蔵元になること。醸造することへの関心は高まっている。筆者は醸造を学べるコースとして人気がある、塩尻ワイン大学の二期生として合格し、入学する機会を得たことで授業内容にそっての体験レポート公開を許された。
茂原先生と大野田幸彦氏

実習指導する茂原泉先生(右)とブドウ畑の持ち主、大野田幸彦氏(左)

ブドウの管理について「芽かき」

塩尻ワイン大学では、ブドウ栽培の座学や実技の指導を経験豊富な茂原泉氏が講義を担当する。とても丁寧なのだが、私は他の受講生ほど事前に知識が無く、付いていくのがやっとの思いで勉強している。読者の皆様と一緒に確認していきたい。

ブドウの基本情報と台木の選び方

ブドウの来歴や種類、台木の選び方についてだが、生食用と醸造用のブドウの違いなどは既に読者も有識であるはずだ。あえて触れると、生食用ブドウは大房・大粒・高糖度・高着色・密着房を目標としているのに対し、醸造用ブドウは小房・小粒・高糖度・高着色・粗着が果房目標としているので、目指すものが異なる。

台木の選び方は、ウイスルフリーであることが前提であり、重要。日本の気候や土壌、栽培品種に適した台木のなかで人気の高いのは、「ベルランデイエリ×リパリア」のテレキ系台木である。なかでも「テレキ5BB」の人気は圧倒的で強健性・早熟性・品質向上性などで秀逸。テレキ系の兄弟品種「8B」「5C」「無毛テレキ」なども適応性が高い。

春の大仕事は、何といっても芽かき

世間では桜が咲いたの、花見だといっている行楽シーズンにブドウ農家では重要な大仕事が行われる。要するに、必要のない芽を取るのだが、芽かきをしないと新梢が混みあい日光にあたらないところも出来て、互いの果実品質が劣り、病害虫の発生リスクが高まる。新梢の勢力差が大きくなり果実品質や成熟もばらつく等の弊害も生じる可能性大。この作業を怠ると、薬液の付着が悪くなる他、芽が出揃わずに収穫量が少なくなり、結果的に減収に繋がるという落とし穴が。それは怖い。しっかりと学ばなければ。新梢をある程度、揃えるためには比較的早期(展葉3~5枚まで)に芽かきをすることが必要とのこと。

どのくらいの大きさになったら、一つの葉と数えるのか?

これは筆者も前から好奇心を持っていたが、だいたい500円玉くらいの大きさで1葉、2葉と数えていく。一つの芽から主芽と副芽が出るので、副芽を取り除いて樹勢の調整を行うのが芽かきである。

基部優勢というブドウの性質

ブドウでは枝の中で幹からより遠い芽が、優先的に発芽・生長する性質がある。樹勢の旺盛な日本(塩尻)では基部優勢(バスィトニー)が表れやすいと言われた。どの芽から発生する枝の伸長が良いのか,花穂が良いのを判断し、残す芽を決める必要がある。基部優勢を配慮し、どの位置から発生しているかを見極め、その後の成長状態が異なる他、樹齢によっても考え方は変わるので経験しながら覚えていくしかなさそうだ。

塩尻市内の圃場にて、実習

ワイン大学一期生である先輩の大野田幸彦氏の圃場で、平成30年5月27日に実習が行われた。

今年は生育が早く、芽かきよりも誘引が主の作業に。以前も何度かワイナリーでのお手伝いは経験済みなので、黙々と作業をする筆者。

だが今でも、これを切って良いか迷うことは多く、実習指導を手伝いに来てくれている一期生の皆さんたちに判断を相談しながら切り落とす瞬間も。前に手伝ったワイナリーは、見ながら自分で覚えていくところだったから、相談できる人がいるって良いなーと、ひたすら感動!

 
ブドウ畑で作業をする筆者

ブドウ畑で作業をする筆者

新梢を持ち帰って天麩羅にしたら美味しいだろうなと、食べることしか考えてない筆者の横で、先輩が切り落とした新梢を集めていた。「食べるのですか?」との問いに、冷ややかな目で「これは、緑枝接ぎにするんです」との回答。

いやそれ、ハードル高すぎだから。一期生とのレベル差をリアルに感じた筆者だが、いつかは後輩に教えられるようになるのだろうか。道のりは長い。

ブドウ畑

大野田幸彦氏のブドウ畑

この記事を書いた人

Misa "Pixie" Shimada
Misa "Pixie" Shimada
海外ワインオークション代理人として、ワインの個人輸入をサポートしながら、都内のワインバーやワインショップをプロデュース。
六本木にあるワインバーのチビッコマダムでもある。
2018年春に応募者多数で狭き門の塩尻ワイン大学二期生に合格し、現在は塩尻市に通いながら、葡萄栽培と醸造を勉強中。
近い将来にワイナリー創業を目指している。
落札代行「ワインオークションクリマ」http://www.climat.org/auction/

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