製品としてでき上がったワインだけを見ると華やかなワインも、ブドウのお酒である。
その後ろには必ず、農産物を作る人がいる。その想いを知ると、なぜだろうワインの味わいが変わる気がするのだ。より、美味しく飲むために生産者の想いを知る。

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ワインの季節は、ワイナリーへと身体が動く。楽しむという余裕よりも、背筋を正し、学びを得るために。山梨にあるサントリー登美の丘ワイナリーへ。サントリー×料理サイトレシピブログのブロガーによる”日本ワインファンバサダー”の見学イベントに参加した。優しく柔らかな笑顔の所長に迎えられ、サントリーの皆さま、レシピブログさま、日本ワインファンバサダーらと共に見学する。

今年は長雨と台風の影響で収穫が早まったとのことだが、今回のイベントのために日本固有品種「甲州」の一画を残しておいて下さった。そのご厚意に胸が熱くなってしまう。
≪日本の甲州は特に大切にしている≫と天塩にかけて育てている様子を拝見すると、やはり“美味しさ”という数字では見えない味わいも格段に上がるというものだ。

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甲州はワインの味わいは穏やかで控えめだが、実際の実は驚くほど果皮が厚く、ほんのりと渋みがある。生食でもあるように、そのまま食べてもフルーティで実に美味しい。

畑を見て回り、醸造過程と熟成庫を見学する。日頃、ワインの雑誌や本、文献などを読んでいるだけでは気付かないこと、それは工程ごとの「香り」だ。醸造中には、アルコールの香りやリンゴやバナナのようなフルーツに似た香りが立ち込める。

熟成庫に行くと、薄暗く湿った香りに「あぁカッコいい!!」と思わず発してしまった。五感を使って学ぶ、…やはり“マテ”の状態はツライ。「早く味わいたい…」という気持ちを抑えながらも、ブログ読者に伝える任務があるのだと気を引き締め、所長の話をメモする。

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待ちに待ったテイスティング。お昼を食べ損ねた私は空腹のあまり血糖値を上げたくて飛び付きそうになる。おっとっと。。
「一口飲んで、風土を感じるようなワインにしたい。華やかさよりも優しさを味わってほしい。」という所長のお話とともに注がれたのは、まだエチケットも無い今年のベースとなったワインだ。これはありがたい! 甲州・マスカットベーリーAの2016年はどちらも香りが豊かな印象で、甲州に至っては甘さのある香りとボリュームが出ている。でき上がった新酒の到着を心待ちにしようと思う。

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ワインは雄弁だと、よく言われるがもちろん話せるわけではない。色を愛で、香りと味わいが話しかけてくるように「伝える」必要がある。
ソムリエを筆頭とするワインの仕事に就く人達は、生産者の想いを届ける仕事だとも言われる。では、ワインエキスパートの役割は? 最近は講師というものをする機会はあるが、日々の日常で周りに口コミのように広げることが出来るのはむしろワインエキスパートだと思うのだ。少なからず「知識ある愛好者」として。

「知識ある愛好者」の名に恥じぬように、さらに学びを深めていかなくてはと作り手の優しく柔らかな笑顔に背中を押されたような気がした。

この記事を書いた人

紀子
紀子
1985年生まれ。
J.S.Aワインエキスパート。
小さなワインのお教室をしている傍ら、ワイン好きによるこだわりの創作おつまみレシピを料理サイト・ブログで掲載。
女性の皆さまへワインライフが豊かになるコツを発信中。
blog: http://ameblo.jp/norikostyle2