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ストラスブールのワイン展示会で会った素敵なアルザスワイナリー、AIMESTENTZ

SALON VIGNORONS DES INDEPENDENTS その②

フランス、ストラスブールで開催されたBtoBのワイン展示会に行って来たので、前回はこちらで出展していたアルザスワインを紹介した。今回はこの展示会で長時間に渡り、丁寧にワインの説明をして下さり、たくさんのワインテイスティングをさせてくれた、私のお気に入りのワイナリーの一つをご紹介したいと思う。
ストラスブールのワイン展示会この展示会は通常ストラスブールでは2月のある週末、金曜~月曜まで開催されているが、土曜日曜は混んでいるので、ゆっくりワインの説明を聞きながらワインを楽しむには金曜の早い時間か、月曜をお勧めする。

ストラスブールのワイン展示会

今回はワイナリー巡りとしてご紹介ではなく、展示会でのご紹介になってしまうがAIMESTENTZさん。

こちらのワイナリーは私のお気に入りのワイナリーの一つであるが、なかなかワイナリーにまでは行けないので、この展示会でワインを買う事が多い。2年前ほどにも一度訪れている。

今回も、この展示会でかなりの種類のワインをテイステイングさせていただいた。

アルザスワイン

やっぱりアルザスと言えばリースリング。アルザスワインのテイステイングをする場合、「辛口と甘口どちらが好み?」と聞かれることが多い。ここで「辛口」と答えると、リースリングから飲ませてくれることが多い。

もっとも、アルザスワインは、辛口から甘口、そして通常のワインから高級ワインへと飲んでいくのが普通。厳しいワイナリーさんだと、一度甘口を飲んでしまうと、辛口に戻って飲ませてくれないワイナリーさんもいる。それくらい、飲み方にも決まりがある。

いろんな種類を飲んでみたい時には、ワイナリーさんにお任せするのが一番良い。そうすると、ワイナリーさんが飲み方の順番を知っているので、それに合わせて飲み進めていくことができる。

アルザスワインリースリング

けれど、アルザスワインをもっと知りたいなら、先ずはEDELZWICKERを飲んでみることもお勧めする。

こちらはアルザスのアッサンブラージュ(混種)。ワイナリーによってその混種の品種やパーセンテージも異なるので、そのワイナリーの特徴などを見るなら、このアッサンブラージュから飲み始めるのが良い。

たとえばこちらのEDELZWICKER、アルザスの品種ではないシャスラが50%で、後はピノブラン、ゲヴェルツトラミネール、そしてミュスカが入っているので、スッキリしたワインには仕上がっているが、ゲヴェルツラミネールとミュスカのフルーテイさやスパイス感をほんのり感じることができる。

お値段を考えても、かなりコスパの良いワインだった。

EDELZWICKER

通常のリースリングを飲んだ後には、やはりグランクリュとも比べたい。

こちらはグランクリュ FLORIMONT。グランクリュになると、品種、つまりぶどうの味よりも土壌の味が感じられる。つまりワインの味の中にミネラルなど味に深みが出てくる。

FLORIMONT

リースリングよりも辛口仕上げ、スッキリした味わいなのはこちらのピノブラン。そのスッキリ爽やかな味わいからクレマンダルザスなどにもよく使われている。

ピノブラン

味に深みが出ているものならピノグリだろうか。ピノグリはワイナリーによって、辛口、もしくは甘口仕上げと異なることが多く、この品種はワイナリー次第で味が異なる印象だ。味わい豊かで、リースリング、ゲヴェルツラミネールの後にピノグリ好きになる方もいる。豊かな味わいはちょっとどっしりした食事にも合わせられるイメージだ。

ピノグリ

そしてこちらはピノグリのリュデイー、ROSENBERG。リュデイーはグランクリュまで特級畑ではないが、やはり土壌の味わいがワインにも感じられるため、現在プリュミエクリュとしての申請中…。この申請が通ればアルザスのワインももう一段階級ができることになる。

品種的にピノグリ自体が意外と複雑な味をしているが、そこにさらに土壌の味わいがプラスされる。

ピノグリのリュデイー、ROSENBERG

そしてこらちらピノグリのグランクリュPFERSIGBERG。かなりまろやかで飲みやすい味わいだ。

ピノグリのグランクリュPFERSIGBERG

こちらがピノグリのグランクリュHENGST。さらにまろやかな味わいだった。

やはりグランクリュになると味わいがかなり深くなる。アルザスのグランクリュは、アルザスワイン全体の4~5%しか生産されていない。グランクリュを名乗るにはその生産量にも決まりがありため、生産量を重視するワイナリーでは、規定以上の生産をして、グランクリュと名乗らずにぶどう生産をするワイナリーもある。アルザスのグランクリュはかなり貴重なワインなのだ。

ピノグリのグランクリュHENGST

そしてゲヴェルツラミネール。特徴としてはライチやバラの香り、そしてスパイスの香りがして、甘口ワインだと言われているが、こちらのワイナリーでは甘い香りが素晴らしく、けれど辛口仕上げだった。こちらのワイナリーの方が
「私甘い物は好きじゃないの」とお話されていたので、ワインも全体的に辛口仕上げなのだろうか。

ゲヴェルツラミネール

こちらはゲヴェルツラミネールのグランクリュSTEINGRUBLEER。

ゲヴェルツラミネールのグランクリュSTEINGRUBLEER

そしてアルザス唯一の赤ワイン、ピノノワール。フルーテイで飲みやすい赤ワインだ。

アルザス唯一の赤ワイン、ピノノワール

こちらが「アルザスの赤」と呼ばれるピノノワールのワイン。

実は、今グランクリュのピノノワールを申請中で、それが通れば近い将来的にはグランクリュのピノノワールが誕生することになる(その場合現在承認されているミュスカのグランクリュが無くなる)。

白ワインのイメージの強いアルザスワインだが、美味しいピノノワールも多くあり、やはり赤ワインの良さも知ってもらうにはグランクリュのピノノワールの存在も必要だろう。ピノノワールのグランクリュ生産ができれば、アルザスの赤ワインの格も上がるだろう。

グランクリュのピノノワールを申請中

こちらはキュベの50年を記念して作ったワイン。そのため特別なラベルになっている。

キュベの50年を記念して作ったワイン

クラシックなタイプのワインは辛口が多かったが、もちろん甘口ワインも揃っている。

こちら、かなり珍しいピノブランの遅積み風ワイン(ヴァンダンジュタルデイブ風ワイン)。ヴァンダンジュタルデイブが生産できる品種もグランクリュが許可されている品種と決まっているため、ピノブランは遅積みワインとしては販売できないのでこれはかなり珍しいワインだ。

私もピノブランでのヴァンダンジュタルデイブ風の甘口ワインは初めて見た。

ピノブランでのヴァンダンジュタルデイブ風の甘口ワイン

そしてこちらはゲヴェルツトラミネールなのだが、甘口のドイツのアイスワイン風ワイン。CUVEE DE LA PRE:IERE NEIGE、日本語で初雪という名のキュベで、ラベルも可愛らしい、冬を感じさせるワインだ。

このキュベにはワイナリーの方の想いが籠っており、1985年に偶然に生まれたワインだという。

1985年、ヴァンダンジュタルデイブを生産しようと収穫を待っていたのだが、天候のこともあり、通年より収穫時期の様子を見ていたそうだ。しかし、1985年11月23日に雪が降ってしまい、そんな天候のせいで(お陰で)生まれたワインなんだそうだ。それ以来、その時に生産されたワインに基づいて作られているワインなんだそうだ。甘口でヴァンダンジュタルデイブよりも飲みやすく仕上がっている。

CUVEE DE LA PRE:IERE NEIGE

展示会で堪能させていただいたこのワイナリーのワインをレポートすることで、アルザスワインの特徴なども多少ご紹介できたと思う。

展示会の最終日の午後一にブースにお邪魔したのだが、こちらに数時間滞在してしまった。美味しいワインを飲ませていただき、いろいろ説明もしていただいて、素敵な時間を過ごさせてもらった。最後に、どのワインを買っていこうかと考えていると、
「無理して買わなくても良いからね」と言っていただいたが、逆にこれだけ美味しいワインをここで一人でだけ楽しむだけなんてもったいない、ぜひ何本か買って行き、友人ともこの美味しさを分かち合いたいと思った。

とても素敵なワイナリーさんで、ワインも全てそのワイナリーさんのお人柄を表しているような、飲んだら心も温まるようなワインたちだった。

このワイナリーのワインは日本にも入っているのでぜひ機会があれば、辛口が好きな方は通常ワインかグランクリュを、甘口ワインがお好きならヴァダンジュタルデイヴや、遅積み風のピノブランとゲヴェルツラミネールのワインがお勧め。

※ざっくり調べたところ、こちらのワイナリーさんは、クラシックなアルザスワインしか日本に入っていない可能性アリ。日本に全ワインが輸出されているかは分からないので、インポーターさん問い合わせが必要かもしれない。EDELZWICKERはかなりお得なお値段で日本でも提供されているので、こちらからお試ししてもらうのも良いかもしれない。

この記事を書いた人

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Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00

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