第1回は、最多訪問回数を誇る『Joseph Phelps Vineyards』をご紹介します。日本ではまだ知名度があまり高くない印象ですが、雑誌BRUTUSが「玄人のためのオーパス・ワン」と称したことでも知られる、フラグシップワイン『Insignia(インシグニア)』を輩出する、ナパを代表するワイナリーです。
葡萄畑

テイスティングルームの前に広がるブドウ畑

ワイナリー概要:【カリフォルニア初!のボルドーブレンド】

建設業で成功を収めていたジョセフ・フェルプス氏がワイナリーを創設したのは1973年。当時、カリフォルニアでは、赤ならカベルネソーヴィニヨンだけ、白ならシャルドネだけ、と単一品種から造られるワインが主流でした。しかし、ジョーは、「自分たちのベストを体現したワインを毎年造りたい」という想いから、今では当たり前となった、品種に縛られないワインを造りました。それが『Insignia』です。これはカリフォルニアでは初めてのことでした(もしラベルに「シャルドネ」と品種名を書いてしまうと、そのブドウを一定以上使わなければいけないという法律があるのです)。Insigniaは基本的にカベルネ主体ではあるものの、ワイン醸造に自由度があるので、その年のブドウの出来により、ワインメイカーがブレンドする品種の割合を変えています。

歴代インシグニア

テイスティングルームには、これまでのヴィンテージがずらり

Insigniaの2002年ヴィンテージは、ワインスペクテイター誌の選ぶワインThe TOP 100で1位(ワイン・オブ・ザ・イヤー)に輝き、パーカーポイントで100点獲得という、快挙を成し遂げました。

また、2013 年にロバート・パーカーが1974年から2012年までの全ヴィンテージをテイスティングし、3ヴィンテージ(1991/1997/2002)に100点をつけたことでも有名です。2017年2月現在、最新のヴィンテージは、2013。ナパではここ数年、ブドウの出来が良かったかったこともあり、パーカーポイントで2012年ヴィンテージが97点、ワイナリー創立40周年を迎えた2013年のヴィンテージは98点+という好成績を得ています。

テイスティングラインナップ

ある日のテイスティングのラインナップ

テイスティング:【ゴージャスな空間で至福の時間を】

テイスティング内容:Terrace Tasting(一般的なテイスティング)
白ワイン2種類/赤ワイン4~5種類
一人 75ドル/約60分/要予約(2017年2月)

2016年にリノベーションが完了したテイスティングルームは、歴史の刻まれた外壁を残しつつ、屋内はモダンな造りとなっています。プライベートテイスティング用の部屋もたくさん用意されていて、そのひとつひとつに、お金がかかっているなぁと思わずにはいられません。

テイスティングルーム

雨の日はこちらの室内、晴れた日はテラスからブドウ畑の素晴らしい眺望を楽しみながらテイスティングできます

わたしが初めて訪問した2014年は、改築工事の真最中で、敷地内に運ばれたトレーラーが、特設テイスティングルームでした。この豪華なテイスティングルームと比べると大きな違いですね。(トレーラーも十分豪華でしたけど…!)

テイスティングトレーラー

リノベ中の臨時テイスティングトレーラーは丘の下に。現在は丘の上にテイスティングルームがあります

基本のテイスティングメニューはソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール2種類、カベルネソーヴィニヨン、Insignia。タイミングによってはシラーやデザートワインが飲めることも。2016年中は、ワイナリーでしか買えない『Backus』というカベルネ主体のボルドーブレンド(Insigniaと違い、こちらは単一畑のブドウから造られます) が初めてテイスティングメニューに入っていました。

また、樽の違いや、ワインの香りについての講座、Insigniaブレンド体験、チーズとのペアリング等、楽しみながらワインを学ぶことができる特別テイスティングもあります。

テイスティング料金は決して安いとは言えませんが、ホスピタリティもしっかりしているし、丘から見下ろすブドウ畑の風景、ジョーが飲んだ数々のボトルや巨大な樽のディスプレイなど、雰囲気も抜群なので、体験する価値は十分にあると思います。

巨大な樽とテーブル

ディスプレイ用に購入したという巨大な樽は圧巻。クリスマスにはツリーも登場します

ワイン雑感:【さて、では肝心のワインのお味は?】

「Insigniaって高いけど、本当に美味しいの?」と、思いますよね。

はい、おいしいです。
香りの特徴としては、カシスやブラックベリーなどの凝集された果実、アニスやクローブ、バニラのようなスパイス、またタバコや鉛筆の削りかすなどの木の風味といったナパのカベルネソーヴィニヨンのキャラクターが前にでています。また、しっかりとしたタンニンと、バランスの良い酸に支えられ、長い余韻が楽しめるワインです。

リリース時でも十分おいしいのですが、やはり熟成させてこそ真価を発揮するワインだと思います。ワインの勉強をはじめたばかりの頃、ワイナリーのイベントで、20年ほど前のInsigniaを試飲できる機会に恵まれました。まだまだ残るフレッシュな香り、柔らかく細かなタンニンと果実感のバランス。“美しい”とはまさにこのワインのためにある言葉だな、と、初心者ながら感激したものです。

イベント

イベントはふだん飲めない貴重なワインと出会えるチャンスでもあります

ただ、確かにそうそう手の出せる値段ではないですね…。
そこで、もう少しお手軽に有名ワイナリーの味を楽しむのには、カベルネソーヴィニヨンがおすすめ。Insigniaでは基本的にフレンチオーク樽のみを使用しているのに対し、このワインのみアメリカンオークも使われています。ブドウは、Insigniaで使われなかったものが使用されます。2017年2月現在、定価75ドルと、Insigniaの約1/3で購入できるので、比較するとお得感がありますね。

Insigniaは結婚した年や、お子さんが生まれた年のヴィンテージを置いておいて、何年後、何十年か後の記念日に楽しむ、なんていうのもアリかも、ですね。

インシグニア試飲

ナパを代表するワイナリーのフラグシップ・ワインを楽しんでみてください

Winery Information:
Joseph Phelps Vineyards
200 Taplin Road St. Helena, CA 94574
http://www.josephphelps.com/pages/visit-napa-valley.html

この記事を書いた人

Saori
Saori
2014年よりアメリカはカリフォルニア州ナパに留学中。Napa Valley Collageにてワイン醸造とブドウ栽培を勉強中。

個人的嗜好にかたよったカリフォルニアワインの紹介と訪れたナパとソノマを中心としたワイナリーの数々、そしてワイン造りとグルメ、美しい風景などなど、わたしが体感しているナパの毎日のようすをお届けします。