ソノマにもあるオトナの「夢の王国」!?

ワイナリー訪問記#02 Lasseter Family Winery

ナパバレーの隣、ソノマのワイナリー『Lasseter Family Winery』は、まだ歴史が浅いものの、INTO WINEというサイトで、2015年の「ソノマで最もエレガントなテイスティングルーム」のひとつに、100以上のワイナリーの中から選ばれました。日本ではなかなか目にできませんが、実は誰もがきっと知っているある会社のトップのワイナリーなのです。

ワイナリー概要:現ディズニーのトップ、ジョン・ラセター氏のワイナリー

Lasseter Familyとは、『ファインディング・ニモ』や『カーズ』を作ったピクサーの創業者であり、現ディズニーのトップ、ジョン・ラセター氏の家族のこと。カリフォルニア出身の彼の目標の一つが、ワイナリーを持つことだったそうです。きっかけとなったのは、ナンシー婦人とのヨーロッパ旅行。飛行機でワイナリーのトレードマークになっている図柄を思いついたのだそう。ちなみに映画『トイ・ストーリー』シリーズに登場する、バズ・ライトイヤーは、ジョン・ラセター氏がモデル。バズは蜂の飛ぶ音ですが、ジョンがそんなふうに「ブンブン」とずっと早口で話す様子から名前が付けられています。このワイナリーのマークにも蜂が描かれていますが、これもジョンがモデル。ちなみに、バラは婦人。ブドウは、5人の子どもたちを表しているそう。家族経営のワイナリーなのです。

ワイナリーのロゴ

ワイナリーのゲートにかけられた大きなロゴのサイン

ジョン・ラセター一家はここに住んでいて、「トイ・ストーリーの打合せにトム・ハンクスが来てたよ」「ジョンは機関車が大好きで、この敷地に自分専用の線路を敷いたんだ。イベントの時にラッキーだったら乗せてもらえるよ」なんて話がテイスティング・ツアーで飛び出します。

機関車のエチケット

ジョン・ラセターが大好きだという機関車が描かれたエチケット

 

ジョンとナンシーはオールドワールドのワインが好みのため、ワインは全てフランスのボルドーやローヌスタイルのブレンド。ワインの名前もフランス語でつけられています。全てブレンドワインというのはナパやソノマではちょっと珍しいですね。少量生産ということもあり、バックヴィンテージは売り切れて手に入らないものも多いです。

一方で、毎年作られるワインの種類は増えています。それぞれのワインにはストーリーがあるので、それを知るのも楽しみの一つ。ラベルはカートゥーン寄りではないのですが、どこかしらディズニー風味が感じられますよね。

テイスティング:ホスピタリティはディズニーレベル!?

テイスティング内容:ロゼ1種類・赤3-4種類、チーズプレート付き
一人 35ドル/約90分間/要予約(2017年2月現在)

テイスティングルーム

この建物がテイスティングルーム

インターホンで名前を告げると、開門。目の前に広がるぶどう畑を通っていくと、なんだかディズニーランドにありそうなかわいらしい建物が。それがテイスティングルームです。ツアーは、一度に最大でも7人程度という少人数制。

「さあ、グラスを持って!」とロゼをついでもらったら、まずは畑に向かいます。コルクの木が植わっていたり、小川が流れていたり。門の中は非日常の空間になっています。

畑に着くと、ワイナリーの説明がスタート。このワイナリーは環境にできるだけ悪影響を与えないように、サステイナブルでオーガニックな栽培法を実現しています。肥料にはブドウの絞りかすなどから造るコンポストを使ったり、インセクタリーという、有益な虫を集めるための植物を植えたり、蜂(!)を飼っていたり、ブルーバード(ブドウの実は食べず、虫だけ食べる)を用いて害虫をコントロールしたり、ふくろうを飼って害獣よけにしたり…と、最大限の配慮がなされています。

風景

畑に向かうまでに見られる風景のいくつかは、そのままエチケットになっているものも

畑の後は、セラーの中も見せてもらえます。この樽のある倉庫が、ほんとうにすてき。もうディズニーリゾートです。運がよければ、バレルテイスティングをさせてもらえることも。以前、シラーを飲ませてもらい、まだ樽の中で熟成中なのにもかかわらず、なめらかなタンニンと、主張しすぎない果実感とスパイシーさのバランスが素晴らしく、驚いたことを良く覚えています。リリースされる全てのワインがブレンドなので、単体品種を試せたのは貴重な経験でした。あんなにおいしいなら、シラーだけで作ればいいのに…と思いましたけど。

倉庫

すてきな倉庫。どのワインも少量生産で、全てここで造られています

で、ここまでは前菜みたいなもの。テイスティングルームで着席してからが本番です。チョコとナッツ、チーズがテーブルにセッティングされています。チーズはワインに合わせてあります。ちなみにチョコは、ソノマのお店で作っているワイナリーオリジナルのロゴ入りのもの。チーズも地元のクリーマリーを中心に採用されています。

チーズ

このチーズがまた美味しいのです!

ワインの解説と、それぞれに込められたストーリーなどを聞きながら。けっこうお腹もふくれます。ここまででもずいぶん素敵な時間なのですが、ソノマのベスト・テイスティング・ルームに輝いたのには、もうひとつ理由があります。それはプライベート・テイスティングで使われる、ステンレスタンクを改造した特別室です。この空間が高評価を受けたとのこと。

ステンレスタンクを改造した特別室

写真には収まりきってませんが…一見の価値ありなのです

ソノマはナパに比べるとテイスティングもワインもまだまだ価格が控えめ。たいへんお値打ちのあるツアーになっていると思います。

ワイン雑感:さて、ワインの方は…?

ソノマはナパと比べて低価格、といいましたが、その中でもこちらのワインは設定が高めな印象。もちろん、手間暇かかる作り方、ファシリティへの投資と、いろいろお金がかかってるのも分かりますけど…。
特に低価格帯のロゼや白は、ちょっと割高感があるかも。

それに比べて、赤ワインは値段以上のパフォーマンスを発揮しているものが多いと思います。なによりエチケットがステキ。わたしの好きな「Amoureux」は、ジョン・ラセター氏と婦人がイメージです。フランス語で「恋人」という意味。マルベックメインのブレンドなのですが、これがジョンと奥さんが恋に落ちた時を思い起こさせるため、この名前にしたとのことです。はぁ…ロマンチックなエピソード! 結婚式等のお祝いに送るのに最適ですね。

訪問時に書いたテイスティングノートには、ブラックベリー・カカオ・クローブ・ホワイトペッパーの香り、酸味はミディアム+、フルボディで余韻長め、と書いてあります。

 

Amoureux

『Amoureux』はマルベックがメイン。ラセター夫妻が新婚旅行でソノマを訪れた際に出会ったブドウだとか

アルコールは15%近くあったのですが、とげとげしい感じなどなく、今すぐにでも、しばらく熟成させてからでも、どちらでも美味しく飲めるであろう一本だと思います。

グッズ

グッズもかわいいものが多く、つい買いすぎてしまうことも…

 

こちらのワイン、日本ではほとんど手に入りません。(ときどきアマゾンなどで売ってます)それどころかアメリカでも入手が難しいワインです。でも、確実に飲める所があるんです。それはもちろん、ディズニーランド。カリフォルニアなら、アナハイムの「カリフォルニア・アドベンチャー」内のレストランで飲めます。また、ディズニーリゾートで一番高級なホテル、ディズニー・グランド・カリフォルニアン・ホテル&スパの中の「ナパ・ローズ」というレストランにもリストされています。

日本から予約を入れてソノマのワイナリーを訪れるのはちょっと難しいですが、ディズニーランドと一緒ならハードルが下がるかも、ですね。

 

Lasseter Family Winery
One Vintage Lane Glen Ellen, CA 95442
https://www.lasseterfamilywinery.com/

この記事を書いた人

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Saori
2014年よりアメリカはカリフォルニア州ナパにある、『Napa Valley Collage』に留学。ワイン醸造とブドウ栽培を勉強。ワイナリーのテイスティングルームで働くかたわら、ぶどうの樹の病気調査、畑作業なども経験。2018年10月に帰国。現在、WSET LEVEL4の勉強中です。

ナパやソノマでおすすめのワイナリーや、観光情報をこれからも発信していきます。

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