ナパの夏も本格的になってきました。湿度が低いので日陰に入れば涼しいのですが、40度を超えるときもある気温と、刺すような日差しは積極的に外に出ようという気をそぎます。
今回は、涼しくて過ごしやすかったころに思いを馳せながら、ぶどう畑の変化をお届けしたいと思います。
8月のナパ

8月のナパ、Chateau Lane Wineryからの眺め

3月に発芽、6月には実が育ちはじめます

3月頃に発芽をむかえたぶどうの木たちは、だんだん上がる気温とともに、茎がぐんぐん伸び、5月~6月までは一日に2~3㎝成長することも。あっというまに160cmのわたしの背丈を超えてしまいます。また、5月ごろからつぼみが膨らみはじめ、ぶどうの花が開きはじめます。

ところで、ぶどうの花ってどんな形かご存知ですか?

ワイン・メイキングの勉強をはじめる前はまったく気にしたことがなかったのですが、ぶどうの木も花を咲かせるのです(実がなるから当たり前ですが…)。「花」という言葉からイメージする姿とはだいぶ違いますが、これがぶどうの花。

ぶどうの花

地味…ですね…

ぶどうは開花とほぼ同時に結実し、実が成長しはじめます。最初は1㎜くらいの粒なのです。

この開花の時期はワイン・メイキングにとってとても大切で、この期間に嵐にあったり雨がひどく降ったりするとうまく受粉されず、Shatterと呼ばれる結実不良がおこります。

また気温が十分に上がらないと、本来は実がなると外れるはずのCap部分(ブドウの花の花びらにあたるところ)がなかなか外れず、実が成長できない事態に。ナパの2015年がまさにそんな年で、開花時の寒さのために大幅な収穫減となったことはよく話題になります。

つぼみの構造
 

ひとつのつぼみを拡大するとこんなふうになっています。帽子のようなものがCapです。これが花びらだそう… (University of California Agriculture and Natural Resources, Grape Pest Management Third Edition より)

 

他にも、栄養の状態やいくつかの病気は結実不良を引き起こします。また、マルベックやメルローなど、結実がうまくいかない傾向の品種もあるようです。ですので、ヴィンヤードマネージャーやワインメーカーは畑を頻繁に見回り、常に畑の状態に目を配ります。

今年は開花時期に特に問題がなかったことに加え、冬にたくさん(本当にたくさん!)降った雨のおかげで、ぶどうの木たちは生き生きとしています。

7月下旬のぶどう畑

7月下旬の畑。葉っぱがつやつや光っています

7月はVeraison、そして8月から収穫がスタート

早いところでは7月上旬からVeraisonがはじまります。Veraisonとはフランス語由来のワイン用語で、ぶどうの実が柔らかくなり、黒ぶどうの場合は色づきはじめる時期のこと。コンディションや品種によりますが、だいたい開花時期から60~70日後程度。Veraisonをむかえた後、ぶどうの実たちは急速に熟しはじめます。糖度が上がり、フェノールの生成が行われる時期なのです。

カベルネ・ソーヴィニョンの畑

カベルネ・ソーヴィニョンの畑。7月上旬頃。まだぶどうの実は緑色です

7月下旬のカベルネ・ソーヴィニヨン畑

7月下旬の同じ畑。少しずつ色が変わりはじめます

ナパのぶどう畑は今まさにVeraisonをむかえています。Veraisonの判断基準は、黒ぶどうの場合、畑の5割程度の果実の色が変わりはじめた頃とのこと。白ブドウの場合は、色が変わらないので判断がとっても難しいようです。

8月中旬ともなれば、栽培者はぶどうの糖度を測り、収穫の予定をたてはじめます。

ナパのカベルネ・ソーヴィニョンは9月中旬頃から収穫がスタートするのですが、スパークリングワイン用のブドウは8月中旬からハーベストがはじまるとのこと。

ハーベストの話題が聞こえだすと、「ワインの時期がやってきたぞ!」とちょっと興奮気味になるわたし。もはや完全にNapkin(ナパっ子)ですね。

ちなみに、茎が伸び出してからVeraisonをむかえるまでの数か月間も、ぶどうの木をそのまま放置しているわけではありません。人知れず、畑ではいろいろなことが起こっています。

そんなディープな話はまた別の機会に!

この記事を書いた人

Saori
Saori
2014年よりアメリカはカリフォルニア州ナパに留学中。Napa Valley Collageにてワイン醸造とブドウ栽培を勉強中。

個人的嗜好にかたよったカリフォルニアワインの紹介と訪れたナパとソノマを中心としたワイナリーの数々、そしてワイン造りとグルメ、美しい風景などなど、わたしが体感しているナパの毎日のようすをお届けします。