日本酒の原料は、米・水・米麹。
ワインと同じ、醸造酒のグループに属している日本酒ですが、造りに関してはどこが似ていて、どこが違うのでしょう?

今回、2017年秋に、「WINE-WHAT」と共催したイベントで大変お世話になった、広島の銘醸地・西条に構える賀茂鶴酒造にて、実際に造り体験をさせて頂く機会に預かったので、今回はその様子をレポートいたします。

集合は朝6:30

酒都・西条の中でも群を抜いたスケールの賀茂鶴酒造。

立派という一言では表現できかねる、堂々とした風格と設備、そして、隅々まで清潔で、紐一本まで美しい。蔵の理念が細部まで行きわたっているのに、圧倒されました。



気持ちのよい冬晴れの朝。6:30に集合。さあ、酒造り体験のスタートです。

前日の午後に洗った米を、大きな和釜で蒸し上げるのが、朝一番の作業となります。

蒸気があがり、巨大な肉まんのよう。



約一時間後、蒸し上がった米を掘り起こして放冷。

炊きたてのご飯でおにぎりを作るよりはるかに、熱くて(その上、これがお酒になるんだ!という責任感もあるので……)アツっ!とつい、声が出てしまう私たちですが、蔵人さん達は、「あついですよねー。」と涼しい顔。

毎日まいにち、この作業をしているのですからね。

蒸された米を麹室に運びこみ、山の形に整えて布を被せる作業を「引き込み」、その蒸米を崩して、麹室の台の上に均一に広げる作業を「床もみ」、そして、杜氏さんが、麹菌を振りかける作業を「種付け」といいます。

引き込み

引き込み

床もみ

床もみ

種付け

種付け



この、サウナのような麹室は、日本酒造りには欠かせない細菌を扱う場所ゆえ、通常、一般人は立ち入り禁止なのですが、特別に入らせて頂き、さらに体験までさせて頂けたことは、プライスレスな経験となりました。

想いと祈り。酒造りは神事そのもの

日本酒のルーツは、米の豊作を願って神にささげたのがはじめといわれています。

杜氏さんが、「降りてくるのを待ちます。」といって、黄色い花粉のような麹菌(種麹)を、上方から、サっサっ、と振りかけます。それが、蒸米の上に落ちるのを、杜氏さんは、ただ台の上を見つめて、他の蔵人も、誰一人、言葉を発さず、動かず、だいたい3分くらいでしょうか、待ち続けます。静寂のみが広がっていたのが、とても印象的でした。



こうやって、丁寧に、ひとつひとつ、造りあげられていくのが、日本酒なんですね。

さらに、この日は、特別なお酒を搾る作業も行われていました。

通常のお酒は、どろどろの醪(もろみ)を、巨大なアコーディオンのような装置(YABUTA・やぶた)で搾り、酒の原液と酒粕に分けるのですが、特別なお酒に限っては、圧力をかけず、袋吊りといって、重力のみで液体を取り分けます。

大吟醸袋吊りの様子



こんな場面まで見学できるなんて。ありがたいという言葉しか出てきませんでした。

「酒造り修了書」を贈呈して頂きました!

「酒造り修了書」を贈呈して頂きました!



ワインの、原料そのものが品質に直結する、すばらしさや難しさとは違った、日本酒の造りについて、少しでも興味を持って頂けたら嬉しく思います。

酒の中に心あり。

賀茂鶴酒造の真意「酒中在心」という言葉が、胸に染みわたった半日でした。一滴も無駄にせず、美味しく頂かなくてはいけませんね!

今後も、ワインファンと、日本酒ファン。互いの架け橋になるような記事を書かせて頂きたく存じます。

そのためにはワインも学ばねば……という思いも募る、筆者なのでありました。


賀茂鶴、法人設立100周年を記念して、賀茂鶴となだ万の共催による、「なだ万×賀茂鶴」 賀茂鶴を楽しむ会が開催されます。1830年創業の老舗日本料理店「なだ万」と賀茂鶴の日本酒とのマリアージュを楽しむイベント。お問い合わせ、ご予約は、新宿なだ万賓館、又は、赤坂ジパングの店舗へお問い合わせください。この記事を執筆した、磯野カオリさんはイベントナビゲーターとして参加します。

この記事を書いた人

磯野 カオリ
磯野 カオリ
日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)認定 唎酒師 / 焼酎唎酒師 / 日本酒学講師
SSIインターナショナル認定 国際唎酒師
横浜 桜酒亭(おさけてい)代表。
ワイン好きな方に、すこしでも、日本酒の魅力を知ってもらいたい。そして、わたしも、ワインの魅力を知りたい。
日本酒ファンとワインファンの架け橋となるのが、わたしのミッションだと思っています。そのための佳き出逢いを、皆さまに、ご提案いたします。
http://osaketei15.com/