2018年2月にウスイ潤さんが訪れたニュージーランド・ワイナリー・レポート第2弾。前回紹介したニュージーランド最南のワインリージョン、セントラル・オタゴから、今回は同じ南島でも、その最北端のネルソンへと飛行機を乗り継いで800km移動しました。

 

牧歌的風景のなかのブティックワイナリー

ニュージーランドのワインリージョンのひとつ、ネルソンは南島の北端に位置します。ここは、温暖な海洋性気候で、大地はなだらかな丘陵を形成し、“サニー・ネルソン”と呼ばれるほど豊かな日照量に恵まれた地域です。

目指すワイナリー、ブラッケンブルックは、人よりも羊の方がたくさん見られる牧歌的風景の中にポツンとありました。

ムーテリー粘土土壌のなだらかな北斜面(南半球なので日当たりがよい)の丘に20ヘクタールの土地を所有し、現在6品種を栽培するのはダニエル&ウルスラ夫妻。2000年の冬、4ヘクタールから始めたふたりのワイナリーでは化学肥料や農薬などを極力使用しないサスティナブル農法が取り入れられています。

畑から収穫したブドウは、醸造所にもポンプを使わず重力で移動させるという、環境にも、出来上がるワインにも負担をかけないよう配慮されています。こうした取り組みができるのも小さなブティックワイナリーだからでしょう。

ブドウが色づき始めると保護ネットをかけられます。鳥被害から守るためです。

灌漑は行わず、垣根式のヴァーティカル・シュート・ポジションという仕立てを採用し、養分を房に集中させます。

健康な土壌、丈夫なブドウ畑で、サスティナブル(環境保全型)であることに彼らは注力しています。

ダニエル曰く、「ブドウ樹の密植はフレーヴァーを高める」と、ブラッケンブルックでは1ヘクタールあたり3800本以上を植えています。

密植の効果は特にピノ・ノワールに顕著に表れます。数種のピノ・ノワールのクローンを育て、各々別々に醸造し、瓶詰め前にダニエルによって絶妙なブレンドが行われます。

ブラッケンブルック ファミリー リザーヴ ピノ・ノワール 2015。

ムーテリー粘土土壌に砂状ロームが交じる土壌から生まれるピノ・ノワールは力強くて、アロマティック、なめらかなテクスチャーが果実味とのバランスを保っています。

ワイナリーに適した土地を探し、醸造所の設計から環境を維持することにこだわったダニエル。丘の上の畑からブドウを醸造所に持ち込み、除梗・破砕、醸造、瓶詰め、出荷まで、一連の作業を傾斜を使って行います。ワインにも負担をかけません。そんな心配りに、彼のワインへの愛情を感じました。

また、白ワインは清澄を行っていません。ということは、オリを吸着させるのに、卵白や魚、牛乳のカゼインといったたんぱく質を使用していないということ。オーガニック農法とならび、最近の生産者はヴィーガンの方々のことも気にかけているのです。

ネルソンの小さなブティックワイナリー、ブラッケンブルックは未来にあるべきワイナリーの姿を実践しているようでした。

なお、画像はネルソンの美しい風景を地元のアーティストがデザインしたラベルのワイン、シャングリラ(理想郷)。日本市場向けの特別ラインです!

この記事を書いた人

ウスイ 潤
ウスイ 潤
「百聞は一見に如かず」
好奇心を原動力に美・知・英を求めるブログ、
好きなもの、写真に撮って、アーカイブ。

http://ameblo.jp/coco-chaud/entrylist.html