ワインエキスパートやソムリエ試験等を通じて、各国のワインの特徴やブドウ品種の香りの特徴を必死で暗記し勉強したことは、ワイン愛好家の人なら誰でも経験があるのではないでしょうか? 学生時代の問題集のように、「基礎」を学んだ後は、「応用」です。今回は、学んだワインの基礎知識を応用するのにぴったりなオーストラリアワインをご紹介します。

オーストラリアワインの今

従来のオーストラリアワインのイメージといえば、どっしり重くて濃厚なシラーズ。酸味の効いたリースリング。すっきりさわやかなソービニヨン・ブラン。というところでしょうか?

ところが近年、今までスポットライトが当たっていなかった真のオーストラリアワイン、とてもフレンドリーで飲みやすいワインに注目が集まっています。

 
パースヒルのヴィンヤード

西オーストラリア州パースヒルにあるヴィンヤード

驚くほど多い栽培品種

テンプラリーニョ

西オーストラリア州スワンバレーで育つテンプラニーリョ

 

ワイナリーを訪れると、ヨーロッパ・アジア・アメリカなど、さまざまな国の背景を持つオーナーが経営していることが多くあります。多民族国家のオーストラリアならではの個性豊かなワイナリーが点在しているのです。

そうした、各ワイナリーの持つ背景やオーストラリアの順応な気候環境もあって、近年は、オーストラリアで育てられているブドウ品種の種類の多さに驚かされます。

イタリアのシチリア島でよくみかけるブドウ品種フィアーノや、ヴェネト州で人気のグレーラ、ポルトガルでみかけるトゥーリガナショナルなど、従来のオーストラリアには馴染みの薄いブドウ品種に出会う機会が多くなりました。

オーストラリアスタイル

そこに美味しいシラーズがあったから…そんな安易な経緯で誕生したスパークリングシラーズが、今やオーストラリアを代表するワインの1つになりました。

オーストラリアでは、ワインやそのブレンドは「こうでなければならない」「ワイン造りはこうである」といった固定概念は無いのではないかと思わされます。常識にとらわれない自由なワイン造りこそが、オーストラリアスタイルなのです。

先日、参加したオーストラリア現地のワインサプライヤー主催のティスティング会で私の心をしっかり掴んだユニークなワインをご紹介します。

ピノ・ノワールとリースリングの収穫量が少なかったから、両方を足してソービニヨン・ブランと混ぜちゃった! そうして誕生したこのワイン。

とてもフレッシュな味わいの中に、きゅっと舌を掴む絶妙な酸とタンニン。それぞれのブドウの個性がうまく発揮されていて驚きました。ロゼの味わいとはまた違う、美味しさです。

限りなくナチュラルに、ブドウ本来の持つ力と味を尊重したワインを造りたい。どこまでも素直で、特別な畑で育ったブドウの味をしっかり感じてほしい。

 
Grape Fields Forever 2017

Express Winemakers Grape Fields Forever 2017のボトル

ワインの色合い

Express Winemakers Grape Fields Forever 2017の色合い

情熱たっぷりに造るExpress Winemakersのワインは、他のワインとはひと味もふた味も違う、ユニークなワインです。こんなブレンドも成立するんだ! と、新しい世界に飛び出したような気持ちにさせてくれます。

EB38 SHOWDOWN 2 Pinot/Syrah 2017

EB38 SHOWDOWN 2 Pinot/Syrah 2017のボトル

ワインの色合い

EB38 SHOWDOWN 2 Pinot/Syrah 2017の絶妙な色合い

 

無類のピノ・ノワール好きである私が、すっかりハマってしまったこのワイン。ピノ・ノワールとシラーズを混ぜたセパージュを、試したことがある方はいらっしゃいますか? そんなことをしたら、ピノ・ノワールの繊細な味わいを邪魔してしまうのではないか。と思った方は、まだまだオーストラリアワインの素晴らしいシラーズに出会っていませんね。

従来、スパイシーで濃厚なイメージが強かったシラーズですが、育つ環境や産地によってとても繊細でデリケートな表情を見せてくれます。このシラーズとまだまだ若いピノ・ノワールをブレンドすることで、遊び心のあるとってもチャーミングなワインができあがるんです。2017年ヴィンテージであってもまさに今が飲み時! なワインです。

EBとは、Experiment Batch(試験的に造ったもの)の略。このワインを造ったMac Forbesは、「ユニークなワインを造り出すことは、私たちの新たな課題であり、経験を活かし可能性を広げてくれる絶好の機会。それと同時に、ブドウ栽培やワイン造りの腕を試されているようでもある。」と話します。

こうでなければならない。なんて誰かが決めたのでしょうか?

もっと自由にワインを造りたい。美味しいものをみんなに飲んでもらいたい。そんな想いを最近のオーストラリアのワイン造りから感じます。

まとめ

オールド・ワールドやニュー・ワールドと表記されるワインの世界。今まで試されたことのない新しい方法でワインを造り、新しいセパージュにチャレンジするワイナリーが増え続けるのであれば、ユニーク・ワールドやインタレスティング・ワールドなんて表記したくなるほど、ワイン造りは変化し続けているように思います。

皆さんもぜひ、ワインの新しい世界をお楽しみください!

この記事を書いた人

Kisa Moto
Kisa Moto
ワイン好きが高じて、2015年にオーストラリアへ移住。
WSET WineEducationにてワインを学び、現地のFine Diningでソムリエを経験。
現在は日本へ向けたオーストラリアワインの輸出や現地のワインコンサルタントとして活躍。
毎月パース市内にて、Wine教室を開催。
Facebook: Kisaki Moto instagram: kisakimoto