ラツィオ州とウンブリア州の境にあるワイナリーで目にしたのは、エコロジーとサステナビリティを理論だけでなく実践する追求するオーナーの姿でした。さてそのワインのお味のほうは?

ロバも大切な仲間

オーナーLUDOVICOと出会ったのはTUSCIAという地域のワインを扱うイベントがローマのホテルで開催された際に、彼のワインを試飲したのがきっかけでした。

自然派やビオロジコというくくりではないイベントでしたが、私は何かに引き寄せられるかのように数十あるワイナリーから彼のスタンドに立ち寄りました。

豪華なバンケットルームの中でその髭ぼうぼうでTシャツ姿のワイルドな風貌はひときわ異彩を放っていましたが、一口飲んだ途端その自然な身体に染み込むような味わいに感銘を受け早速訪問することにしたのでした。

 
ロバのジェーンとLUDOVICO

ロバのジェーンとLUDOVICO

ローマから電車で北上すること約1時間の小さな駅ALVIANOから車で20分ほどの丘陵地帯にAZIENDA BIOLOGICA TREBOTTIはありました。

LUDOVICOの案内でブドウ畑をまずは散策。
ビオロジコなのでもちろん除草剤や化学肥料は使用していないこの畑ではロバのジェーンが大活躍。草を食むし、糞は肥料にもなるのです。

これがほんとのメトドクラシコ

洞窟の中の動瓶台

洞窟の中の動瓶台

 

そしてエトルリア時代の洞窟を利用したメトドクラシコスプマンテの熟成保存庫を見学しました。6月の真夏日だったのにもかかわらず内部はひんやりとしていました。

メトドクラシコのスプマンテ(シャンパーニュと同じ伝統的手法)は瓶内二次発酵後、熟成を経てルミアージュ(動瓶)という工程を行います。

これは穴の開いた逆Vの字の脚立に瓶口を差し込み、毎日少しずつ回転させ、水平だった瓶を徐々に何日もかけて逆さまにすることで、瓶口に澱を集めるという気の遠くなるような作業です。

現在は機械で自動的に数百本まとめて動瓶することが一般的ですので、私も直接この手法を見るのは初めてでした。実は一本一本LUDOVICO自らこの動瓶の地道な作業をしています。

ここまでこだわるのか!

メインの醸造所でもエアコンを使わず、ダクトを使用することで空気の入れ替えを行います。内部にはコルク材を一面に張った小部屋がありここでは一定の湿度と温度が保たれるのでパッシートワインを作る際に利用されます。

この他、ブドウの搾りかすのバイオマス燃料としての再利用や排水の再利用などについて、大学と共同研究を行っています。もっと驚いたのは瓶もCO2削減を目指して軽量瓶を使用し、エチケットも再生紙を利用し、箱には印刷を施さないというポーズとしてではなく、徹底的に実践する真摯な姿勢です。

そのエコロジーとサステナビリティへの取り組みが評価されて、日本の農林水産省や外務省からの視察を受け入れたこともあるそうです。

敷地内には宿泊施設も併設されていて、これらのエコロジー体験をすることもできます。収穫の季節には往年の収穫の風習を再現したブドウ摘みイベントも企画されています。

遠くに湖を見下ろすブドウ畑

遠くに湖を見下ろすブドウ畑

見学の後はいよいよ試飲タイム

醸造所の中で、INCROCIO MANZONI6.0.13という品種の白ワイン3S L’INCROCIOを試飲しました。この品種は実はLUDOVICOの母の叔父LUIGI MANZONI博士がリースリングとピノビアンコを交配させた品種を開発したものなのです。

ハーブや白い花の香りに続き、6ヶ月果皮と共に熟成した後3ヶ月瓶熟成されただけあってしっかりしたコクのようなものを感じます。それでいてSO2無添加、無濾過だから重さがなく、この自然な味わいは野菜料理などにも合いそうです。

実際ローマ市内ではビオのスーパーやオーガニック野菜のレストラン等で販売されています。

樽に囲まれて試飲

樽に囲まれて試飲

これだけ自然なつくり方をしているにも関わらず、どの自然派ワイン(イタリア自然派ワインイベントのレポート記事参照)の団体にも今のところ属してないそうです。

一匹狼で無頼漢なのかと思いきや、環境対策として大学と共同研究をしたり、先述のINCROCIOに関しては仲間のワイナリーにアドバイスをしたりとインテリジェンスあふれる面もあります。

真の実力者とは淡々と己の信念に従って日々自分のすべきことをしているものなのだなと感じました。

この記事を書いた人

MINA
MINA
外資系金融に長年勤務するも、イタリアワインが好き過ぎて2017年9月よりローマ近郊のビオロジコ、ビオディナミコのワイナリーMARCOCARPINETI にてブランドアンバサダーとして研修生活を送ることに。
ワインもイタリア語も勉強中ですが、持ち前の行動力と好奇心を活かして、イタリアのワイン、人、文化の魅力をリポートします。
MARCOCARPINETI(http://www.marcocarpineti.com/)