ワインブームも頂点に達し、ファンの夢は自分が蔵元になること。醸造することへの関心は高まっている。筆者は醸造を学べるコースとして人気がある、塩尻ワイン大学の二期生として合格し、入学する機会を得たことで授業内容にそっての体験レポート公開を許された。
ブドウの木 

知らなかったでは済まされない、種苗法という法律

さてさて、塩尻ワイン大学での講義がスタートした。初回講義では、「ブドウの基本」「新規就農に向けて」「芽かき」「誘引」について座学や実習があったが、私がとても勉強になったのはこれ!

「品種登録制度」と「登録品種の自家増殖」

読者の皆さんは、「品種登録制度」をご存知だろうか?新品種の育成者の権利保護や新品種の開発と育成の振興、種苗の流通の適正化のために、「種苗法に基づく品種登録制度」が設けられている。品種を登録した人には「育成者権」が発生し、品種の優先利用権・専用利用権などが育成者に与えれ、育成者権の権利者は、毎年定額の登録料を国に納める義務が発生する。種苗法は農薬取締法や、農地法と同様、農家がしっておくべき法律であり、「知らない」では済まされない大事なことらしい。

正直いって、私は知らなかった。よく、将来的にワイナリーをやりたいという希望を持って、会社勤めをしながら、せっせと挿し木や接ぎ木をしている人がいるけど、それって駄目なんじゃ?もちろん、状況による。間違いのないように、学んだことを整理しておこう。

登録品種には、PVPというマークが付いている

日本の種苗法に基づく「品種登録」あるいは「品種登録出願中の品種」の種苗や、これらの種苗から得られた収穫物、政令で定める加工品に表示されている。植物新品種は知的財産権(育成者権)として保護されているので、このマークの付いている種苗を、育成者の承諾なしに生業として利用(増殖・譲渡・輸出入)する行為は、損害賠償や刑事罰の対象となる場合がある。PVPは、Plant Variety Protection(植物品種保護)の略。

 
PVPマーク
PVP解説 

果樹による自家増殖

農業者等の自家増殖は、例外的に育成者の権利が及ぼないが、登録品種でも自家増殖できないものもあり、そういった場合には、自家増殖を認めない表示がされている。ここではそういったシチュエーションを紹介する。

•自家増殖を制限する品種や、そのような契約を結んだ場合は不可
•自己の経営地以外での増殖は不可(共同で借りた農地でも不可の可能性あり)
•正規な苗木を購入し、その剪定枝を他人に穂木として譲渡することは不可
•部会が苗木を購入し、この剪定枝から苗木等を増殖することは不可(部会は農業者でなない)
•その他、特別な場合

自家増殖の際、違法になってしまう例

•知り合いの農家の登録品種の剪定枝をこっそりいただき、接ぎ穂にした
•登録品種の苗木を正規に購入したが、その苗木の先端の枝を他人に接ぎ穂として譲渡した
•農家が組織する苗木組合が、おのおの正規に購入した登録品種を持ち寄り、共同のほ場で接ぎ木をして苗木を増殖

などなど。これらはぜーんぶ違反行為。ぶどう栽培をこれから始める者にとって大事な知識を教えられた。種苗を譲渡する行為は、法律違反になる場合があることを我々は肝に銘じないといけない。

なお、故意に種苗法に違反した場合の罰則はこうだ。
個人の場合:10年以下の懲役もしくは1千万以下の罰金、またはこれらの併科。
法人の場合:3億円以下の罰金。

いきなり、大切なことを教えられた。また次回もお付き合いをいただきたい。

参考資料;農林水産省 品種登録ホームページ 
http://www.hinshu2.maff.go.jp/
http://www.maff.go.jp/j/study/shokbutu_hogo/01/pdf/data4-2.pdf

この記事を書いた人

Misa "Pixie" Shimada
Misa "Pixie" Shimada
海外ワインオークション代理人として、ワインの個人輸入をサポートしながら、都内のワインバーやワインショップをプロデュース。
六本木にあるワインバーのチビッコマダムでもある。
2018年春に応募者多数で狭き門の塩尻ワイン大学二期生に合格し、現在は塩尻市に通いながら、葡萄栽培と醸造を勉強中。
近い将来にワイナリー創業を目指している。
落札代行「ワインオークションクリマ」http://www.climat.org/auction/

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