ソーヴィニョン・ブランの銘醸地プイィ=シュル=ロワール村の畑を守り、テロワールを体現するワインづくりに励む「ドメーヌ・レジス・ミネ」の当主が来日した。

レジス・ミネ(Régis Minet) 
父の急逝により、17歳でドメーヌを引き継ぐ。3haから11haに畑を増やし、国際的市場に打って出た。右は奥様のナタリーさん。

ミネラリー&スモーキー

ソーヴィニョン・ブランというブドウ品種を耳にして、真っ先に思い浮かべる産地はどこだろう。

フランスのボルドー地方? それともニュージーランドのマールボロ?

世界での栽培面積の広さで常に上位にいるソーヴィニョン・ブランは、新旧世界を問わず各産地のワインを愛するファンは多い。でも、ソーヴィニヨン・ブランといえば、やっぱりフランスのロワール地方です。ロワールこそ、この白ブドウ品種の代表的銘醸地と言って過言ではありません。

ソーヴィニョン・ブランの特徴はグズベリー(西洋スグリ)や熟成するとアスパラガスの香り(時に「猫のおしっこ」など!)があり、フレッシュな酸が味わいにあるることです。産地によってはフレッシュハーブのような香りや、熟したグレープフルーツのような味わいを持つこともあります。ワインラヴァーのみなさまなら、きっと経験されていると思います。

ロワール地方のソーヴィニョン・ブランの特徴は、テロワールを活かしたミネラリー&スモーキーな味わいとされています。

フランス最長の河川ロワール河上流に位置するプイィ=シュル=ロワール村を本拠地とする「ドメーヌ・レジス・ミネ」が手掛けるワインも例外ではありません。

畑を構成する土壌の見本。粘土石灰質、キンメリジャン泥灰土、そしてシレックス。

ドメーヌ・レジス・ミネは、サン=タンドラン村とプイィ=シュル=ロワール村に11ヘクタール、12のパーセルのブドウ畑を所有しています。

土壌は、粘土石灰質と、小さな牡蠣殻の化石を含むキンメリジャン泥灰土で構成されています。このテロワールがミネラル感やフレシュさ、そしてフルーティかつフローラルな味わいをともなった豊かさを与えてくれる、と現当主レジス氏は語ります。

「これがシレックスだよ」と言って、おもむろにこの石ふたつを、カンカンカンと叩く。嗅がせてもらうと、なんとも芳ばしい香りがした。

さらに、見せてくれた土壌見本の「シレックス」はウニの化石! 見るだけだとツルツルすべっとした石ながら、「火打石」の別称を持つ石の通り、叩くと互いの摩擦で熱を帯び、スモーキーな香りを放った。これがプイィ・フュメの名前の由来ともなる(Fumé=燻した)スモーキーさなのか、と体感することができました。

ドメーヌ・レジス・ミネの哲学は環境保護に務め、ワインの持つ信性を尊重し、畑での栽培に注力、リュット・レゾネ(減農薬農法)を10年以上実践し、彼らが相続し未来へ託す環境を守っています。ドメーヌの目の前を流れるロワール河は澄み、夜空には天の川が見えるほど。彼らは『フランスの庭』とも称されるロワール地方の美しい景観を守る担い手でもあるのです。

しかし自然相手の仕事はたやすいものではありません。先代で父のロバートが急逝し、栽培と醸造に関する最良の技術を取り入れながらドメーヌを運営しつつも、自然の猛威の前に打つ手は限られ、その結果大きく収量が減少することもあります。

ドメーヌにはストックのない2016ヴィンテージが日本にはあります!!

最近では2016年産のワインが大きなダメージを受けました。春にひょう被害を受け、なんと生産の80%を失ってしまったそうです。在庫として手元に残らず、そのほかの生産年と比べることも叶わなかったヴィンテージですが、日本の輸入会社フィネスのストックヤードで久しぶりに対面することができ、新しくリリースの2017年ヴィンテージと飲み比べることができたことに、いたく感動していた姿が印象的でした。

2016年は困難を伴う年でしたが、対して2017年の収量は安定したとのこと。ヴィンテージで異なる個性が味わえる絶好の機会。日本でしか体験できませんヨ。



生産者:ドメーヌ・レジス・ミネ www.regisminet.com

輸入会社:株式会社フィネス www.finesse-wine.co.jp

この記事を書いた人

須藤千恵子
須藤千恵子
語学留学など世界複数国に滞在するなかで異文化と触れてきた経験と、帰国後にワイン輸入販売社勤務経験から、ワインと食の在り方など、独自のPR活動を行う。(社)日本ソムリエ協会ソムリエ、(社)日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMA、(社)日本フードアナリスト協会フードアナリスト。