色とりどりの紫陽花が咲く水無月6月20日、ザ・ストリングス表参道にてポルトガルワインの知識とサービスの日本一を競う、Wines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2019が開催されました。

準決勝は非公開

近年じわりじわりと人気が高まりつつあるポルトガルワイン。私たちに郷愁を感じさせる国ポルトガルのお酒だからかもしれません。もうひとつ、その背景に日本で活躍するソムリエの方々のポルトガルワインに対する情熱があるように思われます。

「Wines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2019」では、そんな日本のソムリエたちの情熱がぶつかり合っていました。ポルトガルワインの日本ナンバーワンソムリエを決めるコンクールです。Wine of Portugal主催で、別名「ポルトガルワイン杯」とも呼ばれています。

今回で第5回となるこのコンクールは5月に全国7会場で予選が行われ、厳正な審査の結果12名の方々が6月20日開催の準決勝・決勝へと駒を進めました。

非公開の準決勝会場Aルーム。ピンと張り詰めた空気が緊張感を高めます。

準決勝は非公開、日本ソムリエ協会本部ビルで行われました。

試験会場はAルームでテイスティング、Bルームでサービス&コミュニケーションの課題内容によって分けられ、それぞれひとりずつ、同時進行で行われました。

Aルームでのテイスティング課題は以下の通り。

1)ロゼワインのテイスティングコメント。英語にて。持ち時間3分。
いわゆるフルコメントが求められます。ここで試されるのは、ワインのキャラクターをとらえ適格に表現し、品種やDOへの判断へとつなげること(以下、筆者の分析が含まれています)。

2)白ワイン4アイテムの品種、DO、ヴィンテージを答える。日本語にて。持ち時間2分。
フラッシュテイスティングと呼ばれる試験で、短時間で正確さが求められます。

3)料理の写真を2枚見て、テイスティングした5つのワインの中で最も相性の合うものを選び、その理由を述べる。英語にて。持ち時間2分。
2種の郷土料理とワインのペアリング。カルド・ヴェルデとカルネ・デ・ポルコには、どのワインを合わせるのか?

Bルームでのサービス課題は以下の通り。

会場内に2名と4名のゲストが座るテーブルが2卓あります。2名テーブルのホストはスパークリングワインを食前酒としてオーダーしています。別テーブルには4名のゲストが着席しています。すでに赤ワインをオーダーし、メインディッシュを待っている状態です。デカンタージュしてサービスしてください。どちらのテーブルからサービスを始めてもかまいません(サービスの順番は選手に委ねられ、審査の対象となっています).

準決勝会場Bルームではサービスの審査。JSA常務理事の森覚審査員の目が光ります。

サービスの最中、森覚審査委員長よりポルトガルワインについて英語での質問が矢次早に行われます。これはコミュニケーションの審査対象となり、英語力とポルトガルワインの知識が求められます。

準決勝を戦い抜いた12名の選手たち。決勝戦へのチケットは誰の手に?!

こうして行われた準決勝。厳正な審査の結果、12名から3名が選ばれ、決勝へと進みました。

決勝進出を果たした3名。左から吉田雄太、佐々木健太、谷川雄作の各選手。

1位通過は佐々木健太選手(L’AS)、以下、吉田雄太選手(ベージュ・アラン・デュカス東京)、谷川雄作選手(ティエリー・マルクス)と決まり、この3名で2019年のポルトガルワイン日本ナンバーワンソムリエが決定されます。

3名が決勝へ

決勝戦は、以下の課題で競われます。

1)テイスティング
6つの赤ワイン、それぞれのDO、主要ブドウ品種、ヴィンテージを答える。日本語にて。持ち時間3分。
準決勝でも行われたフラッシュテイスティング。6種類すべてが赤ワイン。ポルトガルの各地域特色が正確に把握できているかが問われます。

課題1)のフラッシュテイスティングを行う谷川選手。迅速に正確な分析能力が試されるなか、冷静にワインのコメントを行います。

2)ペアリング
お品書きにある懐石メニューにそれぞれポルトガルワインを提案する。英語にて。持ち時間5分。

【お品書き】
前菜 才巻海老帆立と帆立 雲丹黄身鼈甲飴 白松葉独活 白瓜 香味海苔 山葵オイル 
魚料理 油目利休焼
肉料理 黒毛和牛唐柿玉子とじ松葉独活 椎茸 厚揚げ 生胡椒
食事 新生姜釜炊き御飯 卸し唐墨 花山椒
留椀 合せ味噌
香の物 三種盛り
甘味 焙じ茶シフォン 柚子ホイップ 塩キャラメル胡桃 季の物

和の食材を使った和食メニューは英語の語彙力も試されます。近年の和食ブームや、東京オリンピックを来年にひかえた需要が大きいペアリングが課題となっています。

3)カクテル・スパークリング
外国のお客様2名よりアペリティフのオーダーをとり、サービスを行う(女性ゲストはスパークリングワインをグラスで、男性ゲストにはポートニックをサービス)。英語にて。持ち時間3分。
目の前に置かれた3本のボトルはレイト・ボトルド・ヴィンテージポートとロゼポート、そしてマデイラワイン。このマデイラワインがトリックです。

課題3)のカクテル、ポートニックをロゼポートでつくった吉田選手。レモンをしぼっていっそう鮮やかな色合いのカクテルに仕上げました。

4)サービス
6人のテーブル席にて。白ワインと赤ワインを同時に飲みたいというゲストに、白ワインはエアレーションを施し、黒ワインはデカンタージュをしてサービスする。英語にて。持ち時間6分。
エアレーションとデカンタージュについて:実はソムリエ協会では2017年に例会セミナーとして行われていたテーマにありました。ちなみに、ソムリエ協会の正会員はホームページにて動画がみられます。

課題4)のエアレーションを施した白ワインをサービスする佐々木選手。緊張する大舞台の上でも普段とおりスマートにサービスを行います。

5)コマーシャルコメント
お客様から「このワインを日本に輸入したいと思っています。アドバイスをください」という質問に的確にコメントをする。英語にて。3分。

課題終了かと思いきや、外国人ゲストのテーブルの下からポルトガルワインが1本取り出され、突然の質問に答えます。各選手、日本での販売プロモーション方法に個々の意見を伝えます。

各課題の持ち時間は数分と短い時間でありながら、知識と体力と平静さを保ってすべてを駆使し、3選手の競技が終了しました。

Wines of Portugal Japanese Sommelier of the Year 2019の栄えある優勝者は、谷川雄作選手(勤務:ティエリー・マルクス)、2位吉田雄太選手、(ベージュ アラン・デュカス東京)、3位 佐々木健太選手(L’AS)。

各選手、大健闘にて、切磋琢磨が伝わる2時間でした。

ワインボトルを模した優勝トロフィーと入賞楯。

副賞として、5位までの入賞者にはポルトガル研修旅行が送られます。4位は長谷川大地選手(マンダリンオリエンタル東京)、5位は野村大智選手(GRAND HOURS)でした。

優勝者の谷川さんのコメントは、これまで支えてくれた職場の方々やソムリエの先輩や仲間たちへの感謝に満ちたものでした。ポルトガルワインのアンバサダーとしての、これからの活躍が期待されます。

谷川さん、おめでとうございます!!

左から、4位長谷川大地選手、ジョセ・フェルナンデス氏(ポルトガル大使館 経済参事官)、2位吉田雄太選手、優勝谷川雄作選手、3位佐々木健太選手、ソニア・ヴェイラ女史(Wines of Portugal地域マネージャー)、5位野村大智選手。

一般社団法人日本ソムリエ協会公式ホームページwww.sommelier.jp

この記事を書いた人

須藤千恵子
須藤千恵子
語学留学など世界複数国に滞在するなかで異文化と触れてきた経験と、帰国後にワイン輸入販売社勤務経験から、ワインと食の在り方など、独自のPR活動を行う。(社)日本ソムリエ協会ソムリエ、(社)日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMA、(社)日本フードアナリスト協会フードアナリスト。