フランス、アルザスに在住しているため、アルザスワインを極めるべくアルザスに限定し、ワイナリー巡りをしている。その様子を皆さんにもお送りしようと記事を書いているが、そもそも…。アルザスワインって? という方もいらっしゃるだろう。地元あるあるだが、アルザスの人間(私も含めだが)は、アルザスワインは世界でも有名だと思っているのだ。

フランス東部に位置するアルザス地方は、主に白ワインで有名な地域だ。

日本では、フランスワインと言えばボルドーやブルゴーニュなどの方が有名だが、私個人的には「ワインはちょっと…やっぱり日本酒の方が好き」という方にアルザスの白ワインをお勧めしたい。 現に、私の友人で「ワインはあんまり・・・」と言っていた人たちにアルザスワインを紹介したら、アルザスワイン好きになってくれた。日本食にも合うと言われるアルザスワインは、最近ではお寿司屋さんなどでも置いているところがあるようだ。

そんなアルザスワインは、ワイン街道と呼ばれる街道に位置する103村で生産されており、890ほどのワイナリーがあるそうだ。先日もある大手のワイナリーのオープンデイというのに行ってきたのだが、そこでも「アルザスワインはセパージュ(品種)別に生産されている」という説明から始めており、アルザスワインはまだまだ知られていないということを実感した。

ということで、今更ながらだが、アルザスワイナリー巡りの前に、アルザスワインの基本についてザックリご紹介したいと思う。

ワインの特徴

葡萄畑 


アルザス地方で既定の生産基準を守って造られたアルザスワイン「Vin d’Alsace」(フランス語でアルザスワイン)はAOC アルザス(AOC Alsace仏語)と表記されている。

注(AOC= Appellation d’Origine Contrôlée; 日本語に翻訳すると「原産地統制呼称」「原産地呼称統制」=フランスの農業製品、フランスワイン、チーズ、バターなどに対して与えられる認証であり、製造過程及び最終的な品質評価において、特定の条件を満たしたものにのみ付与される品質保障の事)

先ほど述べたが、通常アルザスではボルドーなどの他地方のワインのように混醸せず、単独品種でワインを造ることで知られている。ということは、各品種によって味の性格が出るということだ。

ワイン 


ワインのぶどう品種

アルザスワインに使われる主な7品種:ピノ・ブラン、シルヴァネール、リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカ、そして赤ワイン用のピノ・ノワールがある。

ピノ・ブラン
ライトでデリケート、なめらかな飲み心地。毎日の食卓の彩に最適。クレマンダルザスにも使用される、すっきり飲みやすいフレッシュな味わいのワイン。

シルヴァネール

シルヴァネール

喉を潤すフレッシュでライトな飲み心地。デリケートなフルーテイさを感じる。しっかりした料理をライトに感じさせ、ヨードの味わいを際立たせる。

最近ではワイナリーに行くと「忘れられがちなワイン」とも言われ、他のアルザスワインに比べて知られていない。そんなイメージもあるが、そのフレッシュ感、飲みやすさは夏のワインとも言える。


リースリング

アルザスワインと言えば、やはりリースリングをイメージする方も多いだろう。アルザスワインはここから始めることが多い定番ワイン。 エレガントで繊細、フレッシュな味わいでレモンなどの柑橘系の香りがする。

リースリング
リースリング

繊細で手の込んだ一皿の味わいを引き立てる。アルザス郷土料理にはリースリングと言われる、定番アルザスワイン。

ミュスカ

ミュスカ

ミュスカと聞いてもピンとこないかもしれませんが、日本語で言うマスカットのこと。他地方のミュスカは甘口仕上げが多いが、アルザスのミュスカはフルーテイな甘い香りで、飲み口はすっきり辛口。弾けるように広がるアロマテイックな味わい。

そのフルーテイさとデリケートな味わいがアぺリティフに最適。アルザスではアスパラガスに合うと言われているので、春のワインのイメージ。

ピノ・グリ

甘口の方が好みだとワイナリーで伝えると、ピノ・グリから勧められる事が多い。

力強くまろやかで高貴な味わい。複雑なアロマで、包み込むようななめらかな飲み心地が風味豊かな料理を引き立てる。しっかりした鳥系の肉料理などにも合う。

ピノ・グリ
ゲヴルツトラミネール

ゲヴルツトラミネール

アルザスの甘口ワインと言えばこちら。複雑でリッチ、アロマ豊かで、ライチ、バラの香り、香辛料の香りがすると言われるワイン。 フランスではアペリテイフやフォアグラに合わせるのが定番だが、中国、インドネシア、マレーシア、タイ、インドなどのアジア料理と合うとも言われている。個人的には日本のカレーなど味の濃い日本食とも合うと思う。甘口のお酒が好き、という方にはお勧めで、女性的なワインというイメージ。

ピノ・ノワール

アルザス唯一の赤ワイン。口の中にベリー系のフルーテイな香りが広がり、どちらかというと軽やかでコクがあり、バランスがよくアロマ豊か。

ピノ・ノワールの作り方にもよるが、どっしりとしたピノ・ノワールなら、肉の煮込み料理などしっかりした料理に、軽やかなピノ・ノワールならバーベキューなどのお供に最適。

ピノ・ノワール


その他の品種 アッサンブラージュ(ブレンド)

エーデルツヴィッカー

単種が特徴と言われるアルザスワインにも混種のワインも存在し、AOCアルザスのワインで白ぶどうをブレンドしたものは通常「エーデルツヴィッカー」とラベルに記載されている。ただし、通常各品種のブレンド比率は記載がなく、各ワイナリーさん次第である。ぶどうは、合わせて、もしくは別々に醸造され、ヴィンテージの表記は任意。歴史的には、これらの異なる品種は同じ区画で栽培されていた。エーデルツヴィッカーは一般的に、明るい黄色で、果実味豊かで調和の取れた香り。滑らかでバランスが良い味わいで、シンプルで飲みやすく、果実味と爽やかさが味わいの中で一体となったワイン。

エーデルツヴィッカー


ジャンティ

「ジャンティ」は醸造方法を規定している業界憲章の対象で、AOCアルザスの上級のブレンド基準に対応しているワインに与えられる名称。「ジャンティ」はブレンド前に、各品種は別々に醸造され、AOCアルザスの認証を得えることになっており、ブレンドは決まっており、リースリング、ミュスカ、ピノ・グリ、ゲヴルツトラミネールで50%以上、残りはシルヴァネール、シャスラ、 ピノ・ブランとなっている。通常料理全般と合わせることが可能。

もちろん、混種の中にはこの上記の表記がされていない、ワイナリー独特のものもある。

アルザスワイン
アルザスワイン


アルザスワインという名前を知っている方も少なくないと思うが、品種の違いだけではなく、ワイナリーによって味も異なり、日本に入ってくるものはそのほんの一部でしかない。

最近は自然派ワインなども流行ってきているが、やはり自然派ワインはこのアルザスワインの規定とはちょと異なる味わいだとも思う。

これからもアルザスワイン街道の村を巡り、さらにアルザスワインへの知識を高めていき、その体験をシェアしていければと思う。最初にお送りしなければいけなかったアルザスワイン基本のキ。次回は基本のホとンであるグランクリュについて、その他のアルザスワインについてもお送りしたい。

※アルザスワイン基本資料CIVA アルザスワイン委員会抜粋

この記事を書いた人

Coquelicot
Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00