フランス、アルザス地方に住んでいることもあり、趣味でアルザスのワイナリー巡りをしている。 今回はアルザスワインをさらに極めるべく、フランスの美しい村にも認定されたEguisheimの Domain Zinck さんでぶどう収穫の仕事に行って来た。

実はこのワイナリーさんは、以前ワインの展示会でお会いして、お名刺を頂いていたビオデイナミのワイン生産者。全く知らないワイナリーでお仕事をしたいとは思っていなかったし、やっぱり自分が美味しいと思ったことのあるワイナリーが良い。そういう意味でもこちらのワイナリーでのぶどう収穫に関われたことはラッキーだった。

Eguisheimの街並み
 
Domain Zinck
 

アルザスでは、ぶどう収穫時期が年ごとに決まっており、今年はクレマン用のぶどうは、9月4日から、他のワイン用ぶどうは9月12日からだった。この日から必ずぶどう収穫をしなければいけないと言う事ではなく、逆に言うとこれ以前の収穫はできないと言うことらしい。ワイナリーによっては、この日よりも遅く収穫を始めるところもあるようだ。

アルザスはぶどう収穫の仕事は Allo Vendanges と言う電話番号があり、そこに電話をすると、ぶどう収穫の季節労働者を探しているワイナリーを紹介してくれるシステムらしい。ただし、最近ではFacebookなどのワイナリーページでも募集をしている事がよくあり、私はFacebookからの募集で今回ぶどう収穫仕事を見つけた。通常は早いうちに募集があるのだが、たまに急遽人が必要になったり、最後まで収穫に参加できない人が出てきて、募集をかけたりもするようだ。

私が見つけた募集は「来週から1週間ぶどう収穫の仕事」と言うもので、その募集を見て、すぐに電話で連絡をし、必要書類を送ってOKを頂いた。

ぶどう収穫の仕事の規定も厳しく、フランスでの労働可能な者に限り、誰でもができると言うわけでもない。フランスの保険番号もちゃんと聞かれる。しかしながら最近では人手不足で、東欧からの季節労働者も少なくないとも聞いている。

また、体験としてぶどう収穫がしたいと言う方には、最近ではワインツーリズムの一環で、ぶどう収穫体験ができるワイナリーもある。woofというサイトを使って、仕事をする代わりに宿と食を提供してもらうシステムもあり、それでワイナリーで働く方もいるようだ。

さて、実際のワイナリーでのぶどう収穫の仕事は、基本フランスの最低賃金が支払らわれ、美味しい昼食付きだ。あとはワイナリー次第のようだ。私の場合はストラスブールからだったので、ワイナリーさんの家に泊めてもらいながら4日間のぶどう収穫をしてきた。

ワイナリーの朝は早く、ワイナリーに6時45分集合(と言っても全員が集まるのは7時くらいになる。この辺りはフランスらしい)。そして労働時間は朝7時から午後4時までとなっていた。

ぶどう畑 

集合した後トラックにみんなで乗り込み、その日の収穫の畑に移動する。そしてそこからぶどう収穫を始め、1、2時間すると朝ごはんが食べられる。空気の綺麗なぶどう畑の真ん中で食べるこの朝ごはんがとにかく美味しかった。

ぶどうの収穫作業
 
ぶどうの収穫作業
 

そしてまた仕事を再開し、お昼どきに一度ワイナリーに戻り、ランチを食べる。お昼はケイタリングのようだが、運良くアルザス料理三昧でお昼も楽しめた。

シュークルト(ザワークラフト)や

シュークルト 

トユルトと言うアルザスパイ

トユルト 

デザートはワイナリーのおばあさまのお手製ケーキ。
これはリンゴタルト。

リンゴタルト 

ぶどう収穫は、ぶどうの木をはさんで2人組で収穫する。低めにあるぶどうも多く、立ったりしゃがんだり、腰をかがめたりするので、かなりの肉体労働だ。蔓にからみ、頑固で獲れない事もあり、ぶどうの大きさもいろいろあり、意外と収穫は大変だった。

バケツにどんどん収穫したぶどうを入れて、それがいっぱいになると、次のバケツをもらうという手順で、運び係もいるのだが、たまにバケツを持って歩くので、結構力もいる仕事だ。

また、ぶどう収穫はスピード勝負でもあるので、どんどん進んでいかないといけない。そしてバケツがいっぱいになると、次のバケツをもらうために「バケツ!」と叫ぶ。それを繰り返していく。

今年はコロコロ温度も変わるおかしな天候だったが、運良く雨はほぼ免れた。それでも天気も1日でよく変わるし、一瞬だけ雨にも濡れた。いろんな意味で体力が大事な仕事だった。

初日手袋も無くて、一緒にペアを組んだ相手にぶどうの代わりに指を切られたり、その他にも手足に小さな切り傷もたくさんできた。さらに身体も虫に食われ、大変な目に合った。

けれどこうして作られるからこそ美味しいワインができるんだと思った。なによりも大変なのは良いぶどうを収穫することだ。こうして働いて、ワインをボトルからだけではなく、ぶどう収穫からワインを知る事ができたのは、良い経験だったと思う。

みんなでワイワイしながらぶどう収穫をして、品種の違いや、土壌の違いも生で体験できて、ワインを飲む楽しみがさらに増えた気がする。

ぶどう畑 

グランクリュの収穫にも関われたし、品種違いのぶどうも見比べ(味比べ)できたし、ぶどう収穫の時期ならではの体験がたくさんできた。こうすることによって、土壌の違いも、品種の違いもはっきり分かるのは大変ありがたい事だ。

ぶどう収穫作業
 
ぶどう収穫
 

仕事の終わりは午後4時だが、その後に一杯(いっぱい?)飲んでから仕事が終わる。その日によって振る舞ってくれるワインが異なるが、これもこの仕事の良いところだと思う。

こちらはクレマンダルザス

クレマンダルザス 

他の日は3種別のセパージュのワイン
ピノブラン、シルバネール、そしてゲヴェルルラミネール

ピノブラン、シルバネール、ゲヴェルルラミネール 

最終日はみんなでタルトフランベを作って、ワイナリーの外で本格的な窯で焼いて食べた。

仕事の終わった後にみんなで食べたタルトフランベは、今まで食べたタルトフランベの中でも1番と言える美味しさだった。

タルトフランベ
 
焼き窯
 
タルトフランベ
 

もちろんワインも一緒に…。

通常のぶどう収穫は2〜3週間、クレマンの時期も含めれば1ヶ月ほどの季節労働ができるが、たまにこうして勃発的な募集もあるようで、個人的には体験としてちょうど良い期間だったと思う。

こうした経験は現地ならではなのかもしれないが、観光用に体験ぶどう収穫をしているワイナリーもあるし、フランスで労働可能な方(ワーホリなどでも)ならこうした収穫に携わることも可能だ。私もアルザス在住者と言うだけで、アルザスワインにハマり、今年はこうして収穫にも参加することができた。私の場合、交通のことを考えると通いは難しいので、今回のように、宿泊もさせてくれるワイナリーさんに出会えたことは本当に有難いことだった。

個人的にも、どのワイナリーさんでも、という事ではなく、やっぱり以前に飲んだことがあって、自分が美味しいと思ったワイナリーが良いと思っていたし、できればビオかビオデイナミ、もしくは自然派ワイン生産者が良いと思っていたので、本当に全ての面でラッキーだったと言える。

日本にも入っているビオデイナミのワイン。マーケティングもしっかりしているし、日本人スタッフさんもいるし、訪れやすいワイナリーでもある。

Domaine Zinck

住所: 18 Rue des 3 Châteaux, 68420 Eguisheim

電話: 03 89 41 19 11

この記事を書いた人

Coquelicot
Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00