フランス、アルザス地方は、特にコロナウイルスの影響も大きく、フランスは現在外出禁止令も出ています。そんな中、こんな状況を楽しもうと、こんな機会だからこそアルザスワインについて学びたい、家ワインを楽しみたいという方がいて、その方のために家にあるアルザスワインをご紹介することになりました。
【注 フランスは外出禁止と言っても、買い物など必要最低限の外出は外出証明書を持って外出すれば可能です】

その方はある程度はアルザスワインを知っている、日本人シェフの方だったのですが、とりあえず、いろいろ比べられるように12本アルザスワインを選んでみました。今回はこの外出禁止の中、今までに訪れたアルザスのワイナリーさんで買った家にあるアルザスワインのストックから、いろいろな想いも込めて選んでみたので、アルザスワインの説明を交えながら、皆さんにもその選んだワインたちをご紹介していきたいと思います。

こんなご時世ですが、少しでも多くの方にアルザスワインをさらに知ってもらえればと思います。

アルザスワインの特徴はまずその品種ですが…

アルザスは品種違いでワイン生産されるのが一般的ですが、エデルツウイッカーと呼ばれるアッサンブラージュもあります。ワイナリーによっては、このアッサンブラージュをエデルツウイッカ―と呼ばず、別の名称のワインで販売していることもあるのでややこしいですが、通常はこの混種ワインをエデルツウイッカ―、と言います。

このワインは混種のせいで、イメージ的に「あまった果汁を全部混ぜている」と思うこともあるかもしれませんが、決してそうではなくて、ワイナリーごとに異なる混種にしているので、ワイナリーの特徴が出るワインでもあります。エデルツウイッカ-の品種あては結構難しいなと思うのですが、品種の違いが分かってから、このエデルツウイッカ―を飲んで品種あてをすると面白いかもしれません。

ワイナリーさんによってはブラインドで飲ませてくれて「このワインの品種分かる?」なんて聞いてくるワイナリーさんもいます。

恐らくエデルツウイッカ―のイメージが低いため、エデルツウイッカ―と名乗らず、他の名前でワイン生産しているワイナリーも増えているのかもしれません。

ということで先ずはアッサンブラージュ3本を選んでみたが

という事で、今回は品種違いの前に、とりあえずこちら3本選んでみようと、いくつか候補をあげてみました。結局最終的にこちらの4本から3本異なる特製のアッサンブラージュを選んでみたのですが、迷った4本目も含めてご紹介したいと思います。

【1】AimeStentzさんは日本に入っていますが、ここ最近私が飲んだ中でかなりコスパの良い、アルザスのアッサンブラージュだと思いました。アッサンブラージュは混種ということもあって、そのイメージは安くて、あまり良いワインではないというイメージもあるんですが、ワイナリーさんが考えて考えて生産している混種もあり、一概にそうとも言えないことがあります。こちらのアッサンブラージュは50%シャスラ、それにピノブラン、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネールの混種。このワイナリーの特徴が出ていて、とても面白いワインです。

ご家族はとってもチャーミングで素敵な方々で、ワインにもそのお人柄が出ています。全体的に辛口仕上げで、ゲヴェルツトラミネールも辛口です。でも、甘口ワインはしっかり甘口で、レパトーリーもたくさんあります。つまり、辛口にも甘口にも対応している、良いワイナリーさんです。どのワインも美味しいのですが、特にエデルツウイッカ―は、最近飲んだワインの中ではかなりお勧めでした。とりあえず、ここのワイナリーさんを知るにはエデルツウイッカ―を飲んでみるのは良いと思います。

ここのお爺さんは、ワイナリー訪問した際にカーヴでホルンを奏でてくれて、とてもユニークなワイナリーだなと思ったのを覚えています。最初はワインに音楽を聞かせているのか、と思ったりしたのですが、もしかしたら、お爺さんのホルン練習場なだけ、だったかも、しれません。そんなチャーミングなご家族が営むワイナリーです。

AimeStentz 

【2】そして、こちらROLAND SCHMITTさんはマンガ『神の滴』にも登場したワイナリーのワインです。『神の雫』に登場したのは別のワインですが、実は既にラベルも変えているのに、日本だけはマンガの影響もあって、日本用のラベルが変えられないそうです。こういうのもマーケティングなんだなと思います。

このARGENTORATUMは、バラン県、ストラスブール付近の村にある15ワイナリーほどが所属するアルザスワイン組合があって、そこの組合の人たちが皆それぞれにストラスブールの何か記念の時に生産したワインです。ラベルは一緒で、上に小さく各ワイナリーの名前が書かれています。アルザスワインをよく知らないと、別のワイナリーが同じ銘柄で作っているなんて分かりませんよね。各ARGENTORATUMを買って飲み比べても面白かったかなと思います(ある年に記念で生産されたワインなので、販売終了後にはもう生産されていないと思います)。

このARGENTORATUMという名前は昔のSTRASBOURGの名称。ここのワイナリーさんでは80%リースリング、20%ピノグリのアサンブラージュです(ARGENTORATUMのワイナリーさんたちはストラスブールのクリスマスマーケットでローテーションでワイン販売をしているので、全ワインではないのですがストラスブールでもクリスマスマーケット期間ではアルザスワインが買える時もあります)。また、基本的にはこの組合に入っているワイナリーさんは皆似ているワイン生産者の方が多く、基本的にビオワイン、自然派ワイン生産者です。

ROLAND SCHMITT 

【3】こちらDOMAINE MANNさん。MANNさんのアッサンブラージュは、コンプレタシオンのワインです。コンプレタシオンは、品種ごとに生産したワインを後から混種にしていくのではなくて、既に畑に別々の品種が一緒に植えてあって、一緒に収穫する、という手法です。このワインは、なぜかほんのりアーモンドのような香りがします。ビオワイン、ビオデイナミ生産者のワイナリーさんで、土壌を大事にするワイナリーです。また、「忘れられたワイン」と言われるシルヴァネール生産にも力を入れています。日本では「1軒のワイン屋さんにしか入っていない」そうなのですが、日本人好みの良いワインを作っています。

DOMAINE MANN 

【4】そして最後の候補はこちら。日本は今自然派ワインが流行っているようなので、同じアッサンブラージュならこちらの自然派ワインのアッサンブラージュの方が面白いかな…とも思っています。

ということで、こちら、北海道のインポーターさんが入っている、と言う自然派ワイン。このワインはアッサンブラージュですがある意味かなり貴重。なんと日本限定発売特別キュヴェで、実はフランスでは本来飲めないワイン…です。特別に譲ってもらいました。逆に言うと日本では飲めるワイン…という事なんですが、アルザスのワイナリーのワインなのに、アルザスでは飲めないワイン…という珍しいワインです。

そう言う特別キュヴェ生産が好きなのが日本ぽい気もするし、そう言うことが可能なのも日本です。これで日本人が好きなアッサンブラージュと他のアサンブラージュが試せるかなと思います。

もちろんラベルも日本オリジナルで、日本のインポーターさんが書いたものだそう。

自然派ワインのアッサンブラージュ
 
自然派ワインのアッサンブラージュ
 

4本ご紹介してしまいましたが、ここから3本選んでみるつもりです。さて、どれが残るのか…。

アルザスと言えば、やっぱり王道リースリングは外せない!

そして、やっぱりアルザスワインと言えばリースリング!

なので、まずは王道アルザスワイン、リースリングも3種揃えてみました。もちろん、通常のアルザスのリースリングだけではない、リースリングたちです。

アルザスのリースリング 

【1】こちらは私の好きなDOMAINE Vogt さんのワインです。日本には入っていないですがビオワイン生産者です。今の代の方は3人の小さいお子さんのいる40代の元気なご夫婦です。ストラスブールのクリスマスマーケットにも出展していて、そこで仲良くなったのですが、それ以来毎年1回はお邪魔しているワイナリーです。

ワイナリーさんに仲良くしてもらっているというのもありますが、まだアルザスワインのこともあまり知らない頃から訪れているワイナリーさんで、ある意味ここのワイナリーが私の【基準】です。ものすごく美味しい、トップではないけれど、お値段とワインの品質を考えると、安定の美味しさのワイナリーです。ここよりも安いと安いなと感じるし、ここよりも高いと高いなっという感じで、私の【基準値】にしているワイナリーさんです。

なので、この個人ワイナリーは私の中のアルザスワインの【基準】なのです。

このWOLXHEIMと書いてあるのは、実はこのWOLXHEIMという村のAppellation communale(アペラシオン コミュナル)と言われる特別地域のワイン。この村はストラスブールから車で20分くらいで行ける小さな村です。

DOMAINE Vogt 

【2】HENRI HEARTMANさんは、ご本人たち曰く「日本で一番売れているアルザスワイン」たそう。それもそのはず、こちらはネゴシオンと呼ばれる大手ワイナリーなのですが、実は日本ではCALDIに入っています。そう考えると、店舗数を考えても確かにすごい数のアルザスワインが日本に輸入されていると思います。

そして、こちらのリースリングはGRAND CURなのでやはり、美味しいです。アルザスのグランクリュはアルザスワイン生産のたった4~5%の生産量。実はとても貴重なんです。そしてこのKAEFFERKOPHはアルザスで51番目の「歴史(問題?)」があったグランクリュです。

良い土壌で、昔から有名な土壌だったのですが、いろいろと問題があり、すぐにグランクリュに認定されず、最終的に51番目(絶対50種にしようとして、後から追加された感がします…。)にグランクリュに認定されました。混種のグランクリュが認められている珍しいグランクリュの1つです(その変わりにミュスカのグランクリュKAEFFERKOPHは存在しません)。

ネゴシオンという大手であることもあって生産量も多く、味を考えてもコスパも良いのです。ただやはり個人ワイナリーではなく、ネゴシオンと呼ばれる大手のワイナリーという事もあって、味が【基準値】という印象もあります。これは私の【基準】ではなく、世の中のアルザスワインの味の【基準】がこれなのかなという印象があります。ネゴシオンは他のぶどう農家からぶどうを買って自社ブランドで販売しているワイナリーです。そのため、いろんな畑からぶどうが来るので、ぶどう品種そのもの特徴は感じられますが、生産者の特徴は感じにくくなります。 でも、この機会なので、比べてみるのに良いかなという一本です。そういう意味ではこちらのクラシックなアルザスワインであれば、ある程度値段も抑えられて販売されているので、コスパ的にはおススメワインです。この値段でこのお味はかなり美味しいと思えるワインであるのも確かです。

HENRI HEARTMAN 

【3】一般消費者はどうやってワインを買うのか…。という事を考えてもう1本。あるコンクールで金メダルを取ったワインです。こちらも個人ワイナリーです。こういうメダルを獲っているワインは本当に美味しいのか…。

こう言ったコンクールは沢山ありますし、どれがどういうコンクールかと言うのも消費者が全部把握していないかもしれません。それにコンクールに参加するにもお金がかかります。

多くのメダルを獲得しているワイナリーは、それだけマーケテイングにお金を掛けているとも言えます。じゃあ、そのマーケテイング費用はどこから出ているのか…もちろんそれはワインの値段に関係してきます。マーケテイングにお金を掛けているワイナリーさんは、その分ワインの値段が高くなることもあるのです。

もっとも、こちらのワイナリーさんのリースリングは美味しいなと思って買ったので、決して不味いワインとか、高いワインということではありません。この3本では一番スタンダードなリースリングかもしれません。メダルなどの評価は、一つの美味しいワインの目安にはなるのでこんな感じにリースリングを3種飲み比べ…するには、1種の【基準】になって面白いかなと思います。また、2015年は特に当たり年なので、その意味でも美味しい。この3種を飲み比べると、リースリングのことがちょっと分かるかなと思います。

ということで

☆個人ワイナリーのクラシックタイプのリースリング、当たり年の2015年
☆個人ワイナリーの村のAppellation communale(アペラシオン コミュナル)のリースリング
そして
☆ネゴシオンと呼ばれる大手ワイナリーのグランクリュのリースリング
と三種三様なので、勉強になる3本を選んでみました。

グランクリュのリースリング 

前半の6本の紹介はこの辺で…。品種違いのアルザスワインを選択するなら、本来6本の異なる品種を選ぶこともできるのですが、私は逆にまずワイナリーの特徴の出るアッサンブラージュと言われる混種を3本。そして王道リースリングを比べる3本を選んでみました。

後半他の6本は何を選んでいくのか…。こちらは逆に品種違いなどを選んでいきたいと思っています。

今回、ご紹介したのは7本のアルザスワインですが、我が家にあるアルザスワインの一部から、アルザスワインを学んでみたい、という時にどんなワインをお勧めしたら良いか…を考えながら選んだワインです。

もしも誰かに「1からアルザスワインを知りたいです」と言われたら、また他の6本、ないし12本選ぶかもしれませんが、今回は家にあるワインからアルザスワイン初心者用に7本ご紹介してみました。少しでも多くの方が「アルザスワイン、飲んでみようかな」と思ってくれることを願っています。次回はもう少し品種に焦点をおいた6本をご紹介したいと思います。

この記事を書いた人

Coquelicot
Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00