フランス、アルザス地方はコロナウイルスの影響も特に大きく、現在外出禁止令も出ています。そんな中、こんな状況だからこど、こんな機会だからこそ、アルザスワインを楽しみたいという方のために家にあるアルザスワインをご紹介することになりなりました。
今回はアルザスワインをいろいろ飲み比べられるように12本アルザスワインを選んでみたのですが、その後編です。 <前編はこちら>

外出禁止の中、今までに訪れたアルザスのワイナリーさんで手に入れた我が家のワインストックから、これにしようか、あれにしようか、いろいろな想いも込めて選んでみたので、アルザスワインの説明を交えながら、その選んだワインたちをご紹介していきたいと思います。

12本中6本はやはりセパージュ違いのワインを…

アルザスワインの特徴はやはりセパージュ、品種の違いによる味わいだと思います。ということで折角なので後半6本は品種の違いで選んでいきたいと思います。

アルザスのシャンパン?クレマンダルザス

まずは前編も登場したVOGTさんのクレマンダルザスです。やっぱりアルザスの「泡」と言えばクレマンダルダルザスです。クレマンダルザスで使用される品種はピノブラン、ピノグリ、ピノノワール、リースリング、オクセロワ そしてシャルドネ。ロゼだとピノノワールを使用することによって色が出ます。生産方法はシャンパンと一緒です。

品種が異なれば別の物に…とも思うのですが、こちらのVOGTさんのクレマンダルザスは品種もシャルドネで作っているので実はシャンパンと変わらないということになります。でもシャンパンよりずっとお安く、これはやっぱりお得な「泡」ワインです。

(アルザス好きな私は)個人的にはシャンパンより、美味しいワイナリーのクレマンダルザスの方がずっとお得で美味しいと思うこともあります。もちろん、比べるシャンパンにもよりますし、比べるクレマンダルザスにもよります。絶対日本でも流行るワインのはずです。

アルザスはブランデイングが下手なので…クレマンダルザスも日本で認知され人気が出るにはまだまだ難しいのかも、しれません。日本で有名なクレマンダルザスと言えば、やはりこちらも『神の雫』に登場したDOMAINE KLUR(今は生産と畑が譲渡され、Domaine Léon Heitzmann & Clément Klurになっています)さんのMANEKINEKO、かもしれません。

クレマンダルザス 

香りはフルーティ、でも実は辛口ワインのアルザスのミュスカ

そしてせっかく春なのでミュスカ…も1本。

とは言え、このワイナリーさんは自然派ワイン生産者なので、王道ミュスカとはちょっと異なりますが、美味しい自然派ワインのミュスカです。

FISCHBACHさんは恐らく今年から日本に入るだろう…というワインで、昨年末に日本への最初の輸出をしたそうです。

元々歴史あるワイナリーですが、一度閉めてしまって、今の代のJEANさんが、新しく自然派ワイン生産を始めた、「歴史ある、新参者」です。これから日本にもじわじわ入って来てくれるであろう…ことを期待しているワイナリーさんです。

私は個人的には自然派ワインファンではないのですが、今この分野が日本では流行っています。自然派ワインはやっぱり生産が大変だからか、マーケテイングも視野に入れているワイナリーが多いからか、通常比較的高めのワイナリーが多いのですが、ここはコスパ的にも、優しいワイナリーです。

日本では自然派ワインの第一人者と言えばCHRISTIEN BINNERさんなどですが、確かにワイナリーはとても自然的ですがそれだけではなく、他のワイナリーさん曰く、「やり手(商売人)」のワイナリーだそうで、確かに日本での認知などを見てもそれが分かる気がします。活動的なワイナリーさんは、アルザス内ではなく、外へ外へと輸出にも力を入れているし、そう言った活動は特に日本のマーケティングには大きく反映している気がします。

アルザスはまだまだそういう「やり手」のワイナリーが少なく、逆に隠れたワイナリーを見つけるのが面白い地域です。現在でもワイナリーで生産して、ワイナリー以外での販売をほぼしていない、という小規模な個人ワイナリーも多く存在します。

という事で、とりあえず今日本は自然派ワイン、オレンジワインなどが流行っているので、こちらの自然派のミュスカを1本。

日本では自然派ワイン=ビオ、ビオディナミと全て同カテゴリーにしている場合も多いですが、本来はもっと細かくカテゴリー化されています。もちろん、自然派ワイン=ビオの事は多いのですが一概にそうとも言い切れませんし、自然派ワイン=ビオディナミではないこともあります。

自然派志向の消費者が一番気にしているのは恐らく亜硫酸の量なんでしょうが、ビオもビオディナミも亜硫酸は多少ですが入っていることが多いです。そうでないとワインの味がかなり変わってしまいます。

ただ亜硫酸追加添加無しと書いてあるのものはもちろん入っていないので、これが日本で一般的に考えられている自然派ワインのイメージに近いのかなと思います。亜硫酸が入っていないとワインが安定しないので、やはり輸出するにはリスクがあるのはいたしかたないことかと思います。

アルザスでは、ミュスカと白アスパラガスの組み合わせは定番。私の中では春のワインというイメージです。実際、ミュスカにはアスパラガス以外に合わせるものないの??って思うくらい、どこのワイナリーさんに言っても「ミュスカには白アスパラガス」って言われます。

自然派ワインの場合は、通常のワインほど品種の香りがしないのですが、それでもこのミュスカは美味しいワインで、ちゃんとぶどうの香りが感じられて、良い感じのワインだと思います。香りが良いので甘口かな? と思われがちですが、アルザスのミュスカは辛口ワインです。

ミュスカ 

品種的に味も複雑でふくよかな味わい、ピノグリ

そしてこの2本も捨てがたいワインたち。ピノグリ2種ですが、ちょっとユニークな2種で最終的に6本選ぶのにどれにしようか迷っているワインです。

左の一本は日本未輸出のDOMAINE PIEERE ADAMさんのピノグリ。このワイナリーの後継息子さんの名前がついたキュベのピノグリCUVEE THEO(キュベテオ)。家族の名前が入ったワインはワイナリーの思いが詰まっている事が多く、たいていおいしい。名前の主であり、将来の後継者であるテオ君は、いま学校でワイン生産の勉強中。ちょっと甘口仕上げで、このワイナリーの中でもおススメワイン。

そして右はMAISON ZOELLERさんのピノグリ。こちらも日本未輸出。本来グランクリュの畑で採れたピノグリなのだが、グランクリュを名乗るには生産量が制限されるため、あえてグランクリュと名乗らず、生産量を増やしていると言う…実はせっかくのグランクリュなのに…残念とも言えるワイン。

けれどグランクリュになり得る土壌で生産されていることは事実なので、そういう意味ではちょっとお得。ただし、生産量が規定以上ということは、土壌の味が多少感じなくなるのかも、しれないですが…。

ピノグリ 

そして、こちらDOMAINE LISSNERの赤ワイン。カテゴリで言えば、自然派ワインでもあるのですが、これは実は「野生的ワイン」とも言うべき、とても面白いワイナリーのワインです。ビオですが、「野生派ワイン」はさらに自然に任す感じで、ビオディナミとは違う、とのこと。これはそのワイナリーさんのピノノワール。

ここのワインはなぜかほんのり「旨味」を感じるワインなので、日本人好みだと思います。

1本赤を選びたくて、でも赤が家には数本しかなく、それならここのワイナリーさんの赤、ピノノワールを1本と考えました。旨味が感じられる赤なら、脂っぽい寿司のネタなどにも合うのかなと思ったりもして選んでみました。こちらも日本未輸出のワイナリーさんです。

ピノノワール 

そして、「忘れられたワイン」とも言われるシルヴァネールも1本。美味しいシルヴァネールは本当に美味しい。こちらは、前半にも登場した、土壌を重んじるビオディナミのDOMAINE MANNさんのシルヴァネール。日本では1軒のワインショップにしか卸していないそう。この可愛いラベルのシルヴァネールは、MANNさんの想いがこもった辛口ワイン。お寿司など日本食にも合うかなと思います。

名前も可愛らしく、日本語にすると『青い羊』。絵柄もちょっと「星の王子様」を彷彿させるもので、女子受け間違いなしのラベルです。ワインを「ラベル買い」する人も多いと思いますが、このワインはそういう観点からもお勧めワイン。

シルヴァネール 

それと迷い中なのがこちら。日本には入っていないワイナリーさん、DOMAINE PETIT POUCET。アルザス最小個人ワイン生産者のオクセロワです。ピノブランと同じ品種として扱われてしまうこともありますが、ピノオクセロワ。あまり馴染みのない品種かもしれませんが、以前日本でアルザスワイン試飲会を開催した時に、いらしてくださった皆さんが「今回一番美味しかったのはオクセロワでした」と言って帰られていました。

ただし、それはオクセロワが美味しかったのか、美味しいワイナリーのワインだったからか…。それはちょっと分かりません。

シルヴァネールよりも知られていないんじゃないか、というワインの品種ですが、品種そのものの味はかなりスッキリ飲みやすいのです。だからこそ、ワイナリーの腕が試されるのかもしれません。

ピノオクセロワ 

そしてアルザス高級ワインと言われるピノグリセレクショングランノーブル。

ワイナリーにもよりますが、やはり甘口なのが特徴です。イメージで言えば「はちみつのワイン」。色合いも黄金色で、濃厚な味がします。その甘さから食事に合わすのは難しいですが、逆にこれはワインそのものを楽しむために飲むワインという感じです。

このEbeRさんはその村唯一のワイナリーだそうで、私の中では隠れたワイナリーという感じです。やはり日本には入っていません。「こんな村、誰も来ないよね?!」というような場所にありますが、実はストラスブールから電車で20分ほどで行けるワイナリーなんです。

シルヴァネールの遅積みワイン風など、面白いワインも作っているワイナリーで、たまにここのワイナリーにワインを買いに行きます。2007年ものなので、既に10年以上経っていますが、ヴィンテージもの、という感じでもないかもしれないです。

ピノグリセレクショングランノーブル 

ということで、前編、後編合わせて合計12本以上のアルザスワインをご紹介しました。

家にあるアルザスワインの一部から、アルザスワインを学んでみたい、という時にどんなワインをお勧めしたら良いか…を考えながら選んだワインです。

フランスは今外出禁止令も出て、生活に制限もある時期ですが、こんな時期だからこそ、家ワインを飲むのも一つの楽しみかもしれません。私も家のワインを眺めながら、楽しく記事を書けました。

実は今回は「日本食にも合わせやすそうなワイン」ということで12本選んでみたのですが、品種で言うと、甘口ワインと言われるゲヴェルツラミネールにまでたどり着けませんでした。私は個人的にはアルザスワインの中でもゲヴェルツラミネールは好きなのですが、あと3~5本追加するなら、ゲヴェルツラミネールを選びたいと思っています。

こんな時期ですが、少しでもアルザスに貢献できるよう、「アルザスワイン飲んでみたいな」と思ってくださる方が少しでも増えることを祈って…。

この記事を書いた人

Coquelicot
Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00