アルザス在住ということもあり、アルザスでワイナリー巡りをしているのだが、フランス、アルザスも以前のように外出もできるようになり、ワイナリーにも行けるようになって来た。各ワイナリーでイベントなども開催し始めている。と言うことで今回はFlorian & Mathilde Beck-Hartweg (フロリアン・ベック・ハートウェグ)の人数制限ありのワイナリーの小さなイベントに行ってきた。

今回行って来たのはDambach La Ville という村。ストラスブールからローカル電車で約1時間の場所にある。

この村は人口約2100人ほどだが、28のワイナリーがあるそうだ。コオペラテイブやネゴシオンと呼ばれる大手のワイナリーもあるため、この村の生産量(販売量)は、アルザスワイン全体の10%になると言われている。

村はかなり可愛らしく、ただただ歩いているだけでも楽しい。至るところにワイナリーがあり、本当にここはアルザスワイン街道の村だなと感じられる。

アルザスワイン街道には103の村があるが、たった1軒しかワイナリーがない村もある一方、この村のように、28軒ものワイナリーがある村もある。特にこの村は、私の知る限りでも大手から小規模ワイナリーまでさまざまなワイナリーがあり、この1つの村だけで、いろんなタイプのワイナリーを体験でき、数軒回れば、自分の好みのワイナリーが見つかるだろう。

日本にワインが入っているワイナリーも数軒ある

Florian&MathildeBeck-Hartweg 

ワイナリーのオープンデイに行くと、数時間の滞在で畑も見せてくれることが多く、そのワイナリーのことをよく知る良い機会になる。村のすぐ裏に、畑が広がっており、天気の良い中1時間半ほど畑を回って土壌の説明なども聞くことができた。

葡萄畑 

青空の下、畑の中を歩くのはなんとも贅沢な時間だ。あまりの天気の良さに、まだ夏前だと言うのに肌がちょっと日焼けしてしまった。もちろん畑にも気を使っており、ここの畑はビオ(有機農法)。こうして土壌も見せてもらえると、そのワインの特徴も良く分かる。

土壌も見せてもらえる 

こちらのワイナリーさんは1992年よりビオに転換し始め、2008年に認証を取得。ビオデイナミの考え方にはあまり賛成していないそうで、ビオのワイン生産を継続していくんだそう。

現在の当主フロリアンさんは14代目で、奥さんのマチルダさんと自然派ワインを8haの畑で約30,000本生産をしている。そのうち大体3000本ほど日本へも輸出しているそうだ。日本にも来られたことがあり、日本の自然派的な農家などにも興味があるためWOOF(農家などで仕事をする代わりに宿と食を提供してもらうシステムを斡旋する活動のサイト)で日本の自然派農家にも滞在したことがあるそうだ。

フロリアンさん曰く、日本はパリに比べてもアルザスワインが多いんじゃないかとのこと。そして日本はワインの知識も高い人が多いと彼は驚いていた。

Florian & Mathilde Beck-Hartweg (フロリアン・ベック・ハートウェグ)ワインテイステイング

ということで、今回テイステイングさせてもらったワインたちはこちら。

アルザスワイン 

小さな村にこんなに多くのワイナリーがあれば、皆ライバルでもあるのだが、この村は、村のワイナリーが全て分かるサイトまであり、地元愛が強いことも伺える。

この村のワイナリーの前には、必ずワイナリーさんの似顔絵が掛かれているというのも一つの特徴だ。村全体が協力して、この村のワインを、アルザスワインをプロモーションしていきたいという気持ちがあるんだろうと思う。

アルザスワイン 

こちらはこの村の名前が入っているワイン、リースリング DAMBACH-LA-VILLE 2017。多くの村ではこうして自分の村の名前を入れたワインを提供している。この土壌はCOTEAUX DE DAMBACH-LA-VILLEという、この村のものだが、認定はされていない。実際にはアぺラション コミュン(地域認定)としてその地域の名前を入れたアルザスワインとして認定されているものは13種。他の村でも、申請はしているものの、認定がおりるのがいつになるのか分からない、というケースは多い。

それでも、やはり自分の村を少しでも多くの人に知ってもらいたいという想いは変わらないので、こうして、村の名前が入ったワインを生産している。

DAMBACH2017 

そして、リースリング2017年、この村のグランクリュ、FRANKSTEIN。土壌は花崗岩質でしっかりした酸味がある。リースリングはちょっと苦味も感じる。このグランクリュにはリースリングとゲヴェルツトラミネールに適していると言われている。

FRANKSTEIN 

また、ここのワイナリーでは花崗岩系のRITTERSBERG、赤色粘土質土壌のBUNGERTAL、シルト系のBLETTINGとリユーデイーのワインが3種あり、リユ―デイーによってはグランクリュに負けないほど繊細で複雑な味を醸し出すワインも多く存在する。現在、アルザスではクラシックなワインと、グランクリュの間の格のワインが存在しないため、プルミエクリュ認定に向けて動いているのだが、既に何年も前からの活動で、またこの先何年かかるか分からないとも言われている。

RITTERSBERG 

RITTERSBERGはオクセロワ、リースリング、ピノグリ、ゲヴェルツトラミネール、ピノノワールのアッサンブラージュ。

BRUNGERTAL 

このリユ―デイーのBRUNGERTALはリースリングとゲヴェルツトラミネールの一晩マセラシオンしたもの。なので、色も左隣にあるリンゴジュースに近い色合いに見える。

ピノノワールF 

ピノノワールFは、実はグランクリュFRANKSTEINの畑で採れたピノグリ。ピノグリはグランクリュに認定された品種ではないので、いくらグランクリュの畑で育ったぶどうでもグランクリュとは名乗れない。なので【F】だけ記されている。

ゲベルツラミネールグランクリュFRANKSTEIN 

そして、こちらはゲベルツラミネール。グランクリュFRANKSTEINの2016年。グランクリュの土壌の味そのものを楽しむには甘口の品種よりも辛口で、スッキリとした味の品種の方が分かりやすい。

最初にいろいろ飲ませていただき、あとはこちらのリクエストで数種類追加させていただいた。

試飲したワイン 

そして最後に奥様にカーブに案内していただいた。大きな木樽がいくつか並んでいた。こちらのワイナリーでは、手入れは大変だが、熟成させるには木樽が良いとのことで使用。木樽は中に人が入って掃除をするので、入口の穴は小さく見えるが、実は意外と大きい。大人が入れる大きさ。

通常、肩が入ればあと身体全体が絶対に中に入ることができると言われている。

大きな木樽 

今回のオープンデイは3密を避けて、最大9人までのグループで見学した。畑を見せてもらい、テイステイングをして、カーヴを見せてもらって、3時間ほど。大変内容の濃い、有意義な時間を過ごした。

若いご夫婦二人と、パートが一人という家族経営で地元愛の強い自然派ワイナリー。日本にも入っているそうなので、日本で見かけたらぜひお試しあれ。自然を愛する、素朴で優しい味のワインが楽しめる。

この記事を書いた人

Coquelicot
Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00