萬乗醸造より久野九平治氏を迎えての、醸し人九平次の日本酒とドメーヌ・クヘイジのワインを楽しめるランチイベントが開催。日本酒とワインが中華とフレンチと出会ってマリアージュ!?
醸し人九平治 

食欲の秋の到来とともに訪れた機会はなんとも贅沢な日本酒とワインと、中華とフレンチを楽しもうというランチ会。ソーシャルディスタンスを保ち、検温、消毒、換気の確保など、万全なコロナ対策を行い夢の饗宴が繰り広げられました。

醸し人九平次と言えば知る人ぞ知る、『日本酒・ワインのドメーヌを持つ唯一の蔵』として、日本では愛知県にて日本酒を醸し、フランス・ブルゴーニュにおいてはワインを醸造しています。蔵で働くのは平均年齢29歳、30名ほどの若手が日本酒を軸に集っています。

15代久野九平治氏。

トークセミナー中、会場にいる参加者に想いを伝える15代久野九平治氏。

さて、日本酒のつくり手がフランスでワインをつくる。そのきっかけとはいかにして訪れたのでしょう? 醸し人九平次の醸造家・15代久野九平治氏は語ってくれました。

「Discover。発見とは新しいものを見つけることではなく、覆っているもの=カバーを外すことだ」と。

2006年フランスに渡りレストラン等にて日本酒の啓蒙活動を開始。日本酒つくりについて語るうち気付いたことに、シェフやソムリエは一様に原料である米について、また田んぼの話を聞きたがっていた。

日本酒のつくり手として田んぼでどのように米が育つか、という知識はあった。しかしこれまで酒をつくってきても田んぼをじっくり見ることはなかった。机上の知識であって、実際に米を育てたことがない。

活動を続けるにあたり、いつしかこのことが後ろめたく感じるようになっていた。

「フランスでワインつくりを行うには、畑でぶどうを育てるところからすでに始まっている」
日本酒とワインの垣根を取り払いたいと試行錯誤し、田んぼで米を育てることについて悩んでいた頃、九平次の若い蔵人たちが久野氏の背中を押した。

田んぼに入って土を触って確かめるフランス人シェフやソムリエたちには土が大事なのは当たり前。彼らの当たり前と自分の当たり前を埋めることでお互いの距離が縮まる、と確信します。

2010年、兵庫の黒田庄町にて自家栽培を開始。以後あらためて年によって、天候の左右によって米の育ち方が異なるのを知ることとなりました。

日本酒の醸造技術を磨いていた頃にはわからなかった、蔵の前に起こる田んぼでのドラマ、小さな米の物語を知ったことにより、毎年のストーリーを添えて世界観をも届けたい、という想いからボトルにはワインのように収穫年を記すこととなりました。自分が当たり前だと思っていたこと=カバーを取ると見方が変わったのです。

気付かせてくれたのは田んぼであり、それはまたフランスでの活動でもありました。

醸し人九平次別誂

醸し人九平次 別誂 純米大吟醸 2019
甘やかく立ちのぼる香りは官能的、味わいは力強く生命力を感じさせます。

きっかけは、日本酒をたくさんの人に伝えたい、という想いからフランスへ飛び込んだことだった。

日本酒をフランスへ紹介するのが初めの目的だったが、シェフやソムリエと出会ううちにつくり手として「ワインの魅力はどこからくるのか?」知りたくなってしまった久野氏。

これは日本酒を提案できることのヒントになるのではないか。本や情報などで得られるものでなくワインつくりをしてみたい。そして実際に見て驚いた。フランス・ブルゴーニュでは現在でも醸造に足踏みが行われている。

2013年、蔵の醸造家伊藤啓孝氏へ渡仏を指示、2016年ワイン初醸造、2017年にはモレ・サン・ドニに自社畑を取得に至った。

ドメーヌ・クヘイジ ブルゴーニュ ピノ・ノワール

ドメーヌ・クヘイジ ブルゴーニュ ピノ・ノワール
クランベリーやプラムのような赤い果実感にクローヴやヴァニラのようなニュアンスに旨みが重なっています。

世界から日本を見たときに得た様々な気付き。
海を越えて活動するなら、そこでできること、そこでしかできないことがあった。日本酒とフランス料理をあわせること、お猪口でなくワイングラスで日本酒を飲むことなど、それまで当たり前だと思っていたことは当たり前じゃない・・・、発見があった。

点と点が繋がり交わり様々に描かれる線。その延長に今日がある。そしてその先にある醸し人九平次の未来とは。

醸し人九平次の田んぼは兵庫もしくは岡山にあり、醸造所は名古屋にある。ワインつくりを行うにあたっては、畑のそばに醸造所があるのに・・・。

田んぼとの距離感を縮めたい、皆さんに田んぼも紹介したい。そんな思いから発足した“皆さんを田んぼへお連れしたい計画”。2018年、兵庫・黒田庄にあらたに自社の田圃を取得、醸造所が設立され、現在日本酒が醸されています。

さらにはフランス・カマルグにて九平次のスタッフにより米栽培を行い、これもすでに日本で販売されています。

古事記では日本酒を、飲んで楽しく人々が笑顔になる酒、“笑酒(えぐし)”と呼びましたが、久野氏は現代における笑酒とはなんだろう、と模索の中にあると言います。

今日のひとときもその延長にある。これからの未来が楽しみな酒蔵、ドメーヌです。

日本酒とフレンチのマリアージュ

久野九平治本店 黒田庄町田高 × 蟹とアボカドのフォンダン トマトとラディッシュのティアン仕立て
日本酒とフレンチのマリアージュ

フランスワインと中華料理のマリアージュ

ドメーヌ・クヘイジ ブラン × 四喜拼盤 四種前菜盛り合わせ
フランスワインと中華料理のマリアージュ

醸し人九平次Kuheiji
https://kuheiji.co.jp/

重慶飯店
https://www.jukeihanten.com/

株式会社横浜君嶋屋
https://kimijimaya.co.jp/

ローズホテル横浜
https://www.rosehotelyokohama.com/

リーデルジャパン
https://www.riedel.co.jp/

この記事を書いた人

須藤千恵子
須藤千恵子
語学留学など世界複数国に滞在するなかで異文化と触れてきた経験と、帰国後にワイン輸入販売社勤務経験から、ワインと食の在り方など、独自のPR活動を行う。(社)日本ソムリエ協会ソムリエ、(社)日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMA、(社)日本フードアナリスト協会フードアナリスト。