アルザス在住ということもあり、アルザスでワイナリー巡りをしているのだが、そんなアルザスも今年2020年のぶどう収穫も終わり。収穫シーズンに、日本でも人気のあのビオデイナミの1人者マルクテンペさんに行ってきたのでその様子をレポート。

これはフランスが第二波でロックダウンとなる前の9月に、ソーシャルディスタンスなどにある程度気をつけながらの生活の中で訪れた時のものだ。幸いなことに、ある程度の規定はあったものの、ロックダウンはこの夏の期間と9月のぶどう収穫時期には影響がさほど出ず、無事に収穫も終了したようだった。

マルクテンペワイナリー 

インポーターさんの記事には、てんとう虫など多くの虫がいる、と書かれているぶどう畑。私が以前紹介したLISSNERさんの畑(https://www.wine-what.jp/webwriters/63406/)もてんとう虫も、カタツムリも、アリも、ハチも・・・とにかくたくさんの動物がいる…。それが当たり前だと思っていたが、そうでないのかなと思った。

こちらの畑でもいろいろな虫にも出会えた。虫が寄ってくるほど自然な畑だと言う事が分かる。

マルクテンペワイナリーの葡萄畑
 
マルクテンペワイナリーの葡萄畑
 

今回はワインテイステイングはしていないが、テンペさんのワインの生産について色々教わることができ、充実した1日だった。

ぶどう収穫は朝が早く、朝6時、7時から始まるところもある。そして、その後一旦9時~10時頃に朝ごはん休憩があるのが伝統的なんだそうだ。今回は丁度その時間帯からぶどう畑にお邪魔させて頂いた。アルザスのチーズやソーセージなど、ぶどう畑で食べる朝ご飯にしてはとても豪華で、そして楽しい朝ご飯の時間だ。

マルクテンペの朝ごはん 

今回のテンペさんのところではぶどう収穫において、そしてぶどう収穫の際の大事なポイントや、いろいろ面白い小ネタが盛りだくさんだった。

まずはこちら。収穫はバケツではなく小さなケースで行う。これによりぶどうが潰れず、果実の中にしっかり果汁が残っており、果実そのままの状態でプレスできる。

ぶどう収穫
 
ぶどう収穫
 
ぶどう収穫
 

プレスは最低でも4〜5時間かけて行う。でも品種にもよるそうなので一概に何時間とは言えないそうだ。長いものはさらに時間をかけてプレスする。

こちらは息子さん。
収穫お手伝い中の息子さんは、医学部6年生。なので今のところ跡は継がない…予定のようだ。

マルクテンペ収穫手伝い中の息子 

今回訪れた時はピノ(ピノブラン、ピノオクセロワなど)の収穫中だった。

ピノの収穫 

そしてなんと収穫時に鳥の巣を見つけた。中に卵が! とよく見るとぶどうの実。誰かが入れて私を驚かしてくれた。

鳥の巣の中にブドウ 

プレスした果汁をまずはこのステンレスタンクの中に。そのタンクをのぞき込むテンペさん。

タンクをのぞき込むテンペさん 

こちらがカーヴ。プレス後はステンレスの樽に入れるが熟成は木樽で行われる。

木樽熟成 

木樽の蓋に塗るのは豚の脂。これでしっかり樽を蓋をするんだそうだ。

木樽の蓋に塗る豚の脂 

収穫の様子を何枚かお写真に収めた。

ブドウ収穫の様子 

インポーターさんにも収穫時の写真をお願いされることがあるんだそうだが、「収穫時は忙しいからそんなことを考えていないので、なかなか写真が撮れない」とのこと。

最近はSNSなどで多くのワイナリーさんが、収穫の時の写真やプレス時の写真などを撮っているが、彼らは仕事をしているので、通常そんな写真を撮る余裕もない。そういう事にちゃんと力を入れているところは、若い方がそう言う方面に長けていたり、ちゃんとマーケテイング担当の人がいるワイナリーだったりもする。

確かに私も今回ぶどう収穫を別のワイナリーでもしているが、なかなかちゃんと写真を撮る機会がないこともある。その余裕があれば少しでも収穫をしなければいけない。

せっかくなので皆一緒に記念撮影。

皆で記念撮影 

テンペさんのワインはビオデイナミワインだ。畑がビオデイナミ製法で、ワイン生産に関して言えば、亜硫酸はプレスの際に多少追加し、ボトル詰めの時にも追加している。けれどテンペさん曰くワイン生産にとって「質の良い、美味しいワインを作ることが大事」だと言う。そのためには品質管理、そして、ワイン品種の味や土壌の味を尊重するためには多少の亜硫酸添加も必要だと言う事だ。

「亜硫酸添加しないと、品種の味が損なわれてしまう。大事なのは美味しいワインを作ること」とのこと。やはりアルザスワインという基準をある程度守って美味しいワインを生産するには、その質を守るべく、亜硫酸添加が必須という考え方もある。無添加の自然派ワインも人気だが、もしもそれが美味しくなければ意味がない。

一番重要なのは美味しいワインを生産することだ。そしてそのために環境を大事にしたり、畑を大事にしたり、ワイン生産そのものに精力を注いだり、と言う事は必然になってくる。

今回せっかくなので、テンペさんのところで聞いてきたいろいろなネタもご紹介したい。

●収穫後は一度大きな冷蔵トラックに入れて運ぶが、これはぶどうが熱くならないため。冷蔵車で一度冷たくして運ぶ。これは他のワイナリーではやっていないんじゃないか? とテンペさんが言っていた。確かに見たことはない。

●クレマンダルザスは日本用で、フランスでは買えない。それ用のぶどうは自身の畑では補えないので、ビオの他の知り合いの畑から購入しているそうだ。

●テンペさんのワインはアルザスのストラスブールでは買えない(コルマールではテンペさんのワインショップがあるので、そこで購入可)。実は80%以上が輸出なので、フランスであまり見かけないワインなのだ。

そして、驚いたことに

●日本のあの有名メンタリストも昨年ワイナリーを訪れているんだそうだ。有名料理人の方と一緒に来て、テンペさん宅で食事を一緒にしたそうだ。

●その彼が個人的に、テンペさんご夫婦を日本へ招待して、日本でテンペさんのワインのディナーパーティーを開催する予定があった?!(新型コロナで中止)

●テンペさんは柔道家でもあり、そのためとても親日家。日本に輸出を始めて毎年のように来日している…もちろん今年は行けていなくて残念だそう…また、日本に行ける時にはすぐに日本に行かれたいそう…などなど

面白いお話もいろいろ聞けて、ぶどう収穫体験もさせてもらって、良い1日を過ごしてきた。

自分も今回は他のワイナリーでも収穫をしているが、さまざまなワイナリーの収穫を見るのもまたいい勉強になる。

こうして大事に収穫されたワインが、美味しいワインになるのだと改めて実感した。

この記事を書いた人

Coquelicot
Coquelicot
元フランスのワイン展示会運営会社勤務。フランス、アルザス地方在住10年以上、アルザスワインを極めるべく、アルザスで訪れたアルザスワイナリー100軒以上、テイスティングは200軒以上。
インスタグラム coquelicots00