『ラベントス家』。カヴァを知り尽くした名門の、新たな場所での挑戦に、そのひとつの答えがある。
現当主マヌエル・ラベントス

現当主マヌエル・ラベントス

『ラベントス イ ブラン コンカ・デル・リウ・アノイア ブラン・ド・ブラン 2014』との出会いは鮮烈だった。ラベントスをグラスに注ぐ。その瞬間、柔らかい泡が白雲のようにグラスに広がる。白雲が晴れると、溌剌とした泡と上質な麦わら色。口に含めば楽園の果実を頬ばっている新鮮さ。味わった瞬間、確かに、海を見下ろす果樹園にいた。もちろん幻想なのだけれど、一気にその世界に持っていかれた。そこは輝く陽光、いつまでも続きそうな青空の下にあるレモン、グレープフルーツ、青リンゴの楽園。

幻想の中の木陰のテラスに腰を降ろして、溌剌とした泡と酸、一方でどこまでも柔らかい口当たりに笑顔になる。存分すぎる果実が体に染み渡ると、今度は一流ホテルの朝食で味わえる洗練された朝のトーストとシリアル。そこに、素朴なレモンのジャムを塗りこんだような豊かな風味が広がっていく。

野趣にあふれた場所と思っていたこの果樹園、よく見れば、土も木も建物もこのテーブルもカトラリーもファブリックも、すべてが上質でよく目も手も行き届いている。なるほど、高品質スパークリングとはこういうものか。

この高品質スパークリングを生み出したラベントス家の歩み、それはカヴァの歴史でもある。ブドウ栽培の歴史は1497年から。今でこそカヴァの中心地であるペネデス地区だが、一家が1872年、スペインで初となる瓶内二次発酵を成功させ、基盤を造ったことがその第一歩だった。その後、歴代の当主が、アッサンブラージュ技法の確立、「DOカヴァ」設立への尽力と、カヴァが、世界で楽しまれるスパークリング・ワインとなるための戦いを続けてきた。

その戦いは、今度はカヴァの現状に向けられる。大量に肥大していった市場。その中で方向性を見失う生産者とカヴァの魅力。ラベントス・イ・ブラン家は、現状のカヴァを捨て、自分たちが信じてきた高品質スパークリングを造ることを決め、自らが尽力してきたDOカヴァから決別。新たに「コンカ・デル・リウ・アノイア~アノイア川の川岸や渓谷」を新たな楽園と定めた。テロワールとして良質であることはいうまでもないが、高品質スパークリングだからこそ味わえる喜び、高品質スパークリングだからこそ得られる幸せを広げるための厳しい誓約(※)も、この地だからこそできること、なのだろう。

幻想の中の「海を見下ろす果樹園」、水平線に西日が落ち始める頃、ロサード(ロゼ)の『デ・ニート 2014』を少し大ぶりのグラスに注ぐ。まだ青いものと熟したものを美しく盛り付けた赤いフルーツバスケット。陽光が存分に感じられる溌剌と熟成のデュエットに、ほんのりと塩味とオリーブオイルの感覚が重なっていけば、ハモンセラーノや地中海の魚介を塩でゆでただけのシンプルな料理に手が伸びる。止まらない。

ラベントス・イ・ブランでしか表現できない世界、幻想の中の素晴らしい果樹園と現実のラベントス家のテロワールに迷い込んでみるという、喜び。高品質スパークリングの本質への回帰と新しい楽しみ方が、はじまった。

ラベントス家が掲げる
「コンカ・デル・リウ・アノイア」の誓約

●アノイア川流域に限定した地域でのブドウ栽培
●最低50%は自社畑で収穫したブドウを使用する。ブトウ購入に関しても厳格な取り決めがある
●100%土着品種を使用
●100%自社醸造かつ自社瓶詰めを行う
●デコルジュマンまで最低18ヵ月熟成
●単一ヴィンテージ表記
●100%環境に配慮したブドウ畑(オーガニックあるいはビオディナミ栽培)

   
葡萄畑
   
葡萄の収穫    

ラベントス社は2004年より環境保全型へ、2009年にはオーガニック栽培へ移行し、現在は完全にビオディナミ栽培へ転換している。

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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
9月号(通巻18号)では、白ワインに注目! そもそも白ワインって? 三大品種シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングの基礎から、いまどき大討論会、石田博ソムリエによるペアリング提案まで、この夏、飲みたい白ワインを総ざらい。
そして、夏から秋にかけてのワイン旅も提案。ポルトガル現地取材、急成長中の北海道ワイナリーのいまとWINE-WHAT!?ならではのツアー情報、ワインを堪能できる宿「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」へは、ベントレーで訪れ、カリフォルニアでは、ケンゾー エステイトに行ってきました。