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おいしいシャンパーニュの基礎知識 Q & A

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。読むはちょっと手間。

ワインの場合、産地がどうとか、生産者がこうとか、とかく色々小難しい。
中でもややこしいワインといえばシャンパーニュだ。
乾杯の席で難しい話は無粋だとしても、知っていたほうが美味しく飲める話があるのも確か。
ここではシャンパーニュの基礎をご紹介いたします。
基本中の基本から、ちょっとした小ネタまで、とくとお楽しみあれ。

文 : 柳 忠之

Q1
そもそもシャンパーニュって何?

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フランスのシャンパーニュ地方で造られた発泡性(泡がシュワシュワ出るやつ)のワインのことです。泡がでないのは普通のワイン(「スティル・ワイン」と言います)、シャンパーニュ地方以外で造られた発泡性ワインは「スパークリング・ワイン」と言います。

Q2
シャンパーニュ地方以外で造られたシュワシュワなワインを「シャンパーニュ」って呼んじゃだめ?

だめです。

フランスにはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(AOC=Appellation d’Origine Contrôlée)という認証規定があって、そこにキッチリと「シャンパーニュ地方」で「決められた造り方」をしないと「シャンパーニュ」って言っちゃだめ、と書かれているんですね。日本国内でも、「シャンパーニュ」と認められていないスパークリング・ワインを「シャンパーニュ」と言って売ると商標法に違反する恐れがあります。

Q3
「決められた造り方」って?

どこで収穫されたブドウなのか、とか、どういう発酵をしたのか、とか細かい決まりがあるんです。詳しくは、別項にある歴史や醸造の基礎をご覧下さい。ややこしいですが、品質を保つために重要な決まりだったりします。

Q4
「シャンパーニュ」と「シャンパン」はどう違うの?

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同じです。

Champagneを仏語読み(シャンパーニュ)するか、英語読み(シャンパン)するか、の違いです。日本語のカタカナ表記だとシャンペンと書くこともあります。ともあれ、Champagneはフランスのものなので、きちんと「シャンパーニュ」と発音したほうが「お、知ってるな」という感じを出せるので、デートの時にポイントが上がる場合があります。

Q5
ドン・ペリニヨンっていうお坊さんの発明ってほんと?

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諸説ありますが、どうやら発泡性のシャンパーニュは英国で誕生し、ドン・ペリニョンさんの発明ではないようです。ただ、ドン・ペリニヨンさんも、シャンパーニュの発展にたいへん功績のあったお坊さんです。

Q6
シャンパーニュって重くない?

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瓶が重いんです。シャンパーニュはガスの圧力がかかるので、瓶のつくりがしっかりしてるんです。普通のワインの瓶と比べて200グラム程度重い。ただ、輸送時の炭酸ガス排出量を減らすため、以前よりも軽くはなっているんですよ。

Q7
ワインリストにNVって書いてあるのが多いけど、どういう意味?

ノン・ヴィンテージ(Non Vintage)の略です。

通常、ワインのラベルには原料のブドウの収穫年が書いてありますが、品質を一定に保つことが重要なシャンパーニュでは複数年のワインをアッサンブラージュ(ブレンド)しているので、年号が書けないんです。「ノンヴィン」と略して呼ぶとツウっぽい……え、ダサい!?

Q8
でも、年号が書いてあるシャンパーニュもありますよね

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そういうのは「ヴィンテージ・シャンパーニュ」と呼ばれ、ブドウの出来のがよい年のみ造られます。その年の特徴が出るので品質は一定とは言えないんですが、それがヴィンテージ・シャンパーニュの楽しさとされています。

また、ヴィンテージの中でも特によい年のブドウのみを使ったものは「プレステージュ」と言います。どちらも「ノンヴィン」よりお値段高めです。

Q9
キャップシールが長くてステキ!

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コルク栓の回りに被せてあるキャップシール、普通のワインと比べるとシャンパーニュはやけに長いですよね。これは高級感を出すデザインですが、瓶の外から見える液面を隠すために始まったという説があります。

デゴルジュマン(澱を除く作業のこと)で澱とともに中身も少量出てしまうんですが、昔はその量が一定ではなかったんでしょうか。ウソかホントかは分かりませんが、もちろん、今は技術も進歩して内容量はどの瓶も一定です。

Q10
瓶の大きさによって味が違うと聞きましたが……?

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マグナム(1.5ℓ)やジェロボアム(3ℓ)というサイズの大瓶が美味しいと言われています。理由は、瓶口の径に対しワインの量が多いので、熟成がゆっくり進むから。

あと、瓶の側面に溜まる澱の面積が広いため、風味に奥行きが生まれるから、というのもあります。ただ、ジェロボアムより大きな瓶は、普通瓶やマグナムから詰め替えたものが多く、そういったものは泡の喪失もあるので大きければいいっていうものじゃありません。ちなみに通常瓶の容量は750mℓ。

Q11
昔のシャンパーニュは甘口だった、ってほんと?

本当です。

とくにロシアの宮廷では甘口が好まれていました。当時は1ℓあたり150gもの糖分が含まれていたそうです。

辛口(ブリュット)を初めて出荷したのはエペルネのペリエ・ジュエで、1856年のこと。同社の主要市場のイギリスでは辛口が好まれていたためで、糖分は20〜22gだったそうです。それでも今日の水準と比べて2倍近い糖分が含まれていたんです。

Q12
シャンパーニュ地方で泡の出ないワインを造ったら?

いくらシャンパーニュ地方で造られたとしても、泡が出ないんだったら「シャンパーニュ」とは呼べないんですね。それは「コトー・シャンプノワ」と言います。

生産量はシャンパーニュ地方全体の0.13%。主にピノ・ノワールから造られる赤ワインで、白はとても稀。またオーブ県のリセイ村で造られるロゼワインにはロゼ・デ・リセイという独自の呼び方が別にあるんですよ。ややこしいですね。

Q13
ラタフィアっていうシャンパーニュがあるんですが、これ、なに?

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正確にはラタフィア・ド・シャンパーニュ。シャンパーニュ地方で造られるヴァン・ド・リクールです。シャンパーニュ地方のブドウ果汁にホワイトスピリッツを加えたアルコール飲料で、アルコール度数は18度くらい。甘口で、主に食前酒として飲まれています。

Q14
赤と白を混ぜて、ロゼのワインを造っちゃいけないんですよね?

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ダメという決まりがあります。ただ、例外的に造ってよい産地があって、それがシャンパーニュなんですよ。

Q15
口紅をつけてシャンパーニュを飲んじゃいけない?

口紅がグラスにつくと泡が出なくなるんですよ。理由は口紅に含まれている油脂がグラス表面の微小な凹部にフタをしちゃって、泡が出るのを邪魔するから。だから油っこいものを食べながらでも泡は出なくなります。唐揚げとシャンパーニュとか、よさそうなんですけどね。

Q16
沈没船から170年前のシャンパーニュが発見された?

2010年、バルト海に沈没した難破船から1840年ころに造られたとみられるシャンパーニュが発見されました。全部で145本が引き上げられ、コルク栓の焼き印を調べた結果、ジュグラー社、ヴーヴ・クリコ社、エドシック社のものでした。すべて試飲をし、まだ飲めると判断されたボトルにはふたたびコルク栓が打たれ(「リコルク」と言います)、沈没船の見つかった海域を領有するフィンランドのオーランド自治政府の財産として保管されています。発見の翌年、オークションにかけたところ、1本 3万ユーロ(1ユーロ =130円計算で390万円!)の値がついたとか。

Q17
山登りから帰ってシャンパーニュを飲むと、泡を感じない?

気圧の低いところに行くと体の中の炭酸脱水酵素が減少し、泡を感じなくなるそうです。山登りに成功して祝杯というときに、そのシャンパーニュが気の抜けた味だったイヤですね。

Q18
F1名物のシャンパンファイトは、F1が最初ではない?

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ル・マン24時間耐久レースです。それも優勝者ではありませんでした。1967年に5位に入賞したスイス人ドライバーのジョー・シフェールがシャンパーニュの栓を抜き、お立ち台に上がった選手たちにふりかけたことが最初とされています。

写真は1966年のフォード初優勝時の表彰台ですが、礼儀正しくも紳士的です。

Q19
船の進水式にシャンパンを浴びせないと、その船は沈む?

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この習慣は、1843年に進水したグレート・ブリテン号から始りました。タイタニック号はこの洗礼を受けずに出し、沈没。そのため、シャンパーニュの洗礼を受けないと船は沈むと言われています。

Q20
革靴はシャンパーニュで磨くとよい?

1800年頃、イギリス国王ジョージ4世の友人で、洒落者として知られたボー・ブランメル氏は、「あなたのブーツはピカピカですが、何か秘訣があるのですか?」と聞かれて、「内緒ですが、最高級のシャンパーニュで磨いてます」と言ったとか。今でも最高級紳士靴のベルルッティは、「麻の布にドン・ペリニヨンを浸して磨くとよい」と言っています。

Q21
シャンパーニュは出荷されたら、なるべく早いうちに飲んだほうがいい?

熟成には澱が重要で、デゴルジュマンを済ませたシャンパーニュはただ衰えていくだけ……と、つい20年くらい前まではまことしやかに言われてました。ただ、今は、デゴルジュマン後のシャンパーニュもフレーバーに複雑さが増し、ちゃんと熟成することがわかっています。

ただし、泡は減っていきますから、ノン・ヴィンテージで5年くらいまでが目安でしょうか。

Q22
F1のシャンパンファイト、モエじゃないの?

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モエ・エ・シャンドンがF1の表彰台で使われていたのは1999年まで。いわゆるF1ブームのときがそうだったので、モエのイメージが強いですが、2000年からマムのコルドン・ルージュが使われています。

ところが今シーズンから、マクラーレン・ホンダのスポンサーにもなったシャンドンに変わりました。モエ・ヘネシーがアルゼンチンにつくった会社です。つまり、スパークリング・ワイン・ファイトになったのですね。

Q23
ポンパドゥール夫人がヴェルサイユ宮殿で広めたってほんと?

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ポンパドゥール夫人ことジャンヌ=アントワネット・ポワソン(1721-1764)がルイ15世の公妾と認められ、ヴェルサイユ宮殿に入ったのが1745年。その頃には現存するシャンパーニュ・メゾンのいくつかがすでに誕生していました。ワインの飲み過ぎを注意された夫人が、「シャンパーニュは飲んでも女性の美貌を失わせたりしない唯一のワインなのよ」と言ったというのは、シャンパーニュ界では有名なエピソードです。

Q24
飲み残したシャンパーニュ、気が抜けないように保存する方法は?

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シャンパン・ストッパーという、栓をしたあとにポンプで空気を入れ、圧をかけて泡が逃げるのを防ぐ道具があります。

ちなみに本場フランスでは、銀のスプーンを挿しておくと炭酸ガスが抜けないという、おばあちゃんの知恵袋的な話がありますが、まぁ、都市伝説のひとつです。ただ、彼氏彼女を自宅に招いた時に、スプーンを挿した飲み残しシャンパーニュをさりげなく出しておフランス通を演出したりはできますか。それでは、オルボワ〜。

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