3月7日、アサヒビールは、2015年4月からアサヒグループ入りしたエノテカとともに、2017年のワイン事業の戦略を発表した。

アサヒビール 平野伸一社長(左)とエノテカ 櫻井裕之代表取締役社長(右)。平野氏の手にあるのはアサヒビールが4月11日から発売する新商品『サントネージュ 摘みたての贅沢』。櫻井氏が持つのはエノテカが4月1日より販売を開始するワイナリー「トリンバック (TRIMBACH)」の『リースリング』

ワインの日常化を促進

日本のワイン市場は2007年以来、9年連続で拡大し、2016年も、その市場規模は、過去最大となった2015年なみ、さらに、家でもっとも飲まれるお酒の種類として、ワインはビールの52%についで、38.3%で第2位だったという。このデータをベースに、アサヒビール 平野伸一社長は、ワインは特別なものではなく、日常化していると分析。アサヒビールでは、デイリーワインを1ボトル600円未満の商品と定義し、アルパカブランドのワインのように「手軽に楽しめ、かつ、品質の高い」デイリーワインをもって、ワインのエントリー層の拡大を目指すとした。

2012年から2016年で、日本のワイン市場全体は10%程度拡大しているいっぽう、アサヒビールのワイン事業は、2015年以降はエノテカがグループいりしているという事情もおおきいものの、2012年の売上高115億円にたいして2016年、401億円。ワインはビール、洋酒につぐ規模となり、2017年は420億円を目指す。アサヒビールではワインを、デイリー、ミドル、ファインの3つのクラスに分類しており、前述の1ボトルあたり店頭価格600円未満となるデイリーワインのクラスで、2012年比、2016年は120%。600円以上1,500円未満のミドルワインクラスでは102%、1,500円以上のファインワインクラスでは、118%という成長を記録したという。

アサヒビールとしては、このなかでも、若く、はじめてワインを楽しむ「ファーストエントリー層」を獲得するのが大切であり、ワインの日常化が促進されれば、そこから、より上のクラスのワインの消費者もうまれると、平野氏は説明。

アサヒビールで、 このファーストエントリー層の開拓、拡大、そしてリピーターの獲得に成功しているのが、チリはサンタ・ヘレナ社のアルパカワイン。2012年に日本市場に登場し、初年度は36,000箱の出荷だったものが、2015年に100万箱を超え、2016年には142万箱を記録した。この規模は、日本の輸入ワイン市場で、2位以下を大きく引き離しての1位。200万箱を目標としており、国産・輸入ふくめてのNo1ワインを目指す。ちなみに、3月28日には、このアルパカブランドから「アルパカ・ピノ・ノワール」が発売される。

日本ワインの新ブランドと、食連動ワイン

具体的な商品では、ワイン市場の3割程度の規模となる国産ワインで、日常のなかでちょっとした贅沢感をたのしめる国産ワインとして『摘みたての贅沢』を4月11日に発売する。価格帯は600円から700円程度の小売価格を想定。果実味を強調し、あたらしい市場を開拓するとしている。

国産ブドウを100%つかう日本ワインでは、4月11日に新ブランドとして、ワイナリーの名を冠した『サントネージュ』を新発売。アサヒビールの国産ワインのフラッグシップとしてあらためて位置づける。また、高品質ブドウの確保にむけ日本国内でのブドウ栽培拡大もにらんでいる。

ワインの日常化に対応する、日常的な食との連動のワインも強化。3月28日、スペアリブ、ステーキ、ラム、焼肉等、肉にあうワイン『リブ・シャック・レッド』、鶏肉にあわせるワイン『フレンチ・ルーツ』を発売する。フレンチ・ルーツは、タレ味の焼き鳥や唐揚げにあうという「メルロー」、しょうゆ味の焼き鳥、鶏の煮物にあう「カベルネ・ソーヴィニヨン」、塩味の焼き鳥や水炊きにあう「ソーヴィニヨン・ブラン」の3種類にわかれる。

3月28日発売のサンタ・ヘレナ「アルパカ・ピノ・ノワール」(中央手前左)、と「リブ・シャック・レッド」(中央奥左)。リブ・ジャック・レッドは、南アフリカのワイナリー、ダグラス・グリーン・ベリンガム社の製造で、ピノタージュ60%、シラーズ40%。ラベルはバーベキューソースをイメージしている。「フレンチ・ルーツ」は「メルロー」、「カベルネ・ソーヴィニヨン」、「ソーヴィニヨン・ブラン」の3種類。いずれも鶏のラベルで、ボルドー地区の名門ネゴシアン、ジネステ社の製造。

国産ブドウを100%使用した日本ワインの新ブランドとして、山梨県のワイナリー、サントネージュワインの名を冠した『サントネージュ』は、2017年4月11日(火)より発売

エノテカは最大店舗がGINZA SIXにオープン

エノテカは、2016年度、8期連続増収のうえ、アサヒビールとのシナジーで過去最高の営業利益となったという。販売ではスパークリングワインが好調で、ルイ・ロデレールで前年比104%、バロン・ド・ロスチャイルドで140%を記録。

4月20日にオープンするGINZA SIXにも出店。450平方メートルのスペースで、1,600種類のワインをとりあつかう。これは広尾本店をこえて、国内最大。また、入り口から店内にむかう通路はギャラリーとなっており、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が用意したピカソ、アンディ・ウォーホール、キース・ヘリング、リ・ウーファンといった、これまで『シャトー・ムートン・ロートシルト』に作品を提供した芸術家のリトグラフが展示されるとあって、単なるワインの販売にとどまらない、ワインを中心とした文化が楽しめるスペースとなる予定だ。

あらたな取扱ワインブランドとしては、3月15日から、ナパ・ヴァレーの「ワグナー・ファミリー・オブ・ワイン」を、そして、フランス アルザスの名門「トリンバック」を4月1日から取り扱う。トリンバックは2,000円から3,000円の価格帯のものが特にコストパフォーマンスにすぐれ、フランスの全27三つ星レストランに、オンリストされているが、このトリンバック、ワグナー・ファミリー・オブ・ワインは、いずれも、ホテル、レストラン等、業務むけが、日本での主な販売先となるという。

画像右がナパ・ヴァレーの「ワグナー・ファミリー・オブ・ワイン」が手がける、「ケイマス・ヴィンヤーズ」の「ケイマス・カベルネ・ソーヴィニヨン」。左は1626年に創業の「トリンバック」。リースリング、ゲヴェルットラミネールなどをラインナップする

サクラアワード ダイヤモンドトロフィー受賞ワイン。右が「ランソン・エクストラ・エイジ・ブラン・ド・ブラン」、左が「ボテガ・ノートン・ジェルノ・ランジュ 2012」

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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
9月号(通巻18号)では、白ワインに注目! そもそも白ワインって? 三大品種シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングの基礎から、いまどき大討論会、石田博ソムリエによるペアリング提案まで、この夏、飲みたい白ワインを総ざらい。
そして、夏から秋にかけてのワイン旅も提案。ポルトガル現地取材、急成長中の北海道ワイナリーのいまとWINE-WHAT!?ならではのツアー情報、ワインを堪能できる宿「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」へは、ベントレーで訪れ、カリフォルニアでは、ケンゾー エステイトに行ってきました。