ケニー奥谷。ニューヨーク在住のインターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト。1989年からシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務めた、日本人にしてアメリカホテル業界の達人だ。

そのケニー奥谷がいま、あししげくかよっているのが、ニューヨークのワイナリー。 摩天楼から、クルマで1ー2時間。美しい海と自然に恵まれたロングアイランドには、40を越えるワイナリーがあり、「ニューヨークのボルドー」と称される。 ケニー奥谷による、ニューヨーク ワイナリー探訪記第11回!


この記事はニューヨークの日本語情報紙「よみタイム」Vol.240 2014年10月17日発行号掲載の「NYワイナリー探訪 UNCORK NEW YORK」をもとにしています。

 

樫の木から造った樽

入り口のサイン

このワイナリーに行ったら、ぜひ地下のセラーを覗いてみて欲しい。

大きな樽が横倒しに並べられている、そのありように驚くに違いない。

「ペルグリニー・ヴィンヤーズ(Pellegrini Vinyards)」はワインの製法に強いこだわりをもっている。

アメリカ産とハンガリー産の樫の木から造った樽の中にワインを入れて醗酵を待つ。

地下のセラーでは、常に華氏60度と湿度60%が保たれている。これが水蒸気量を最低限に抑え、ワイン熟成に最も適したコンデイションを造りだす秘訣だ。

メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンはボトルに移してから、さらに最低1年以上寝かせた後、市場に送られる。

シャルドネも、ブドウと樫の木が調和して最高の状態を迎えるまでは、ボトルに移さない。

高値をつけた2007年のメルロー

1982年の創業以来、彼らは土壌の管理にも力を入れてきた。

加えて、ロングアイランドでは最初に、またアメリカ全土でも極めて珍しい「ステンレス・パンチ・ダウン」と呼ばれる圧縮機を使い、苦味と渋みを抑えながらも、深く綺麗な色とソフトなサンニン酸を抽出することに成功した。

それがセラーでゆっくりと熟成され絶妙な味を醸し出す。

彼らは言う。「ワインを醸造するには何百ものことを考慮しなければならない」と。

2007年のヴィンヤード・リザーブには69.99ドルの値がつけられていた。ワイナリーでこれだけ高価なワインはあまり見つけられない。多くのワイン通が「ワインの値段は味に比例する」と言うように、彼らの努力が味となり見事に具現化されている証拠だろう。

今、地下のワインセラーでは、絶妙の味を育みながら、高価な値段がつけられるであろうワインが静かにその時を待っている。



今回紹介したワイナリー
Pellegrini Vineyards
23005 Main Road, Cutchogue, NY 11935
www.pellegrinivineyards.com


この記事を書いた人

ケニー 奥谷
ケニー 奥谷
奥谷啓介。ニューヨーク在住。インターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト 。慶應義塾大学卒。
ウェスティン・ホテルズ 初の日本人学卒スタッフとして、アジア地区セールスオフィスに入社。1989年よりシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務める。2005年、ザ・プラザの閉館とともに退社。現在、文筆、講演、コンサルテイング活動を行いながら、ニューヨークと日本を行き来する日々を送る。

雑誌「男の隠れ家」や「日刊ゲンダイ」で連載記事を掲載。著書に『世界最高のホテル プラザでの10年間』『海外旅行が変わるホテルの常識』『サービス発展途上国日本』『なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか』『超一流の働き方』がある。

公式サイト:okutanikeisuke.com