PART TWO 岩本恭明さんのセラースタイル

お次はオフィスにワインセラーを設置したケース。岩本恭明さんが会長を務める博報堂クリエイティブ・ヴォックスは大手広告代理店、博報堂の子会社として、飲料メーカーや化粧品会社の広告を製作している。

「ぼくらはプロジェクト単位で動いているから、クリエイティブ・ディレクターやコピーライター、グラフィックデザイナーなどその都度集まって、知恵を絞るわけね」

毎日同じ時間に同じメンバーが集まる、いわゆる日本的な企業とは異なり、やわらかな組織体ともいえるクリエイティブな環境でワインセラーが果たす役割とはなんだろうか。



柔軟に意見を交換できるワインはオフィスの潤滑油

岩本さんのオフィスには36本入りの小ぶりなワインセラーと、会議室にはビールなどと混合で冷やせるデュアルタイプのワインセラーを設置。常時50~60本程度のワインが適温に保たれ、抜栓されるのを待っている。

「だいたい夕方になると飲みたくなっちゃうよね。ひとつのプロジェクトが節目を迎えたとき、なにかお祝いごとがあったときは必ずワイン。適当なワインを選んで、チーズやナッツをつまみに参加できる人から飲み始めるけど、だんだん人数は多くなるよね(笑)」

 「ワイン開けたよ~」。セラーから取り出したワインをオフィスのテラスで楽しむ。ミーティングを終えたメンバーが加わり、あっという間に和やかなムードに。

スタッフをねぎらうため何の気なしに始めたワインパーティだが、思いがけない効能もあった。

「こういうやわらかい会社にいると、スタッフ全員でそろう機会はそうそう多くない。こうやってテラスでワインを開けていると、自然にみんな揃ってきて、普段チームが違うメンバーもコミュニケーションをとるようになりました。そのことで、新しい視点や発見をもらうチャンスにもなり、刺激になっているみたいだね」

また、普段は会長など「えらい人」にモノ申せないというスタッフたちに発言の機会を与えるきっかけにもなっているという。

「『あれはちょっと違うんじゃないですか』とかね(笑)。酒の勢いを借りるわけではなくて、あくまでほろ酔いのやわらかなトーンで率直な意見を言えるみたい」

オフィスのセラーはスタッフに開放されていて、誰でもが開け、ワインやビールを飲むことができる。在庫がなくなったら近所のワインショップで購入し、補充していくシステムだ。しかし、どれを飲んでもいいんですか?

「あ、下の段はちょっと高いのが入ってるから遠慮してほしい(笑)」

こう話している間にも新たなスタッフが「私にも一杯」と入ってき、電話をかけなくちゃとデスクに戻るスタッフもいる。ふわふわと融通無碍なオフィスの真ん中にワインがある光景に、新しい働き方を見る思いだった。

こちらは岩本さんのオフィスに置かれている36本入りのセラー。上にフォトフレームを置くなどして、インテリアとしてもアクセントとなっている。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部

人生がうまくいかない時は「神様がくれた休暇」だと考えよう。



by 1996年のテレビドラマ「ロングバケーション」(北川悦吏子脚本)での木村拓哉演ずる主人公のセリフより。



10連休でロンバケって短くないですか。