ケニー奥谷。ニューヨーク在住のインターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト。1989年からシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務めた、日本人にしてアメリカホテル業界の達人だ。

そのケニー奥谷がいま、あししげくかよっているのが、ニューヨークのワイナリー。 摩天楼から、クルマで1ー2時間。美しい海と自然に恵まれたロングアイランドには、40を越えるワイナリーがあり、「ニューヨークのボルドー」と称される。 ケニー奥谷による、ニューヨーク ワイナリー探訪記第14回!


この記事はニューヨークの日本語情報紙「よみタイム」Vol.243 2014年11月29日発行号掲載の「NYワイナリー探訪 UNCORK NEW YORK」をもとにしています。

このサインが目印

合言葉はホリスティック!

このワイナリーでは滞在も楽しめる。それも、ワインはもとより朝食にいたるまで、どっぷりとオーガニック三昧だ。

「シン・エステート・ヴィンヤード(Shinn Estate Vineyard)」のオーナー夫婦、バーバラ・シンとディビッド・ペイジは1990年初頭にサンフランシスコからニューヨークへと引越してきた。

シェフだったディビッドはグリニッジ・ビレッジに「HOME」という名のレストランをオープン。そこでのレシピが本になり、2001年に「ベスト・アメリカン・クックブック」でノミネート、「ジュリア・チャイルド・クックブック賞」を受賞した。

ランドマークに指定された家

1998年、彼らはロングアイランドワイナリーで歴史的建造物の家を購入し、自然とのつながりを求め始める。20エーカーのワイン畑とBB(ベッド・アンド・ブレックファスト)4室の経営を開始。  

2009年に太陽光発電、2010年には風力発電ユニットを導入し、米国東海岸初の代替エネルギーだけで運営されるワイン畑+宿(INN)とした。

畑には、ソレル、クローバー、カラスノエンドウ、タンポポなどの雑草がたくさん咲き乱れる。水の補給に、魚、海草、海水などが混じったものを使い、あとは土中の虫、ハチ、兎、鳥などの自然界の生物たちの働きに任せて、たっぷりとミネラルを育む。

多くの専門家は、ロングアイランドの蒸した気候で、ケミカル肥料なしにワイン作りは不可能という。だが、彼らはこのようにして益虫に害虫を退治させる方法をつくり出したのだ。

合言葉は“holistic”(全体論的な、ホリスティック)!

BBの食事は、デイビッドが作る。材料は周辺で得たオーガニックものばかり。ワインラベルには、細かな成分表が記されている。どのようなものが含まれているかを知ってから飲んでもらいたいからだという。

カベルネ・ソーヴィニヨンとフルーティなメルローの混合から生まれた2007年産のクラリティ(Clarity)は100ドルの値がつけられていた。

BBはデイビッド自慢の大きなアヒルの卵料理つきで1泊200ドル程度。次は泊まりがけで、自然が育んだワインを、満天の星の下で飲むことにしよう。




今回紹介したワイナリー
Shinn Estate Vineyards and Farmhouse
2000 Oregon Road, Mattituck, NY 11952
www.shinnestatevineyards.com


この記事を書いた人

ケニー 奥谷
ケニー 奥谷
奥谷啓介。ニューヨーク在住。インターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト 。慶應義塾大学卒。
ウェスティン・ホテルズ 初の日本人学卒スタッフとして、アジア地区セールスオフィスに入社。1989年よりシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務める。2005年、ザ・プラザの閉館とともに退社。現在、文筆、講演、コンサルテイング活動を行いながら、ニューヨークと日本を行き来する日々を送る。

雑誌「男の隠れ家」や「日刊ゲンダイ」で連載記事を掲載。著書に『世界最高のホテル プラザでの10年間』『海外旅行が変わるホテルの常識』『サービス発展途上国日本』『なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか』『超一流の働き方』がある。

公式サイト:okutanikeisuke.com