WINE WHAT Online既報のステンレス製デキャンタ「Birdy デキャンタ」の続報です。果たして本当にワインが美味しくなるのでしょうか?
このたびサンプル品をお借りし、銀座一丁目のミシュラン2つ星「ドミニク・ブシェ トーキョー」のソムリエにして若きゼネラル・マネージャー、ロマン・エルブルト(Romain Herbreteau)さんにテストしてもらいました。

フルーツの香りが出ます



愛知県豊田市の老舗自動車メーカーがつくった「Birdy デキャンタ」を、なぜフランス人にテストしてもらうのか? それはフランス人こそ冒険心に富んだアヴァンギャルドな人たちだからです。新しもの好きです。20世紀を代表する技術、映画と自動車を発展させたのはフランス人です。それにワインをもっともよく知る人たちです。

「Birdy デキャンタ」を見るロマンさんの目はキラキラしています。好奇心いっぱいです。彼の第一声は、「ステンレスの味はしないんですか?」でした。おそらく誰もが抱く疑問です。ちなみにロマンさんは来日3年、日本語ペラペラです。

「ちょっと実験してみましょうか」と言って、お盆を持ってきました。お盆の上には白と赤のワインボトルが2本、そしてグラスが4個のっています。ちゃんと用意してあったようです。



まずはブルゴーニュの白ワイン、「モレ・サン・ドニ 2014 ドメーヌ・デュジャック MOREY-SAINT-DENIS 2014 DOMAINE DUJAC」(右)です。保存用のキャップを外し、一方のグラスにそのまま注ぎます。それから、「Birdy デキャンタ」を左手にもち、ボトルからグラス1杯分入れて、ぐるぐる回し、別のグラスに注ぎます。ロマンさん、それぞれのグラスに鼻を近づけ、確認してからこう言いました。

「ちょっと違います。バターっ気がなくなる」

このシャルドネ、本来はバターの香りがする変わりダネなのですが、それがなくなるというのです。ダメじゃん。

ダメというのではなくて、この変化がいいかどうかは、「そのひとのテイストによります」とロマンさん。冷静です。

「(バターの香りが消えて)ちょっとアプリコットなどのフルーツに変わる感じです」。それから、「うーん。オモシロイ」とつぶやきました。



次に赤でテストしてみます。「シャトー・モンローズ 2007 サンテステフ Château Montrose 2007 Saint-Estèphe」です。ボルドーのメドック格付け第二級、スーパーセカンドともいわれる「通好み」のワインです。同じようにグラスにそのままのと、「Birdy デキャンタ」でぐるぐるデカンタージュしたのを注ぎ、交互に鼻を近づけて香りの違いを確認します。

「ちょっと変わります。基本はカシスとかブルーベリー系のフルーツの香りが出ます」

筆者も真似をして香りを確認してみましたが、その変化は微妙に思われました。つまり、よくわかりませんでした。



さらに味について、「オモシロイですけど、こっちの(デカンタした)方がフレッシュな感じが強くなる。ステンレスの香りかもしれないです」とロマンさん。

ロマンさんの興味は本物で、さらにもう1本、こちらの「ル・ピルー Le Pilou 2014」、南仏のドメーヌ・オリビエ・ピトンが手がける赤ワインのボトルを持ってきました。樹齢100年のカリニャン100%、暑い土地のワインなので干しブドウのニュアンスがあるのが特徴です。



「Bird デキャンタ」でぐるぐるしてみると、ワインのもつフルーツの香りと味を強調してくれることは間違いないようです。ただし、「グランヴァンは繊細ですので、時間をかけたほうがいい」とも。つまり、「Birdy デキャンタ」だと、おそらく空気に触れ過ぎてしまうから、時間がないときはともかく、レストランではゆっくり時を過ごしてほしい、ということなのでした。

「若くてシンプル、安いワインにはいいかもしれない。イメージはすごくわかります」

なお、最初のドメーニュ・デュジャックの白はドミニク・ブシェ トーキョーではグラス1杯3500円、次のシャトー・モンローズの赤は同3800円、最後のル・ピルーは同2500円で供されています。いずれもワイン・ラヴァーがオッと思う希少なワインです。さすが2つ星です。ドミニク・ブシェ トーキョーのホームページはこちら。https://www.dominique-bouchet.jp/

今回の実験では、「Birdy デキャンタ」はほとんど一瞬にしてワインの香りと味をよりフルーティに変化させるということがわかりました。「Birdy デキャンタ」のパンフレットには、高級ワインよりもデイリーワインでの変化が大きい、と書いてあります。早速、デイリーワインで試してみよう、ということになったのですが、ミシュラン2つ星のグランメゾンにデイリーワインは置いてなかったのでした。実験依頼者であるこちらの考えが浅かった……。

「レストランで、または自分でも使うことはありません」というのが今回のロマンさんの結論でした。真面目に実験に取り組んでいただいたロマンさん、そして、「Birdy デキャンタ」を貸してくださった関係者各位に感謝いたします。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
ワインと食のライフスタイルマガジン「WINE-WHAT!?」編集部です。
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