ケニー奥谷。ニューヨーク在住のインターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト。1989年からシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務めた、日本人にしてアメリカホテル業界の達人だ。

そのケニー奥谷がいま、あししげくかよっているのが、ニューヨークのワイナリー。 摩天楼から、クルマで1ー2時間。美しい海と自然に恵まれたロングアイランドには、40を越えるワイナリーがあり、「ニューヨークのボルドー」と称される。 ケニー奥谷による、ニューヨーク ワイナリー探訪記第15回!


この記事はニューヨークの日本語情報紙「よみタイム」Vol.251 2015年4月10日発行号掲載の「NYワイナリー探訪 UNCORK NEW YORK」をもとにしています。

 金賞を獲得したボルゲーゼ・ワイナリーのカベルネ・フラン。

イタリアの王子とその妃が購入

「生きているうちに行っておくべき1000の場所」というベストセラー・ブックがある。

そのひとつに選ばれている「カステッロ・ディ・ボルゲーゼ・ヴィンヤード(Castello Di Borghese Vineyard)」は、ロングアイランド最古のワイナリー。1973年にハーグレイブ・ファミリーが始めたワイナリーを、1999年にマルコ・ ボルゲーゼ夫妻が購入。以来、数多の賞に輝くワインを醸造してきた。

2012年の例を挙げれば、800本のワインの中から厳選されるイースタン・インターナショナル・ワイン・コンペティションで、2010年産のカベルネ・フランがゴールドメダルを、2010年産のリースリングがシルバーメダルをそれぞれ獲得。5500件ものエントリーがあり、全米一のコンペティションとなったサンフランシスコ大会では、2009年産のリースリングがシルバーメダルを獲得した。

受賞したメダルの数々。

イタリアのフィレンツェの郊外にある町、スカルぺリアに生まれ育ったマルコ・ボルゲーゼ氏にとって、ワイン作りは誰もが自宅で行っているようなことだった。

彼の親戚には、何世代にもわたり、フローレンスでワイナリーを営んでいる者もいた。また、妻のアンはパリでフランスワインを学んだ。2人がワイン造りを始めることはとても自然なことだったのだ。

1989年のサンクスギビングデーにここを訪れた2人は、その場でこのワイナリーに惚れ込み、翌年購入を決めた。

2007年のメリタージュ(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなどをブレンドした高級ワイン)のビッグ・ボトル。

1999年10月24日のニューヨーク・タイムズには、「イタリアの王子とその妃がロングアイランドのワイナリーを購入」という見出しの記事が載った。一昨年のインタビューで2人は言った。

「あのとき、自分たちはワイナリーを買おうと思ってきたのではなく、ただワインを飲みにきただけだったんだ」と。

2人は2014年6月に他界したが、彼らのワイナリーへの愛情はしっかりと3人の子供たちに受け継がれている。

「生きているうちに行っておくべき1000の場所」に選ばれた由を、あなたはどこに見出すだろうか。






今回紹介したワイナリー
Castello Di Borghese Vineyard
17150 Country Rte.48
Cutchogue, New York 11935

www.castellodiborghese.com


この記事を書いた人

ケニー 奥谷
ケニー 奥谷
奥谷啓介。ニューヨーク在住。インターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト 。慶應義塾大学卒。
ウェスティン・ホテルズ 初の日本人学卒スタッフとして、アジア地区セールスオフィスに入社。1989年よりシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務める。2005年、ザ・プラザの閉館とともに退社。現在、文筆、講演、コンサルテイング活動を行いながら、ニューヨークと日本を行き来する日々を送る。

雑誌「男の隠れ家」や「日刊ゲンダイ」で連載記事を掲載。著書に『世界最高のホテル プラザでの10年間』『海外旅行が変わるホテルの常識』『サービス発展途上国日本』『なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか』『超一流の働き方』がある。

公式サイト:okutanikeisuke.com