アメリカ合衆国のワイン生産量の85%近くを占めるカリフォルニア。仮にこのUS本土西端の州を国とするなら、イタリア、フランス、スペインに次いで世界第4位のワイン生産国となる。ワインカントリーはいかにして生まれたのか、その歴史を簡略に紹介する。

クロニクル

18世紀、カソリック布教のためにスペイン人が地中海のブドウ品種を持ち込んだ。

1769年、フランシスコ派修道士たちは最初の伝道所をサンディエゴに建設し、聖餐用ワインを作るためにブドウ畑を拓いた。

フランシスコ修道会は北上しながら伝道所をつくっていったこともあり、これが後にカリフォルニアワイン産業誕生の礎になっていくわけだ。

ゴールドラッシュ初期に東海岸からサンフランシスコに向かう船。一攫千金を夢見る者たちでカリフォルニアの人口は20万人に急増した。

1848年、ゴールドラッシュによってカリフォルニアには入植者が増えると共にワイン産業にも大きな需要を産み出していく。

その頃のカリフォニアにあったプラムやアプリコットの畑はブドウ畑にとってかわっていく。

オレンジ・カウンティの保安官代理が不法な酒を廃棄処分にしているところ。

1920ー33年の禁酒法時代。この法律の施行によって多くのワイナリーは廃業した。ただし、個人飲料用あるいは礼拝用ワインは認められており、ブトウの栽培もジュース用など、禁止はされていなかった。おかげで生き延びたワイナリーもあったが、世界恐慌、第二次世界大戦など、しばらくは受難の時代が続く。平和が訪れると、戦後復興とともに再びナパ・ソノマに多くの醸造家たちが集まり、品質はどんどん向上していった。そして……。

1976年、フランス対アメリカのブラインド対決が行われる。そう「パリスの審判」である。



映画「ボトル・ドリーム  カリフォルニアワインの奇跡」より。発売元:トランスフォーマー 画像はDVDより。

結果、当時は「田舎者」と揶揄されていたカリフォルニアワインはボルドー、ブルゴーニュの最高級ワインを凌駕する評価を受け、ナパ・ヴァレー、カリフォルニアワインの名は世界に轟いた。

この出来事はそれまでの「ワイン=フランス」という図式を崩したに留まらず、新世界ワインが産地として注目され、水準をあげていくエポックメーキングでもあったといえるだろう。

その後のカリフォルニアワインは1980年代のフィロセキア被害も転機ととらえ、新たな品質向上のキッカケとなり、今を迎えている。

地形と気候

ひとつの州でありながら、日本列島がすっぽりと入るくらい広大なカリフォルニア。

ワイン産地は、ざっくり言うと、内陸部と沿岸部とのふたつに分かれる。

太平洋側に位置する標高の低い海岸山脈と、これと平行に走る内陸側のシエラ・ネヴァダ山脈との間に挟まれた広大なセントラルヴァレーは海の影響を受けない暑い夏と寒い冬の大陸性の気候。安定した量のワインを供給できる一大ワイン産地だ。

もうひとつの沿岸地域は、太平洋の影響を受け、より湿度が高く、年間を通じて穏やかな地中海性気候。

ナパやソノマに代表されるノースコースト、パソ・ロブレスやサンタ・バーバラがあるセントラルコースト、その中間部分に位置するサンタ・クルーズ・マウンテンのあるベイエリアなどがこれにあたる。

日照には恵まれているが、太平洋沿岸を流れる寒流のため、海から運ばれる空気は冷たい。畑の位置・標高・傾斜の向きなど細かな地勢によって気候は異なり、海風から守られていれば温暖で、海風が入り込むなら冷涼だ。霧の発生も、気温や日照条件を左右する。

土壌

土壌は砂、粘土、ローム、花崗岩、火山灰、海底土、河川砂利など、多様性だ。例えば、ブドウ栽培面積はカリフォルニア全体の僅か9パーセントにしか満たないナパ・ヴァレーだけでも33種類の土壌があり、世界中に存在する土壌の約半分があるという。

ブドウ品種

20世紀までカリフォルニアワインのブドウ品種のほとんどを占めたといわれる「ミッション・グレープ」。布教活動のためのワイン用に導入されたため、この名前がある。

栽培面積の6割強が赤ワイン品種だが、長年トップランナーとして君臨するのがシャルドネ。これにカベルネ・ソーヴィニヨンが続き、この2品種で全体の40パーセントを占める。ピノ・ノワールは着々と伸びて、ジンファンデルとメルロを追い抜き第3位の座に。

2004年に封切の映画「サイドウェイズ」を引鉄に、その後続いたニューカリフォルニアの流れが背中を押した。シラーを筆頭にローヌ品種は赤白共にじわじわと増えている。ピノの上昇気流は赤のみに留まらずピノ・グリが好調で、安定した人気のソーヴィニヨン・ブランと肩を並べる存在に。全体のシェアは小さいものの、ミレニアル世代が牽引した甘口ワインブームに乗って、マスカット系の品種の勢いが止まらない。

ワインの特徴

広範囲に亘って広がる異なる地形・気候・土壌。これらの特性を見極めながら、多民族が自由な発想で最適と判断した品種を植えて行く。この掛け算で多様性が出ないわけがない。イージードリンキングなワインから、高価なカルトワインまで。温かな地域が生む濃厚でパワフルなスタイルから、冷涼な地域が生む軽やかでエレガントなスタイルまで。比較的寒い気象条件下で酸味の利いたワインであろうとも、基本的に日照量には恵まれているため、明るい果実味に豊んだ味わいであることが共通項だ。

ナパ・ヴァレーの最寄りの大都市といえばサンフランシスコ。「WINE-WHAT!?」7月号(No.17)で本誌取材班がカリフォルニア現地取材を観光、ぢゃなかた、敢行しています!

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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
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