オーナーにとってナパのワイナリーはビジネスで成功した証だ。
1981年にオークヴィルのブドウ畑を手にいれたデニス・グロスさんは、コンピューターゲーム機の「アタリ」で大アタリした人だった。

カベルネ・ソーヴィニヨンのスウィート・スポット

キャメロンさんが「カベルネ・ソーヴィニヨンのスイート・スポット」と呼ぶ、リザーヴ・カベルネ・ソーヴィニヨンを生み出す畑。

カリズマ・ワイン評論家のロバート・パーカーが、初めて100点を与えたカリフォルニアワインは何か? 

オーパス・ワンでもなければスクリーミング・イーグルでもない。その答はグロス・ヴィンャーズのカベルネ・ソーヴィニヨン・リザーヴ85年。驚くべきことに、ワイン造りを初めてからわずか4ヴィンテージ目の快挙であった。

初代ワインメーカーのニルス・ヴェンジはある区画のカベルネ・ソーヴィニヨンが、ほかのものと比べてなにか違うと気がついた。そこで彼は、この区画のブドウのみからワインを造ってみた。出来上がったワインは明らかに、豊潤さや深み、それに集中力の点で優っていたという。  

いったい何が違うのか。その秘密は土壌にあった。

ワインに深みや集中度を与える堆積岩のチャート。

この区画の土壌には、石英を主成分とする堆積岩のチャートが含まれている。この石がどのような影響をブドウに与えるのかは不明である。しかし、オーナーのスーザン・グロスさんは、「オークヴィルの谷底で造られるカベルネ・ソーヴィニヨンの柔らかみに、チャートが骨格を与えてくれるような気がします」と言う。

創設者であるグロス夫妻の娘で、CEOのスーザン・グロスさん。大学では美術を学び、ワイナリーのあちらこちらに彼女の作品が。

ワインメーカーのキャメロンさん。「ブドウ畑にこそ真の仕事がある」を信条とする。カリフォルニア大学デイビス校のワイン醸造学の学位を持つ。

2014年からブドウ栽培とワイン醸造を担うキャメロン・パリーさん。すでにナパ・グリーンのプログラムを実践中のグロスだが、彼が来てからワーム・コンポスト・ティーの散布を始めた。これはミミズを原料とする堆肥を煎じた液体。カルシウムやリンをブドウの樹に供給する。

「今年の春は雨が多く、成長が早い。その分余計に養分が必要になります」と説明するキャメロンさん。

「ブドウの樹は10年やそこらで植え替えるわけにはいきません。だからこそ、サステナブルな視点が重要になります。来年に実るブドウの原型がまさに今、形成されているのですから」

ひと通りの取材を終え、テイスティングルームでスタンダードなカベルネ・ソーヴィニヨンとリザーヴを飲み比べてみると、たしかに何かが違った。

その違いとは、「緻密さ」かもしれない。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
9月号(通巻18号)では、白ワインに注目! そもそも白ワインって? 三大品種シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングの基礎から、いまどき大討論会、石田博ソムリエによるペアリング提案まで、この夏、飲みたい白ワインを総ざらい。
そして、夏から秋にかけてのワイン旅も提案。ポルトガル現地取材、急成長中の北海道ワイナリーのいまとWINE-WHAT!?ならではのツアー情報、ワインを堪能できる宿「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」へは、ベントレーで訪れ、カリフォルニアでは、ケンゾー エステイトに行ってきました。