山梨の半導体加工会社がワイン造りにのりだした。この話題、各所にて報じられているから、耳の早い読者はすでにご存知かもしれない。WINE-WHAT!?は、注目を集める、その「MGVsワイナリー」に、マスカット・ベーリーAの赤ワイン2種類があらたにラインナップにくわわった、とのことで招かれた。

サステイナブル日本ワイン

「MGVsワイナリー」(マグヴィス ワイナリー)は「塩山製作所」(えんざんせいさくじょ)という山梨県は塩山を拠点とする半導体の加工会社が2016年ヴィンテージのワインをもって、2017年に立ち上げたばかりのワイナリー。

MGVsという名前は、MATSUZAKA GREEN VINEYARDSの頭文字と最後のsをとったもので、ここにあらわれる、マツザカとは、塩山製作所の社長、松坂浩志さんのファミリーネーム。



創業は1953年に遡る塩山製作所の社長にして、実は、ブドウ栽培にかんしては4世代目という松坂さん。半導体の事業に関して、「下りのエレベーターを駆け上がるような仕事」というのだけれど、それは、それだけ、業界の速度がはやいという意味。じっとしていればどんどんそのポジションは下がってゆくし、普通に上っていても、足踏みになってしまう。だから駆け上がらないといけない。

あたらしい事業を立ち上げたときには、すでに翌年、翌々年、5年後、その事業がどうなっているのかの青写真がある。リスクはあらかじめ予見して事業のデザイン時に手を打ち、ときには、事業が立ち上がった時点で、海外への生産移管までが視野にはいっている。そうしないと、時に億を越える数の小さな製品を世界中に届ける半導体の仕事は、リスクが大きすぎてできない、というのだ。

勝沼のブドウ畑のなかにある半導体生産工場は、2004年の竣工以来、2015年までに、2回閉鎖している。いずれも、あたらしい半導体が、時間がたつにつれて、日本国内生産では価格があわなくなったことを理由としている。グローバルな事業といえば、そのとおりだけれど、それはつまり、その仕事が、特定の場所でしかできない仕事ではない、ということの証左でもある。

もっと長期的な、土地に根ざした仕事をしたい。2015年、閉鎖した工場を、松坂さんはワイナリーへと変えることにした。

ブドウ畑に囲まれたワイナリー

松坂浩志さん


慣れ親しんだ土地、その土地でつくられるブドウで、愛するワインを造る。年に一回、その土地で実をつける植物を相手にした事業の青写真だ。そして、松坂さんの夢は、日本一のブドウ産地を、たとえば、フランスのボルドーとか、カリフォルニアのナパ・ヴァレーとか、イタリアのバローロのように、ブドウ畑がつづき、そのあいだにワイナリーが点在する、ワインカントリーへと変えることにある。



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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
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