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長良天然ワイン醸造 日本のワイナリー・データベース Vol.1

「ただ、ただ、祖父と父のやり方を守ってきただけなんです」。

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林 真澄さんが造った長良天然ワイン醸造 白 甘口(右)と、父・昭さんが造った天然ワイン。上部の細いラベルが斜めなのは「父のこだわりだったらしく、残っているワインはすべて、こうなんです」と真澄さん。「滋養 強壮」の文字に時代を感じる。

長良天然ワイン醸造は、量り売りの日本酒蔵だったが、現当主の林 真澄さんの祖父の代でワイン造りを始めた。日本酒造りは戦前で止めたが、その名残りで木樽など、さまざまな日本酒醸造用道具をワインに転用。25年ほど前、突然、父・昭さんが亡くなり、跡を継いだ。

岐阜駅からクルマで10分ほどのワイナリーは、自宅の軒先。看板はあるが、声をかけるのに躊躇するほど普通の住宅で、このワインは生まれる。小さな事務所では、ワインの直販も実施。

ワイナリーのすぐそばを流れる長良川。木曽川系の一級河川で、鮎の産地として知られる。川の対岸にある岐阜城は、岩山である金華山山頂に位置し、1201年に鎌倉幕府執事・二階堂行政により初めて砦が築かれたといわれている。

長良天然ワイン醸造は、自園と県内7県ほどの契約農家のブドウを使用。デラウェアのほか、マスカット・ベリーA、コンコードを栽培する。メルローのみ長野県産を使用。

タンクの上に無造作に置かれた、日本酒蔵時代のガラス製一斗瓶。発酵タンクの温度調節に冷水を入れて使う。「昔はもっとたくさんあったんだけど、壊れたり、あとは庭先に置いてたら、盗まれちゃって」。現在は数えるほどしか手元にない。かつては木樽醸造も行っていたが、修理する職人が見つからず、蔵の中に放置されたままだ。ここのワインは、天保年間に建てられた蔵に生息する天然酵母で発酵する。

ワイナリー裏の畑の土。非常に細かい粒子の砂に、石英などが混じり、手に取るとサラサラとこぼれ落ちる。その様は、イタリア北西部、アルプス山脈を見下ろすアオスタ渓谷があるヴァッレ・ダオスタ州の土壌を想起させる。

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