辛口白の代表格シャブリの多彩さを、あなたはまだ知らないかもしれない。「キンキンに冷やして真夏にゴクゴク」ではなく、「しっとり落ち着いた秋、じっくりチビチビ」が似合うシャブリもたくさんあるのです。今秋、未知のシャブリと心静かに向き合ってみませんか?

協力:シャブリワイン委員会(BIVB)

来日したレグランさんとルールさんに聞きました



「シャブリ」を名乗るワインはすべて、シャブリ地方産シャルドネを用いた、辛口仕上げの、白のスティルワイン、でなければならない。産地、品種、スタイルは同じ。なのに、シャブリ・プルミエ・クリュは「クリマごとに味がぜんぜん違う!」という。

クリマとは、気候や土壌の条件によって細分化された区画のこと。プルミエ・クリュとは1級、グラン・クリュとは特級の意である。

シャブリ・グラン・クリュと通常のシャブリの間で、知名度はイマイチだった「プルミエ・クリュ」を知ることは、ブルゴーニュのクリマを知る最高の近道だともいわれる。そこで、2017年7月に来日したシャブリの生産者代表のレグランさんとシャブリ委員会の広報担当のルールさんにシャブリとシャブリ・プルミエ・クリュについて直球でおたずねしました。







ベルナール・レグランさん
ドメーヌ・ド・マロニエールの前当主で、シャブリの生産者代表として来日。
「ミネラルたっぷりな白ワインが好きな方なら、左岸のモンマンを。さらに複雑性を求めるなら、右岸のモン・ド・ミリュー、モンテ・ド・トネールがオススメ!」









フランソワーズ・ルールさん
ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)内にあるシャブリワイン委員会のマーケティング・コミュニケーション責任者。
「エレガントなワインと言えば、右岸のヴォーロラン。個人的には、左岸にある人気のモンマンと同じ南東向きながら、よりクラシックなコート・ド・レシェも好み」



Q あの、いきなりですが、シャブリってなんとなく割高なイメージがあるんです。

レグラン それ、フランス人にもよく言われるんですよ~。フランス国内の見本市でブースをかまえて、パリから来た人に市場価格を尋ねられるから答えると「え、そんなに安かったっけ?」って驚かれて、そのリアクションに、こっちも驚く(笑)。たぶんレストランのメニューに載っている価格のイメージが大きいんでしょ。

ルール シャブリにもいろいろあるわけで、プティ・シャブリならコスパがよくて手にとりやすい。プルミエ・クリュは、プティ・シャブリ、シャブリより高級だけれど、クリマの多様性を表現できるラインとして是非知ってもらいたいです。

Q 世界中でシャルドネのワインが造られる時代です。ライバルは日々増加中では?

ルグラン 樽香をきかせたシャルドネが20年ぐらい前にブームになって、樽香もシャルドネの個性のひとつと信じ込んでいる人がまだまだいる。でも、シャブリはシャブリらしくエレガントでありたいから、樽を使ってもほんの少しだけ。

ルール だから、樽香の強いシャルドネばかり飲んでいる人たちは、シャブリを試飲するとシャルドネだと気づかないくらい。となると、ライバルはシャルドネの産地より、かえって冷涼なニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランあたりを意識するかしら。フランス国内ならサンセールとか。

Q シャブリの土壌は、キンメリジャン。大昔は海底だったことに由来する、貝殻やサンゴが積もった石灰岩質とのことですが、シャブリはどこも同じ土壌なんですか?

ルグラン 同じキンメリジャン土壌と言っても、場所によっては40~50㎝、深いところでは2~3m、と違いはあるんですよ。

ルール そして石灰質だけでなく粘土質も混ざっているから、その割合が多いか少ないか、さらには畑の斜面がどの方角を向いているのか、でクリマごとにブドウの出来が変わってくるんです。

Q シャブリはクラシックなデザインのラベルが多い気がします。造りのほうも、やっぱりクラシックですか?

ルグラン 思い立ってラベル・デザインを新しくしたら、「消費者が混乱する」とインポーターさんからお小言を頂戴し、また元に戻したことが過去にあったなぁ(涙)。でも、デザインに関しては生産者次第だと思いますよ。

ルール 栽培方法は、どんどん変化しています。ビオディナミ、リュット・レゾネ(減農薬栽培)など環境に配慮する生産者が増えてきました。ちょうど今年7月4日には、環境にまつわる憲章が調印されたばかり。今後3年間でさらに環境保全への対策を推し進めることと、周囲の住民へ十分に説明することが求められます。

ルグラン 20年以上前は、「毎月15日は農薬を撒く日」といった具合にカレンダーが決まっていたんです。その後、技術が発達したおかげで、湿度測定や天候予想から必要最低限の農薬をピンポイントで使えるように。冷涼なエリアなので減農薬にするほどリスクが高まるけれど、環境や消費者への配慮のためには必要な変化です。

プルミエ・クリュ級であれば、アイテム次第でチーズ、さらにスイーツとも合うシャブリ。だから“食後にシャブリ”は、もちろんアリ!

Q ところで、シャブリの人たちはシャブリワインをどう楽しんでいるんですか? もしや、いつも牡蠣を食べてシャブリ飲んでる?

ルグラン アハハ、まさか。プルミエ・クリュのクラスになると味わいに複雑性があるので、赤身肉以外ならなんでもおいしい。地元では、グジェール(チーズ風味のシュー)、アンドゥイエット(腸詰)、エスカルゴ、タルトやピザ、卵料理と一緒に楽しむことが多いかな。あとは、地元産のチーズ。チーズは赤ワインだけでなく、コクのある白ワインも合うんです。シャブリとチーズ、手軽だからすぐ試してみてください。さらに、10年以上寝かせたワインは粘性と深みが増すので、デザートや甘いものまで合わせられる。シャブリ・プルミエ・クリュがあれば、合わせる食事の幅がとても広がるはず、です!

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
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