クロ・アパルタ

フランスの老舗にして、チリの先鋭

チリ最大のビオディナミ畑から生み出され、ワイン・スペクテイター誌TOP100の常連ワイン「クロ・アパルタ」。同誌で100点をとった最新の2014年ヴィンテージが、近日、市場に登場予定だ。来日したクロ・アパルタのオーナー、シャルル・ドゥ・ブルネ・マルニエ・ラポストル氏とともに、WINE-WHAT!?はクロ・アパルタの2011年、2013年、そして2014年ヴィンテージを試した。

クロ・アパルタの現オーナーはCharles de Bournet Marnier-Lapostolle(シャルル・ドゥ・ブルネ・マルニエ・ラポストル)氏。新デザインになった2014年ヴィンテージを手に

話はオレンジ・リキュールからはじまる

1827年に、ジャン・バティスト・ラポストルがパリのそばに設立した蒸留酒製造所で、1880年に3代目のアレクサンドル・マルニエ・ラポストルが生み出したオレンジ・リキュール。そのリキュールが、今日なお、世界的に入手可能な「グラン・マルニエ」で、この成功で、ラポストル家がロワール地方につくったのが、シャトー・ドゥ・サンセールというワイナリー。

時は一気に現代へと進み、1994年。マニエル・ラポストル ファミリーの6世代目、アレクサンドラ・マルニエ・ラポストルが、チリにすばらしい土地を発見した。そして、世界最高のワインをつくろうという野心を胸に、ワイナリー「ラポストル」を設立した。

そのラポストル家によるチリワインのフラッグシップが、「クロ・アパルタ」だ。1997年ヴィンテージをもって世に打って出た。

評判は世界最高のワインの目標にたがわぬものとなった。『ワイン・スペクテイター』ではトップ100に5回ノミネートされ、うち、3回はトップ3入り、2005年ヴィンテージは、96点を獲得して、1位という実績がある。1位獲得は南米のワインとして唯一にして、南半球で2度目の快挙だった。最新の2014年ヴィンテージの獲得ポイントは、なんと100点。

クロ・アパルタはこうして生まれる

なぜチリなのか。チリにはフィロキセラがなかったから、というのが理由だという。アレクサンドラが見つけた土地は、40haほどの広さに、樹齢100年を越えるフィロキセラ前のブドウの樹があった。もちろん、接ぎ木はしていない、自根である。これに惹かれた。

この樹からできるブドウを世界一のワインにするために、コンサルタントに招聘したのは、かの、ミシェル・ロランだった。

いまや、クロ・アパルタは、ラポストルのなかのフラッグシップワインではなく、独立したブランドであり、専用の、そして最新のワイナリーももつ。

ブドウ畑はチリの首都、サンティアゴから南に170km、コルチャグア・ヴァレーにある。広さは約200ha。山脈が朝夕の強烈な日照と、太平洋の寒流からのつめたい風をほどよく防ぎ、雨は冬しか降らない、というのが特徴で、昼夜の寒暖差はおおきく、やや乾燥した地中海気候といったところだという。よいワインをつくるには極力、なにも手をくわえないのがよい、という哲学から、すべての畑がオーガニックかつ、ビオディナミ認証を獲得している。ラポストルもふくめると約400haにもおよぶその面積は、ビオディナミ畑としては世界第2位の規模。土壌は、コールヴィアル土とよばれる、火山の斜面を滑り落ちてきた土で、やや粘土まじりのこまかな花崗岩。やせていて水はけが良い。

ブドウは手作業で収穫し、女性たちが手作業で除梗したあと、深さにして40メートルもあるワイナリーで100%フレンチオークの大きな樽に入れられ、重力にまかせて発酵を開始させる。マセレーション、パンチダウンで状態をコントロールし、これまた100%フレンチオークの新樽に、重力でうつし(つまり最初の樽の下に次の樽があり、ワインは重力で上から下に落ちる)、マロラクティック発酵を経て、2年樽熟成。ブレンド後、ボトリングもまた、重力でもっておこない、その後、瓶内で1年休ませる。

かくして、完成するのがクロ・アパルタである。

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