• TOP
  • #WINE
  • オーストラリアワインの多様性と創造性をめぐるセミナー by マイク・ベニー

オーストラリアワインの多様性と創造性をめぐるセミナー by マイク・ベニー

「ビッグでボールドな赤」だと思い込んでいたら大間違い!

ハンターセミヨンの歴史と未来

オーストラリアワインの歴史と未来までもがわかる6本がこちら。

マイクが用意したテイスティング用のワインは全部で6種類。同じブドウ品種でOLDとNEW、つくり手が異なる、というパターン3セットで構成されている。

第1セットは、「Tyrrell’s ‘Vat 1’ Hunter Valley Semillon (ティレルズ ‘ヴァットワン’ ハンターヴァレー セミヨン) 2012」と「Harkham Estate ‘Aziza’s’ Hunter Valley Semillon(ハーカム・エステート‘アジーザズ’ ハンターヴァレー セミヨン)2016」。ハンター・セミヨン新旧の競演である。

「オーストラリアのアイコニックなものに必ず入るのがハンターヴァレーのセミヨンです。もちろんロワールのセミヨンとは違うスタイルです。アルコール度数10〜11%で、ハンターセミヨンはすでに世界で知られていますが、特にこのティレルズの話をするべきです。ティレルズは比較的大きなワイナリーで、バルクワインもつくっている。同時に自分たちの伝統を大切にしている。ワイナリーの地面は土のままだし、天然酵母を使うなどの昔ながらのワインづくりの方法が若い世代のワイン関係者の憧れになっています。ハンターヴァレーでは1月の終わりとか2月の上旬に収穫する。若い時は本当にフレッシュなワイン、でも瓶熟成が進むとさらに素晴らしい。軽く30、40年もつ。樹齢は一番古い木で100年。自根です。全房発酵、ステンレススティール、そのあと大きな古樽で貯蔵される。ハンターヴァレーは海に近いのでオイスターとのマッチングも自然です。オーストラリアの文化はこれからも進化するでしょうけれど、そのときにティレルズのようなワインがあることは重要です。いま、6世代目の人たちが努力している。150年以上の歴史を持つ。まず尊敬の念を抱きます。そこから学ぶことが多い。それでいて肩肘張らずに楽しめる」

対するハーカムは、広い意味でナチュラルワインなのだという。

「亜硫酸を使っていない。ハンターヴァレーのセミヨンで非常に珍しいタイプといえる。熟している状態で収穫する。ユダヤ人のファミリーによってつくられているハーカムは、世界で最も素晴らしいコーシャ認証ワインを目指している。イスラエルのラビの最高峰の人に来てもらってつくった。バチカンのローマ法皇と同じような立場の人です。もともと自然につくられたワインに何か入れるということはそのぶん自然から遠ざける、すなわち神から遠ざけることになる。という話をそのラビはされたそうです。ということで、非常にナチュラルなワインです」

オーストラリアでユダヤ人ファミリーがコーシャ認証ワインをつくっている!? イスラエルぢゃなくて……。大越の感想は次のようなものだ。

「このふたつはまったく違うタイプです。ティレルズはクラシックなスタイルで、ピュアでクリーン、骨格がしっかりしている。引き締まったテクスチャー。つねにフローラルな感覚はセミヨンの特徴。カキ、魚介類と合わせやすい。カキといっても、日本のカキのように強いミルキーさを持ったカキではなくて、軽い塩気を感じさせるオイスターで、そこにビネガーだったりレモンだったりを合わせるだけでもとても美味しく召しあがれる。

一方、ハーカムは熟した感覚の香りで、方向性もぜんぜん違う。口に含んだときもソフト・テクスチャーで広がりがあって、アフターでセミヨンだと思わせる。一番の特徴は、どうしてこんなにソフトなのか、というソフトさがあること。亜硫酸が少ないこと、ファイルターをかけていないことで、旨味が残っている。旨味豊富なタイプになっているからこそ、お料理もオイスターでも火が入っている方がおいしいと思う。ソースをかけても面白い」

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
YouTubeInstagramでも、コンテンツ配信中!
フォローをお願いいたします。

Related Posts

PAGE TOP