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ラングドックは古くて若い自由なフランスワインの産地だ

激動の半世紀、変わる産地

かつてはフランスで消費されるテーブルワインを支える産地だったラングドック。そのブドウ畑の面積は世界最大の224,000ヘクタール。変化に富む気候と土壌、栽培可能な品種の多さから、いま、ラングドックは、フランスでワイン造りに挑戦するにあたって絶好の環境となっている。急速にAOCも増え、ダイナミズムに溢れるラングドックのいまを、ラングドックワイン委員会に聞いた。

ラングドックワイン委員会の専務理事をつとめるジェローム・ヴィラレ(左)と会長をつとめるグザヴィエ・ド・ヴォロンタ(右)。東京にて。任期3年の会長はラングドックの生産者から選ばれ、委員会とともに世界をまわり、ラングドックのワインをPRする。先進国市場はもちろん、新興国開拓も重要な任務だ

量から個性へ

「かつてフランス人は、食事より水より、ワインを多く飲んでいた」

そう語るのは現在、ラングドックワイン委員会の会長をつとめるグザヴィエ・ド・ヴォロンタ。ラングドックのワイナリー「シャトー・レ・パレ」のオーナーでもある。一族の経営で、前オーナーは父親だ。

「50年ほど前、炭鉱や工場の労働者は毎日何リットルもワインを飲んだ。いま、そんなに飲む人はいない。労働は機械化、効率化し、健康の問題や飲酒運転の厳罰化という理由もあるかもしれない、世の中の変化で、ワインは必需品から嗜好品へと変わった。」

フランスワイン全生産量の1/3を産出するラングドックで、7世代にわたってワインをつくるド・ヴォロンタならではの話だろう。低価格なテーブルワインで量の下支えをする時代は終わった。

ラングドックのワイン造りの歴史は、さかのぼること2500年。スパークリングワインの生産もシャンパーニュより早い。その産地が「この40年、劇的に変化している。あたらしいAOCが毎年のようにできている。」

質、産地の個性が問われるようになった時代を反映して、いまやAOCは36あり、かつてのテーブルワインのポジションを担うIGPは19ある。ほとんどなかった輸出向けワインも、生産量の4割以上に。今後さらなる増加が予想される。これから10年、15年とかけて、ラングドックワインは知名度を高め、階層化が進み、再構築されてゆくだろう。ボルドーやブルゴーニュが歩んだ道を数十年で駆け抜けているのだ。

だからラングドックはダイナミックで、若い産地でもある。

ワイン造りをここで始める人も多い。国外からの参入希望者はボルドーに次いで多く、例えば、中国、イギリス、ベルギー、ロシアから挑戦者がやってくる。

年間320日晴天というのはそれだけでも魅力的な環境だし、必要な水分は地層に含まれているから不足の心配はない。海と山に挟まれた世界最大を誇る広大な土地は、土壌も気候も変化に富み、単一品種のワインから、アッサンブラージュ、白、赤、スパークリング、あらゆるワインが造れる可能性がある。

「ラングドックは栽培品種も多い。フランスでは最多の234品種が公的に認められる土地だ。世界のワイン生産量の95%は十数品種のブドウが占めているのに」

量産ワイン用ブドウの代表品種だったカリニャンを、ラングドックならではの品種と解釈し、高品質ワインを生む凄腕もいる。

「うちは100ヘクタール中1.5ヘクタールは毎年植え替える。品種を選ぶには、天候や景気のほか、将来の流行を読む必要もある。オヤジはなんて品種を植えたんだ、と子供に嘆かれないようにしないとね」とはド・ヴォロンタ。

「時代の変化のおかげで、ワイン造りによる表現の幅が広がったんだ。」

瞳に情熱が輝く。

2016年のAOCのラングドックおよびIGPシュッド・ド・フランスの地図。

拡大版。左の画像の右上、ピク・サン・ルー(PIC-SAINT-LOUP)は2016年に、左上のテラス・デュ・ラルザック(Terrasses du Larzac)は2014年に、右の画像の地中海沿い、ラ・クラープは2015年にAOCになった。

Facebook:https://www.facebook.com/languedoc.wines.jp/

ラングドックテイスティング動画:https://www.youtube.com/playlist?list=PLQnHnBk4yUk9P9EBuMU04ARGNonN_K6-J

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