天候に左右されることなく、シャンパンが表現しうる最高の作品を生み出す。その理念を毎年、プレステージ・キュヴェ「グランド・キュヴェ」にて確実に実現するクリュッグにとってのヴィンテージとは何か?

クリュッグ最高醸造責任者
エリック・ルベル

シャンパーニュ地方に生まれ、ランス大学でワイン醸造学を専攻。10年にわたりドゥ・ヴノージュ シャンパーニュ メゾンにて就業。ここでアンリ・クリュッグの目に留まり、その後任として1998年にクリュッグの最高醸造責任者に抜擢された。クリュッグ創業の1843年から受け継がれる何千にも及ぶ細かいノートを注意深く丁寧に守り続け、何世代もクリュッグのブドウをつくり続けている場合もあるブドウ生産者との関係も強固。クリュッグのキュヴェの風味と正確さを、より一層確固たるものへと発展させた。



1848年に記された2つのメッセージ

「僕をふくめてクリュッグの味を決めているのは男性3人、女性2人の5人のチーム。年齢は27歳から僕みたいな白髪までバラバラ。最終的な決定権をもつのは、マルガレート・エンリケス社長。僕らはマギーと呼んでいる。クリュッグはちいさな組織なんだ」

両腕を膝の上において、前のめりになりながら、ゆっくりと語るのが、19年間、クリュッグの醸造部門を率いる最高醸造責任者エリック・ルベル氏。

「9月に収穫がおわるとグランド・キュヴェというゴールにむかって動き始める。その年のブドウでできたばかりの250種類ほどのワインをみんなで試す。クリスマスごろまでそれがつづいて、今度はカーヴの150種類のリザーブワインを試す。栽培区画ごとにわかれたそれは、12年分ある。2月いっぱいまでそれをやって、3月はまた、250種類に戻る。250✕2+150だから650。それが個性豊かな5人分で、だいたい3,200のテイスティングノートが1年でできる。僕の仕事はこれをまとめて、毎年たったひとつの最高の表現、グランド・キュヴェを造ること」

それはクリュッグの創業者ヨーゼフ・クリュッグが1848年に手帳に記した「天候に左右されることなく、毎年最高のシャンパンを世に送り出す」という理念の実現のためのメソッドだ。来年3月には173番目のエディションができる。現在、市場での最新版は163。クリュッグのボトルにはKrug IDという数字がついているから、それを公式HPで入力すると詳細な情報にアクセスできるけれど、そこには結果として1990年から2007年のワインのうち、12年分のヴィンテージ、183種のワインがブレンドされた。

クリュッグ グランド・キュヴェ(右)
特定の製法はさだめず、6~10年の異なるヴィンテージの多種多様な120種類以上のワインをブレンドして複雑で優雅、しかも一貫した味わいで毎年つくり出される。グランド・キュヴェづくりは、微細にわたって細心の注意を払って進められ、7年後に誕生するグランド・キュヴェには、それ以前のクリュッグの味わいが見事に受け継がれる。写真はエディション160

クリュッグ 2004(左)
クリュッグのヴィンテージはそれぞれ愛称をもつ。2004年は「輝く爽やかさ」。ルベル氏によれば、天候に恵まれ、夏がなかなか来なかったのが特徴的な年で、特にシャルドネに強い個性がある。バランスがよく上品で、熟成された風味とともに、柑橘類をおもわせる溌剌としたフレッシュネスがある。音楽でいえば弦楽器のコンチェルト



「クリュッグにシャンパンをつくるレシピはない。理想を実現する方法がある。それには充分なリザーブワインは欠かせない。例えば2012年は素晴らしい年だったけれど、収量が少なかったから、マギーに、ヴィンテージを出すのはやめて、リザーブを確保しようと提言した。彼女もそれに同意した」

では、ヴィンテージシャンパンを造ることが、グランド・キュヴェの足かせになる? と問うと、ルベル氏は、「またとない年にはその年をとらえたシャンパンを造りなさい」と、ヨーゼフ・クリュッグの手帳には記されている、と答えた。そしてヨーゼフ・クリュッグは、固定した観念に縛られるのを嫌い、妥協は許さなかった。その理念をわずかでも踏み外せばクリュッグは崩れてしまう、と前置きしたあと

「グランド・キュヴェを犠牲にすることはありえないとはいえ、ヴィンテージは10年に3、4回しか出さないから、足かせにはならない。むしろどこにも欠点はない素晴らしいヴィンテージを、発売の1年前に、それでも完璧ではないと中止したこともあるほどだ。2002年、03年、04年は時系列にこだわらず、10年間、変化を確かめつづけて、直前で、2003年から発売することにした。またとない年の、時のサインをボトルにとらえ、時とともにそれが成長してゆくのを確かめる。自然を自然のまま、操作を加えず表現し、最高のものだけを世に出す。それはまさにクリュッグらしさだ」

不易なものとうつろいゆくもの。ヨーゼフ・クリュッグはその2つがあってこそ最高のシャンパンと考えたのだろう。ヴィンテージとノン・ヴィンテージは同じ理念の異なる表現だから、クリュッグではヴィンテージ、ノン・ヴィンテージ間で優劣はつけない。

「僕は、ヨーゼフ・クリュッグの理念を次世代にも伝えてゆく。クリュッグを愛する人と感動を分かち合うために」


お問い合わせ先
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
URL|https://www.mhdkk.com/brands/krug/
電話|03-5217-9736

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WINE-WHAT!? 編集部
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