ヴィンテージへの敬意をノン・ヴィンテージに込めて
ノン・ヴィンテージシャンパーニュとして世界中で愛飲される『イエローラベル』。これを手掛けることは「刺激的であり、困難でもあります」とドミニク氏は言う。
「お客様は、継続性、安定性を求めていらっしゃいます。しかし、シャンパーニュの気候は思うままにならず、最高の年もあれば最低といっていい年もある。私と12人のワインメイカーは、膨大な産地のブドウと最適なリザーブワインを組み合わせて、変わらぬ価値を提供しています」
その中で、長い年月を経たリザーブワインは深みや香りの複雑さをもたらす重要なカギとなる。シャンパーニュならではの「年を積み重ねるからこその芸術品」という価値を教えてくれる存在でもあるが、ドミニク氏は「それは同時に、その年の各地でもたらされた恵みと個性」でもあると考える。ノン・ヴィンテージの『エクストラ ブリュット エクストラ オールド』はつまりヴィンテージの個性の積み重ねが結実した作品とも言える。
「このシャンパーニュには、2010年から1988年まで6つの異なる年のリザーブワインが使われています。フットボールに例えれば、各年代の個性溢れる選手たちがひとつの強力なチームを形成している、そんなイメージでしょうか」
単にまとまりがあるのではなく、スタープレイヤーであったり、なにかのプロフェッショナルである選手が集まるからこそ、素晴らしいパフォーマンスを発揮するチームができる。その強力な「チームメンバー」を紹介しよう。
まず2010年のムニエ。産地はモンターニュ・ド・ランスのヴィル=ドマンジュ。酸の力とフルーツ香が強い。2009年はアイ村のピノ・ノワール。トロピカルフルーツのアロマとボディ。2008年のシャルドネはヴィレーヌ・マルメリーから。キレのある酸とフィネスで長い余韻をもたらす。2006年のピノ・ノワールはヴェルジーらしい力強さと滑らかさの両面で凝縮感と円熟をもたらす。優良年である1996年からは南部コート・デ・パールのピノ・ノワールを。エキゾチック、スモーキー、大人の果実が深みを与える。最後にヴーヴ・クリコ最古かつ希少なリザーブワインとなる1988年からはクラマンのシャルドネ。わずかな分量ながら、バター、ミルク、チーズのテイストなど、その個性は確実に息づいている。
「単独のヴィンテージもリリースしていますが、それらは例えればフェラーリ。お客様は、どんな車になるんだろうとわくわくして待っている。そこに挑戦していく。対してイエローラベルは、常に同じ高い品質を期待されていて、それに応えていく」
その中で生まれた新しいアイテムは、革新的な野心を感じさせるようだ、と聞くとドミニク氏は微笑みながら胸を張る。
「我々のパイオニアであるマダム・クリコは、女性がトップに立って企業を率いるなどということは夢にも思えない時代(1800年代初頭)に時代を切り拓いてきました。革新は我々にとっては当然のこと」
『エクストラ ブリュット エクストラ オールド』は革新的なアイテムだ。しかしヴィンテージへの敬意とイエローラベルの哲学、その両方を併せ持った、実にヴーヴ・クリコらしい存在でもあるようだ。
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MHD モエ ヘネシー ディアジオ
URL|https://www.mhdkk.com/brands/veuve_clicquot/
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